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入学の朝

 ヴィクトリアの行動は早かった。


 半ば家庭教師を脅すような勢いで願書を取り寄せさせ、秘密裡に受けた入試では、魔法士としての素質をいかんなく発揮し、難なくCJKCから中途入学の許可を得ることに成功した。

 その入学許可証を持って意気揚々と両親へ入学の許可をもらいに行くと、フォーベルマン家は上を下への大騒ぎになり、まるで蜂の巣を突いたようであった。


 ヴィクトリアのような高級貴族の令嬢がCJKCのような養成学校に通うなど前代未聞で、入学の話をすると、両親は目をむいて激怒し、執事は卒倒。家庭教師は真っ青でぶるぶる震えながら首が取れそうな勢いで公爵夫妻に頭を下げた。


「ヴィクトリア! 馬鹿なことを申すな! お前は私の顔に泥を塗る気か!」

「お願いだからそのようなことは言わないで、ヴィー。家庭教師の先生に学ぶので十分ではないの」

「いいえ。私の決意は固うございます。必ずCJKCの魔法士養成コースに入学します」

「ああ、なんということを!」


 夫人はヴィクトリアの言葉に絶句しさめざめと泣くと、公爵は顔を真っ赤にさせて、家庭教師に怒りの矛先を向けた。


「お前はいったい何をしておった! ヴィクトリアがこのようなことをいいだすとは、この責任は重いぞ」

「も、申し訳ございません!!私……」

「いいえ、お父様。勘違いをなさらないでください。先生は何も悪くありません。私が自分で決めたことなのです。たとえ、この家を勘当されようとも必ずCJKCに入学いたします」

「ヴィクトリア!」


 すったもんだしながらも両親を説得すること7日間、ヴィクトリアの入学はついに認められた。


 入学当日。CJKCの門を見上げて、ヴィクトリアは決意を固めていた。あの忌まわしい悪夢は絶対繰り返させない。大事な家族を守って見せる。そのためには、まずレティスともっと仲良くする。CJKCへの入学は第一歩だ。

 

 ヴィクトリアが決意を固めていると、突然後ろから声が飛んできた。


「おい。こんなところでぼけっとすんな。邪魔だ」


 あわてて振り返ると、黒髪を後ろで束ねた男が仏頂面で立っている。


「えっと、すみま……」


 男はヴィクトリアを一瞥して通り過ぎていく。黒の地味なローブ姿。あれは。


「あ、あの! 魔法士養成コースの方ですよね。私今日から編入するんですが、校舎の場所がよく分からなくて。ご一緒させてくださいませんか」


 男は振り返り、少し目を見開き驚いたような表情になる。


「編入? お前が?」

「はい」

「ふーん。どんな手を使ったんだ? 親のコネか。それとも、教師の弱みでも握ったか」

「え?」

「まあいい。来たけりゃ、勝手についてきな」


 そう言うと、茫然とするヴィクトリアに背を向けてさっさと歩き出した。


 ……なんて失礼な奴!


 ヴィクトリアは内心憤慨しながらも、男の後を追った。

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