ただの暇つぶし
休日明けの月曜日の教室。二人の女の子が話をしていた。
「昨日、本読んでたら一日が終わってたわ」
「へえ。アンちゃんが読みふけるなんてずいぶん面白い本なんだね。どんなん?」
「アイドル養成所の生徒の女の子が友達に毒盛って殺す話」
「やばいねそれ。ミステリ? サスペンス?」
「……プログレ?」
「え? 音楽?」
「小説。なんか隕石降ってきたり恋人が土蜘蛛に食われたり恐竜に生まれ変わったり地獄で幼馴染を二度殺したりしてた」
「変調。ていうか超変」
「無駄に先が気になっちゃって徹夜しちゃった」
「それは仕方なし。で、その本の評価は?」
「……めちゃくちゃプログレッシブ複雑観念」
「え? ……あ、プログレッシブ・ロックってこと? 哲学の。わかりにくっ! 内容以上にわかりにくい評価!」
「ドゥは何してたの? 日曜日」
「あたしは考え事をば。アイデアに形を吹き込み、修正し、また一からやり直しての繰り返しのスクラップ・アンド・ビルド。こだわりにこだわり抜いたアイデアをさらに厳選し、時間をかけた末にちゃぶ台をひっくり返す背徳的快楽。また新たな創造から想像するリピート・アクションだったよ」
「へえ。あんたでも考え事なんてするんだ。何を考えてたの?」
「暇のつぶし方」