神威ー3
やぁどうもトラウルマンです。
今回はちょっと長めになっているので、少し投稿が遅くなってしまいました。
執筆している時は気づかなかったのですが、セリフの時に変なところで改行され読みにくくなっていたのでそこを修正しました!(前の話も修正しました)
今回はかなりボリュームがありますよ!
それでは本編どうぞ〜
「やぁ、さっきぶり。誕生日プレゼントあげるって言
ったでしょ?ちょっと早いけど、これが誕生日プレゼントって事でいいかな?それともあっちがいい?」
ロクシーの言葉からは悪意が感じ取れなかった。それは本心から言っていたからである。
「ほーらー、早くどっちか決めてくれなきゃこっちだって困るよ。はぁ、これだから君みたいな無能は...まぁ、こっちでいいよね?」
ロクシーはそう言うと、恵子の腹を貫いた腕をミカヅチの方に振り恵子を投げ飛ばした。ドザァと参道の石畳の上に恵子は投げ出された。彼女の腹部からは真っ赤な液体がドクドクと流れ出ていた。
「母さん!!なぁ、何があったんだよ!なぁ!母さん!」
「うぅ...くはぁッ、ミ..カ...貴方は..死なないで.....お願いよ」
「何言ってんだよ、何があったか説明してくれよ。母さん!」
「しょうがないなぁ、僕が代わりにぜーーんぶ教えてあげるよ。」
「ありがたく思いなよ?何故なら僕はもう人間じゃなくて神だからね?じゃあ改めて自己紹介をするよ、僕、ロクシー=ルナ=キーフォンデルクは狡知神ロキの神子で、神威を終えて、今はハーフゴッドってわけ」
「まず一つ目、何故僕達が君をいじめていたか。神威の後に全て理解したよ。それは君がとある神に似てたから。その神っていうのは数百年前にセカンドラグナロクという神界の八割の神を殺す大事件を起こした奴でね?その時に僕も殺されたんだよ。そんな事があったからその神は転生せずに封印されたんだよ。それが数百年も経ち、すべての国の教育機関や神話などで語られるようになった。そのせいで、そいつを信仰する奴らも現れた。この雷大社だってそうだ。だから君達家族には嫌悪感を持ってたの。」
「だから僕はそいつに復讐しようと思ってるんだけど、封印されてるから転生なんてできないわけ、だけどそんな僕の前にアイツに似てる奴がいるんだよ?虐めないわけないでしょ?
つまり僕がいじめてたのは君がアイツに似てたから。わかった?」
「それとこれは嬉しい誤算だったんだけど、神子が神威を終えた後に自分の使命を知る事は知ってるかい?
人間は知らないだろうからこれも教えてあげる。神子には神からただ転生するだけじゃない。人間で使命を果たさないと神界に戻れないんだ、簡単に言えば人間から神に戻るためのノルマさ。それで僕の使命は多くの負の感情を集める事。
だから君をいじめていた事で君からも周りからも負の感情がだいぶ集まった。僕が神子で両親が権力者だから誰も逆らえない。学校の教員、いじめに加担していたモブ共、そしていじめられている当人の君、小学校に通うような年齢ではありえない光景だよね?そのおかげで負の感情はたんまりさ!そこには君に感謝してるよ」
ミカヅチはあまりの出来事へのショックと真実に頭の整理が出来ていなかった。
「君はやっぱり神威が起こらないようだね?まぁ当たり前か、似てるだけだからね。いや、本当に君はアイツで封印の影響で抑えられてるだけかもしれないね。そうだったら君は冥界送りだね!あぁ、ちなみに義仁も神威は終わったけど自分の使命を果たすためとか言ってすぐ戦場に向かったっぽいよ。確か、巨人国とトラーキア法国が戦争してるんだっけな?まぁ僕にはどーでもいいけどね」
神子は使命を果たさずに死ぬと転生せず、神界にも戻れず、何百年も冥界で辛い罰や拷問を受けなければならない。これは最高神ゼウスと冥界の支配神ハデスが取り決めた事のようだ。
つまり今ミカヅチがそのとある神の神子だったなら、死ねば冥界行きはロクシーの言う通り確実なのである。しかしそんなことよりミカヅチは、母が腹部に穴を開けられ力なく倒れている状況をまだ受け入れられていない。
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[巨人国]
正式には巨人国スルト。
まだ神と人族の世界が分かれていなかった頃から存在している国である。
日本列島の海を挟んで東側に広がるとても広大な大陸、ムー大陸の最西端に位置し日本列島に一番近い国。
この国を治めている大王はセカンドラグナロクの時にイレギュラー側についてイレギュラーと共に神達と戦いを繰り広げたと言われるとても強力な巨人族なのだ。
[トラーキア法国]
ムー大陸の最北端に位置し、巨人国スルトの北東側が法国の南西と陸で繋がっている。国民は主に人間が大多数。
領土拡大の為、南西の巨人国や南東の亜人の国とよく小競り合いを繰り返している。自動戦闘人形を始めて戦争に投入した国でもあり、とても高度な技術力を有している国。その技術力は凄まじく、一人一人の力が強力なので軍事力は強大である。そんな巨人族との戦争に最近実戦投入した自動戦闘人形の戦闘力は、巨人国を圧倒していた。
現在、戦の神の神子である戦立義仁は自らの使命の為に神威が終わって数時間でこのトラーキア法国に旅立った。
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「二つ目、何故君の母親がこんな状況で更に金田利恵がここにいるか。それはね、君に絶望を与える為だけでしかないよ?アッハハハハハハハハハハハハハハッ!!!ごめん、さっきから...プッ...笑いを堪えてたんだけど、駄目みたいw」
「さぁ、冥土の土産の一つにいい事聞けたでしょ?もし君がアイツだったら死んだ後に神の頃の記憶は多分戻るだろうけど、何も知らないまま死ぬより面白いかと思ってね。じゃあまずは君の母親を殺すよ。」
そう言うとロキはゆっくりとこちらに近づいてくる。参道の石畳に響くロキの金色の靴の足跡は甲高い音を立てていたが、ミカヅチにとってその音は悪魔の足音のように思えた。
ロキがミカヅチと倒れている母親の前で足を止め、見下ろしながら言った。
「最後くらいもう少し母親と話したら?そのぐらいの猶予は与えてあげるよ」
その言葉を聞いてか聞かずか、項垂れていた恵子は弱々しく口を開いた。口からは大量の吐血、目には大粒の涙。歳のわりには若々しい彼女の顔はかなりやつれており、その声は震えていた。
「ごめんなさい、貴方を....普通の子に..産んであげられなくてごめん...なさい。貴方が苦しんでいた...のに何も出来なくて...ごめんね...」
「母さん...謝るなよ!何言ってんだよ!普通ってどういうことだよ!お願いだから死なないでよ...頼むから!」
ミカも涙が止まらなかった。
「ミカ...本当に...本当に大好き...。愛してるわ...ミ.....」
ブシューーーーーーーーッッ
「はーい、時間切れー。タラタラタラタラしてないでさ、一言で終わらそうよ一言で、本当にイライラするなぁ」
ミカヅチの前で母親の首からは大量の血が噴き出し、母親の頭部は無惨にミカヅチの前に転がっていた。
ミカの心の中でなにかが崩れ落ち始めた。
「あ、ああ、ああ、あああああァァァァァァァァァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ーーーーーー」
「いいねぇ、いいねぇいいねぇいいねぇ!!!その表情、その感情、その絶望!全てが僕の糧となる。今回の君には感謝しかないよ!気分がいいからあの女も殺そうかな?それともあの女に殺されたい?僕はあの女が君以上に嫌いだからさー、いろいろあってね?まぁそれも君が死んだらわかる事だけどね?早く殺したいなぁ...《オイ、こっちに連れてこい》」
ロキの指示で黒い悪魔の様な化け物がロキの隣に利恵を抱えた状態で現れた。近くで見るその姿には嫌悪を抱いてしまう。剣の様な角は触れたものに深い傷を残すだろう、爪も尻尾も羽も全てが剣の様に鋭利で禍々しい。まるで元々が一つの剣だったかの様だ。その悪魔は利恵をミカヅチの前に雑に放り投げた。
利恵は体を恐怖に震わせながらそれでもミカヅチを守ろうと必死にロキの前に立ち塞がった。
「この女はまた僕の邪魔をする気なのかなー。君はどこまで僕に不快な思いをさせたら気が済むんだい?まぁいいや、《この男を殺せ》」
そう言うとロキは利恵に黒い短刀を渡した。ロキの命令とも思えるそれは権能、【完全支配】によるものだ。その瞬間、何が起きてるのか理解できぬまま短刀をミカの胸に突き立てようと振り下ろした。
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【パーフェクトコントロール】
それは悪の神や狡知神と言われるロキの権能、所謂固有能力だ。それは生半可な催眠や精神操作術ではなく神でさえ操れるという代物。どれだけ精神力が強い人間でも問答無用で操られてしまう。ロキは戦闘系の神ではないが、この力で多くの神を操り悪事を行なってきた。そして彼はそうあれと作られた為、本人が意識せずとも彼の感情は負の部分が大きく肥大化していくようだ。しかしこの能力には欠点がある。それは精神力が強い"神"には通用しない事だ。
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「え?なにこれ、嫌、嫌、嫌ァァァァーー」
キィィィィーーーン
利恵が振り下ろした短刀はミカヅチの胸には突き刺さらず一本の刀に弾かれていた。そこには軽量化されてはいるものの確かな魔法効果を帯びている黒と銀の武装に身を包み、長い黒髪は後ろで縛り、髭を綺麗に整えた男が一人、左手には銃口が長いハンドガンを、右手には美しい刀を翳していた。大和の武将、織田信長である。
「うちの可愛いミカとその友達になんて事してくれてるんですかねぇ、神さんよぉ」
信長の目には静かに、だが確かに憤怒の色が灯っている。そして即座に、信長は利恵に【昏睡】の魔法をかけ眠らせた。
「うぅ...あり...がとう...ミカを...助けて...」
そう言うと利恵はその場に崩れ落ちた。
「何してんの?誰?君。人間のくせにさぁ...とっても不愉快なんだけど」
「その金の靴に漆黒の髪、そしてその溢れ出る悪のオーラ。お前は狡知神ロキで間違いないか?」
「だったら何?人間如きが神に立ち向かうなんて、無謀にも程があると思うけど?」
「そうか、じゃあ化け物で大和の第7区を襲撃したのもお前で間違いねぇようだ。」
「そうだけど、お偉いさんの武将がなんでこんなところにいる訳?」
「第七区で黒い化け物が暴れているという報告を受けてなあ、その場に向かったら、雷大社方面に飛び立って行くのを見たって奴がいてな、もしやと思い来てみりゃこの有様だ。」
「へぇ、国の犬もそこそこ有能なんだね。ちなみに第七区はどうだった?最高だよねぇ!少し街を壊しただけで負の感情がたんまりと貰えて、この調子だともうすぐノルマが果たせそうだ。」
「クズが。神ってのはこんなにクズがいっぱいいるのか?」
「そうだね、特にそこで絶望してるやつなんかはもしかしたら一番のクズじゃない?怒って神の八割を殺しちゃうんだから。」
信長はミカヅチの方をちらりと見た。ミカヅチは涙を流しながら絶望に染まった表情をして時が止まったかの様に固まっていた。
「何だと?ミカが神?そんな訳ねぇだろうがふざけるのも大概にしとけ」
「その可能性なあるってだけだよ。どっちでもいいけどさ、君ら人間は僕達にとっては他愛のない存在な訳。殺される方が悪いんだよ。」
ロキの理不尽極まりない言葉に信長は怒りを抑えきれなくなっていた。
「お前みたいなやつは神だろうが何だろうが俺が殺す!」
「アッハハハハハハハハハッ!君が僕を殺す?冗談きついよ君ぃ、もしかして君は超越者か祝福者なのかい?」
「ああ、そうだ!俺は夜の神、ツクヨミから寵愛を賜った祝福者だ。確かてめぇは戦闘系の神じゃあなかったな。いくら神とは言え、俺は負けねぇからよぉ」
「よく吠える犬だねぇ。まぁ、僕が普通に戦ったらまず勝てないだろうね。“普通に戦ったら”だけどね?」
ロキの言う通り単純な戦闘を行えば祝福者である信長はロキに勝てるだろう。だが信長はロキの権能【完全支配】の事を「精神操作系の権能だろう」というぐらいにしか理解していない。それ故にロキには絶対の自信があった。
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【超越者】
それは産まれながらに持つ力が人間離れしている者達の総称である。彼らはその力故に人々から現人神と呼ばれる事がある。そう呼ばれる通り、彼らの力は神に匹敵する。数百年前のセカンドラグナロクでもイレギュラー側に組みするもの達の殆どが超越者だったようだ。
【祝福者】
それは神からなんらかの影響で人知を超えた力を与えられた者達。彼らも人間離れした力を誇るが、超越者とちがい与えられた力には限度があり、序列の高い神には勝てないとされている。
【序列】
神には序列というものがあり、神の属性別に1位から13位まで振り分けられている。位は単純な強さから決まっており。序列の低い神たちは自分達の身を守る為、見込みのある人間に目をつけては祝福を与えているようだ。
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「お前神のくせに悪魔なんかと契約してやがるのか?自分から弱いって言ってるようなもんだぜ?神さんよ」
(俺が精神操作対策に色々と装備してきた事をアイツは理解してるだろうか?いくら負の感情を司る悪の神と言えど、ツクヨミ様の精神防御は崩せない筈だ)
「ん?これが悪魔?アハハハッ!そうか君たち人間は悪魔を見る機会が少ないからこれが悪魔に見えるのか。残念ながらこれは悪魔じゃないよ?こいつは僕の神器であり神獣の[レーヴァテイン]。僕は他の神と違って生まれが神界じゃないから神獣を持たない。だからこいつは神器だけど神獣でもある。単純な戦闘だったらこいつに任せておけばいいって訳。わかった?それじゃあもうお喋りも飽きたから、死ね人間。」
ロキの一言で信長も臨戦体制を取る。
「フンッ!神獣だか悪魔だかわからん奴に負ける筋合いなんてねぇんだよ!」
「皇帝から大和の守護を任された武将、織田信長!只今より邪神討伐を開始する!」
「人間風情が僕を邪神呼ばわりするとか不敬すぎるでしょ。殺せ、レーヴァテイン!」
ロキの一言でレーヴァテインは信長に襲いかかる。
レーヴァテインの剣の様でいてしなやかな爪による引っ掻きは人間の肉体など紙を切るペーパーナイフの如く引き裂くだろう。しかし信長の刀はそれを軽く受け流し、レーヴァテインの黒い胸部に鋭い斬撃を放つ。
「お前のその上から目線嫌いだぜ!オラッ!」
続け様に信長は振り下ろした刀を切り上げ、レーヴァテインは腕でガードする。しかしレーヴァテインの黒い腕に一本の斬撃痕が残る。
「?!レーヴァテインの体に傷を付けた?!その刀、普通の刀じゃないようだね!いいねぇ!そうでなくっちゃ!面白くないからねぇ!」
「刀だけが特別じゃないんだぜ?喰らいなぁっ!」
信長の左手に持ったハンドガンから撃ち放たれた3発の銀の弾丸はレーヴァテインのガードしていた腕に命中し、めり込んだ
「グッ?!ギギギギィ!!」
レーヴァテインが無機質な鳴き声をあげ、ロキは動揺していた。
「やるじゃないかおじさん。その刀は神器に傷をつけることのできる刀なのか。それにその銃からは魔力を感じるね。面白い人間だ。《怯むな!レーヴァテイン!》」
ロキの深く響く声にレーヴァテインは従い攻撃を始めた。信長の刀とレーヴァテインの爪が何度もかち合い金属音をあげる。信長は刀をふるいながら間髪を入れずに射撃を行う。その攻防がしばらく続いたがレーヴァテインの方が押され始めていた。
「グギギギギィ!グガァ!!」
信長の執拗な攻撃に怒ったのかレーヴァテインの攻撃はどんどん雑になっていく。そこに生じた隙を信長は見逃さなかった。
「戦い方が雑になってきてんだよ。化け物!!」
レーヴァテインの懐に潜り込んだ信長は銃口をレーヴァテインの顎に突きつけ、大量の魔力を込めて引き金を引いた。
パシュッ
ゼロ距離で射出された弾丸はレーヴァテインの頭部にめり込み、それと同時に信長はレーヴァテインを蹴り飛ばした。
「吹き飛びな!バーストォッッ!!」
レーヴァテインの頭部にめり込んだ大量の魔力を含んだ弾丸は信長の魔力放出により爆発した。内部からの魔力放出でレーヴァテインの頭部は弾け飛んだ。
「おいおいおい!神器ってのはこんなもんなのかよ。神器って聞いて少し期待したが期待外れだったようだな。さぁ、残るはお前だけだ!とっとと死ぬ覚悟しとけや!神さんよぉ!」
「ふーん。意外と強いんだね君、だけどソイツは神器だよ?その程度で倒れる訳ないじゃん。」
粉々に吹き飛んだはずのレーヴァテインの頭部はみるみるうちに再生されていき、一瞬で元の形に戻ってしまった
「だったら再生できなくなるまで切り刻んで弾き飛ばしてやるのみだ!」
満月に照らされた参道では信長とレーヴァテインの攻防が繰り広げられていた。
先程まで現実を受け止めきれずに固まっていたミカヅチの耳には信長の刀とレーヴァテインの爪がかち合う音と発砲音が鳴り響いていた。
「嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!こんなの悪夢に決まってる!なんで俺がこんな目に遭わなきゃいけないんだよ。それに俺が神子かもしれないって?そんなわけない!何が神だ、何がセカンドラグナロクだ、そんなのどうだっていい。俺はただ普通に生きたいだけなのに...なんでこんな事に...」
ミカヅチは母親の遺体を抱きしめながら喚いていた。あまりの非常な現実にミカヅチの絶望に埋め尽くされた感情は少しずつ別の感情に変わってきていた。
「俺にもっと力があればこんな事にならなかったのか?俺にもっともっともっともっと力が有れば...もし、本当にその神子だったら」
(いや、あるんじゃないのか?だって俺は神子かもしれないんだろ?だったらそれを試してみればいいじゃないか。このまま死ぬよりかは、何もしないよりかはマシだ!)
信長とレーヴァテインの攻防が続く中ミカヅチは一人、先程母親から渡された宝具のような短刀を手に取った。
その短刀の金色の装飾にミカヅチはどこか懐かしさを感じた。何故かそう感じた。しかし、その動きをロキは見逃さなかった。
「なっ?!それは何だミカヅチィ!お前は今から死ぬ運命なんだよ、余計な事をするな!」
ロキはミカヅチの手に持っているそれを奪おうと接近してきた。
「何してんだ!お前の相手は俺だろうが!」
ミカヅチに襲いかかろうとするロキに信長は斬りかかる。しかし先程まで悪魔のような姿をしていレーヴァテインは一瞬で漆黒の剣に変化しロキの手に握られ、信長の一撃を受け止めた。
「はぁ...ふざけるなよ!何で人間風情が僕の邪魔をするんだよ!本当にイライラするなぁ!《動くな》」
ロキの体から黒い禍々しい悪のオーラが放たれた。信長の体は金縛りにあったように動かなくなった。
「何だこれ、体が...動かねぇ..クッソ...」
「もういい、取り敢えず君は早く死んでよ。もう飽きたから。」
ロキの漆黒の剣は信長の黒と銀の武装を貫いた。
「ぐはぁっ!」
「なんか精神防御をたくさん付けてきたみたいだけど、そんなんじゃ僕の【完全支配】対策は出来ないよ。だって僕の権能は神さえ操るんだから、人間如きの精神操作対策なんか役に立たない。」
「最初から遊ばれてたってわけか...」
「そういう事。僕が戦闘系じゃないから勝てるとでも思った?残念だったねぇおじさん。」
ロキはそう言うと信長を貫いた剣を引き抜き、信長の傷口をグリグリと足で踏みにじり始めた。
「かはぁっ?!」
「ねぇ、痛い?痛いよねぇ?どうだった?こいつなら勝てると思った時の気持ちを教えてよ!ねぇおじさん!」
目の前で起こった出来事により、ミカヅチの中の何かが完全に崩れ落ちた音がした。
「おい...もういいよ...もううんざりだ、お前みたいなクズに殺されるぐらいなら最後ぐらいは抗ってやるよ。」
するとミカヅチは手に持った短刀を自分の胸の中心に突き刺した。その行動は直感で行ったものだった。
「何やってんの?その短刀で戦おうとするかと思ったのに、まさか自殺するなんてね。本当にマヌケなんだね。」
「自殺?...いいや違うね。俺はそうしなきゃって..感じたんだ。これで死ぬ..ならそれでもいい。でも俺..は神かもしれないん..だろ?もし俺が本当に....神子ならって...それに賭けたんだよ!」
瞬間、ミカヅチの体を眩い程の蒼白い光が包んだ。ミカヅチの肉体は少しづつ人間ではないものに作り替えられていく。細胞の一つ一つが別の物に変化していくようなそんな感覚。人格は人間のミカヅチとそうでなかった時のミカヅチのものが融合し新たなものになり、気づくと体中に電気が走っていた。それは荒々しく、力強く、それでいてどこか心地よい感覚だった。
「な、まさか?!いいや、そんな筈はない!だってアイツは時女神に封印された筈。こんな事が起こっていい訳がない。ふざけるなふざけるなふざけるなぁぁぁァァ!!」
ロキは一心不乱に蒼白い光に向かって斬りかかったが振り下ろそうとした剣はピタリと静止した。
ミカヅチの周囲を覆っていた蒼白い光がミカヅチの体に取り込まれて行く。蒼白い光はすでにそこには無く月光に照らされた参道に立つミカヅチ。
そこに立っていたのは以前のミカヅチではない。黄色と蒼に彩られた少し長い髪はふんわりと躍動し逆立っている。その毛一本一本は淡く白い光を纏っている。肉体は元の細身の時とサイズはあまり変わらないが、確かに筋肉が隆起しており、体の至る所には蒼白く光る模様が浮かんでいた。
元の弱々しい南雲御雷人はどこにもいなかったのだ。
神威を終えた新たな南雲御雷人がそこには居た。
「よぉ、久しぶりだなぁ... ロ゛キィ!!!!!」
どうでした?
ミカヅチの覚醒までが長かったですねw
そこはどうぞ優しい目で許してください。(初投稿作品ですので)
次回からミカヅチくんの戦いが始まります!お楽しみに。
誤字や誤変換等を教えていただけると幸いです。続きが気になる!という方は是非ブクマしてください!励みになります!感想も是非是非お待ちしておりますのでよろしくお願い致します!
それではまた次回お会いしましょう。




