神威ー2
やぁどうも、トラウルマンです。
今回の話に入る前に少しだけ設定の補足を入れさせていただきます。
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この世界はユグダラシルと呼ばれる世界樹にぶら下がっている3つの世界に分かれている。
神の世界 神界アースガルデ
人の世界 人界ミルズガルデ
死後の世界 冥界ベルヘイム
時と空間の世界 時界タームガルデ
神界の最高神ゼウス、人の世界には各国がせめぎ合っている。冥界はハデスが支配する、そしてその三つの世界とこの三つがぶら下がっているユグドシルとはまた別のユグダラシル世界との調和を守っている場所こそが時界タームガルデ、時女神クロノスが一人で全世界の調和を行う場所。といってもクロノスは非常に優秀で、仕事をしながら話をしても完璧に仕事をこなす。超有能神でもある。しかし有能であるからこそ、この仕事が彼女にとっては暇な時間でしかないのだ。
そんな、時女神と話す変わり者の神が一柱いた。
それは他の神からイレギュラーと呼ばている自由奔放な神、セカンドラグナロクを起こした張本人。
名前を持たないが、その特異な出自ゆえ強力な力を持った神だった。時女神はイレギュラーと話す時間をとても楽しみにしていたようで、特別な感情も少し抱いていたのかもしれない
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長々と補足設定を前書きでやるのはいかがな物かとは思うのですが、まぁやらせていただきましたー。
それではこれを踏まえた上で、第二話どうぞ!
日が暮れかけた頃、雷大社の大鳥居を潜る男と少年が二人並んでいた。織田信長と南雲御雷人である。
二人の間にはどことなく気まずそうな雰囲気が流れていたが、無言というわけではなかった。信長がミカヅチに向かって自分が最近討伐した魔物の話をしていたからだ。
「最初は後ろ姿で尻尾が見えたからただの大蛇だと思
ったんだがな?追っかけてみるとなんと三つ首でよ、三叉大蛇だったんだよ!ほら、八岐大蛇の下位種のやつだよ。それでよぉ、周りの部下達はビビっちまって、『援軍を待ちましょう、親方様』ってな? ビビってる奴は帰れっつったら皆んな黙っちまってな?あいつらは大蛇より俺の方が怖かったみてぇでさ。もうちゃんちゃらおかしいよな?だって三叉だぜ?八岐大蛇ならまだビビるのはわかるがたかが三叉ぐれぇでなにビビってんだって。ミカ、お前がもっと大っきくなっても三叉ぐれぇでビビる大人にはなるなよ?お前は将来、俺の部下になるんだからな!んなははははははははははっ」
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大神皇国日本はミルズガルデの中心に位置する北東と南西に伸びる島、日本列島のほぼ全てを統治する国であるが、日本の南西には鬼族という亜人族の一種が住む国、鬼神国・烈雅がある。そしてその国境付近によく出没する魔物こそが大蛇なのだ。
大蛇は首の数によって強さが変わると言われていて、過去、日本列島に深刻な魔物災害(魔物によっておこされる災害)を引き起こし、災害級魔物に認定された八つの首を持つ大蛇、これが八岐大蛇であり史上最強の大蛇種と言われたのである。
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「俺は信長のおじさんの部下にはなれねぇよ、だって俺、雷の弱魔法しか使えない。それに武道も剣術もできない。俺には何の才能もないんだよ... 雷魔法で携帯を充電するくらいしか役に立たない人間なんだから...」
「なんでお前はそんなに自信がないんだよ。雷魔法を使えるってだけですごいじゃねえか!俺は闇系統だからあんまり普段使いは出来ねぇ。つまり戦うことしか出来ねぇんだ。それに比べりゃ雷なんてやろうと思えば戦い以外にもいろんな使い方ができるだろ?すごいいい属性だと思うぞ?もっと自信持てよ!な?ミカ」
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この世界には属性という物が存在する。
火、水、風、地、雷、闇、光。この7つに分かれていて、使える属性は生まれついて決まっている。大体の人間が1つの属性しか使えないが、属性を複数使用できる存在はこの世界には神を除外して、約二割程である。そしてこの個人に割り当てられた属性を使用し、魔法や身体強化等で戦闘を有利に進められる物、地属性だと製作系、光属性だと病院や霊媒師といった職業にそのまま役立てている物も一定数いるのだ。
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そんな信長の励ましにミカは虚しくなった。
信長という人間がお世辞なんか言わないのは百も承知だが、逆にそれが過大評価であるとミカは感じている。
ミカヅチの父親、南雲雷斗はその当時の日本の雷属性の戦闘職では"雷拳"としてかなり名を馳せていた。そんな父も病気で戦闘職を引退した後、この雷大社の南雲家に嫁ぎ神主を引き受けていたが、その病気で2年前亡くなってしまった。
"雷拳"の父の活躍は両親からも信長からも昔から聞かされて憧れていたが、いじめが始まってからはミカヅチの首を絞める存在になっていて、いじめのショックからか記憶が薄れてしまい、顔が思い出せない。
気まずい雰囲気の中、本殿から少し脇にある家に二人は到着した。ガラガラと戸を開け信長は元気よく口を開いた。
「恵子さん!只今帰りましたよー。ミカヅチも一緒に拾ってきました。」
すると廊下の奥のリビングから割烹着姿をしたミカヅチの母親、南雲恵子が現れた。
「あ、信長さん、意外と早かったですね。お使い頼んじゃってごめんなさいね?ほんとはミカに頼むつもりだったのよ?なんで返信してくれないの?心配したじゃない。」
「ちょっと遊んでて喧嘩になって返信できなかった
別に怪我してないし、母さんはいつも心配しすぎ。」
「そうそう、それでミカが公園で友達と別れた後に
俺がミカを見つけて一緒に帰ってきたんですよ。男は喧嘩して成長していくもんですからね!」
そう言った後、信長はミカを横目で見て少し笑った。
「わかりました。信長さんがそういうならそういう事にしておきます。だけど次またメール無視したら怒るからね。じゃあ夕飯にしましょ、もう支度は終わってるから」
そう言うと恵子はリビングに歩いて行った。
靴を脱ぎながら、信長はミカに向かって
「喧嘩で負けて気絶してたなんて恵子さんに知られた
ら怒られるからな。これは貸しにしといてやるよ」
ニヤニヤしながら信長は言った。
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ミカは夕飯を食べてすぐ風呂に入り親と信長に声も掛けず部屋に戻り、ベッドに突っ伏した。リビングでは母が信長に何やら相談していたが、気にせずミカヅチは眠った。
「で、本当に只の喧嘩ってわけじゃないですよね?」
「あぁ、まぁ実際はそうですね。俺が見た時はミカくんだけだったんですが、一人で倒れてたんですよ。恐らく喧嘩で負けて気絶したんだろうなとは思いましたが、それにしては不自然なくらい怪我が無かった。俺がおかしいと思ったのはそれだけじゃなくて何かを隠しているようなそんな気がしました。恐らくいじめられてるのではないかと思うんですがねぇ。」
「やっぱり信長さんもそう思いますか...三、四年前も少し違和
感があったんですけど、気になる程じゃなくて、もしいじめがあったとしてこの1年でエスカレートしたんじゃないかって思って、学校側に何度も聞いてみたんです。でもまともに調べてくれませんでした。それで、この雷大社から離れて、引っ越すという話を出したところ、ミカが反対したんです。」
「それであの状態って訳ですか...何かあるのかもしれませんが、相手が神子ってなるとちょっとねぇ、調べるもんも調べにくいでしょうね。」
そんな会話の途中、信長の携帯から着信音がなった。
「もしもし、こちら織田信長、は?おい嘘だろ、俺今日休みなの知ってんだろ?」
「え?おいおいマジかよ、チッ、なんでこんな時に、クソッ、わかった今から指定の場所に迎えに来れるか?」
「ああ、場所は雷大社の前で頼む。」
そう電話を切ると、信長は気まずそうに
「恵子さん、すみません。なんか神子絡みの緊急の案件が入ってしまって、今から仕事に戻らなきゃ行けなくなってしまいまして...ちょっと行ってきます。明日のパーティに影響しなきゃいいんですがね。俺もミカの喜ぶ顔見たいですし。まぁちゃっちゃと終わらせてきます!」
「いえいえ、仕事なら仕方ありません。もう信長さんもお偉いさんですものね。大変だとは思いますけど、頑張ってくださいね。私応援してますから!」
「こちらこそですよ恵子さん、恵子さんと雷斗さんには返しきれない恩がありますから、その為にももっと頑張って統治権を与えられるぐらいになりますんで。そしたらこの雷大社も安泰ですからねぇ。それじゃ、失礼します。」
信長が足早に家を出た後、恵子は家事を済ませながらテレビでニュースを見ていた。
するとこんな緊急報道が走る。
【速報】大和市内で暴走したのは神獣か悪魔か 死傷者数名
そのニュースでは、被害は少ないが死傷者が出ているらしいという事だった。
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[神獣]とは、神自身に紐付けられた従魔であり、只の魔物とは違いかなりの戦闘能力や特殊な能力を持っている魔物である。神獣は基本的に精神体と物理体に変化できるので、神獣を持っている神が神子に転生した場合でもすぐ呼び出せるのだ。
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信長は大和の武将という地位についている。
武将というのは日本が保有する軍の中の将軍みたいなもので、それぞれの県に一人づつ配置され、その県の治安を維持している。そして戦争が起こった時や、八岐大蛇のような災害級魔物が出現した時等に招集され各軍の指揮を任される。
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[金田利恵]
三つ編みの髪はは緑色で毛先が黒のグラデーション。
おっとりしているが、真面目でとてもミカヅチとは幼馴染の女の子である。
彼女の出生は不明、赤子の時に金田という中年男性の家の近くでゆりかごに入った状態で発見された。
金田の見栄の為に利恵は引き取られた。しかし引き取ってしばらく経ち、育児という物が面倒だと思い始めた金田がダイエットのジョギングルートで毎週通っている雷大社の恵子に、仕事が忙しく女手もないので可哀想だから面倒を見てあげてくれないかとほぼ押し付けのような形で南雲家に半居候させている。
そんな金田に恵子は嫌悪感を抱いていたが、利恵の事はミカヅチと同じように愛情を注ぎ面倒を見ているのである。
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「まぁ、市内のこのあたりだと利恵ちゃんのお家は大
丈夫かしら、やっぱり今日は利恵ちゃんを泊らせておくべきだったかしら...何もないといいんだけど…」
利恵は人見知りなので、信長が泊まると怖がるかもしれないという理由で金田がジョギングに来て帰ろうとした時に一緒に金田の家に預けた。金田はあまりいい顔をしていなかった。戸籍上では実家は金田家なので、預けるという言い方はおかしいのかもしれないが、ほぼ南雲家にいるので利恵にとってはこっちの方が実家なのかもしれない。
だがそんな時に限ってこんな事件が起きるとは、恵子は心配で仕方なかった。金田に連絡をしても返信が無い。時間的にも8時半を過ぎた頃、寝ているにしては早すぎる。そんな状況が更に恵子の心配を増幅させた。
そんな事を考えながら恵子が家事を終え、風呂を上がった時にはすっかり時計の針は10時を回っていた。
その時だった。外で轟音が響き渡った。
何かの声だろうか?しかしこんな地響きのような唸り声をあげる魔物などこの付近には出没しない。いくら郊外といえど出没するのは低級の魔物、スライムや下級アンデット程度だ。恵子は先程のニュースの内容が脳裏をよぎった。
すると恵子は急いでミカヅチの部屋に向かった。
「ミカ!なにか外で大きい音が聞こえたから母さんちょっと様子見てくるわね。」
「それと、もしミカに何か危険なことがあった時のためにこれを持ってなさい!これは我が南雲家に伝わる御神体、これがあれば貴方の事を守ってくれると思うわ!それじゃ言ってくる」
「守ってくれるんだったら母さんが持ってた方がいいんじゃ...」
ミカヅチは母から古びた金色のヴァジュラと呼ばれる宝具に非常に酷似している物を受け取った。大きさは30センチ程で、中心には握る部分の様な凹みがあり、その上下には5個の刃が付いている。全体的には金色だが、等間隔に青白い線が所々に浮かんでいた。そのあまりの神秘的な様相は宝具と言われても疑いようが無い程だった。
その宝具らしき物を眺めて数分経ったが、母が帰ってこない。心配になったミカヅチが外に様子を見に行こうと靴を履いていると外からは恐らく母であろう絶叫が聞こえた。
不安と恐怖に襲われたミカヅチは靴を履ききっていなかったが、急いで家の戸を開けて外に出た。
外に出た瞬間、鳥居の方で手水舎だろうか?何かの液体が地面に撒くような音が聞こえた。
遠くからは暗くて見えなかったが、近づくと共にはっきり見えてきたそれはあまりにも信じ難い光景だった。
ロクシー=ルナ=キーフォンデルクがそこにいた。
彼が伸ばした手は南雲恵子の腹を貫き、その右手は血に染まっていた。南雲恵子は意識がないのか力なく項垂れている。
ロクシーが母を殺そうとしているのだろうか?しかしそれにしてはロクシーの顔は子供が虫を殺す時のような表情。罪悪感など微塵もないようなそんな表情をしていた。まるで人間ではないようなそんな表情を。だが、ミカヅチがその場に到着した事を確認した瞬間、ロクシーの口角は気味の悪いぐらい上がり、三日月のようにも見えた。
「やぁ、さっきぶり。誕生日プレゼントあげるって言
ったでしょ?ちょっと早いけど、これが誕生日プレゼントって事でいいかな?それともあっちがいい?」
ロクシーはそう言いながら鳥居の上の方を指さした。
なにもいなかったそこには漆黒の姿で、頭には鋭い剣の様な角が一本生えており、背中に見える漆黒の翼の骨も剣のように鋭く尖っている。そんな悪魔の様な生物が泣きじゃくる利恵を抱えていた。
あまりの出来事にミカヅチは一瞬理解が及ばなかった。いや、理解したくなかったのかもしれない。夢であって欲しかった。毎日いじめられているからこそのトラウマからくる夢だ、そう頭で何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も曲解しようとした。
しかし、現実は非常だった。何度を擦っても霞まないし、血が滲むほど頬をつまんでも目は覚めない。なぜならそれは真実なのだから。ミカヅチの頭の中を埋め尽くしたのは〔絶望〕その一文字だった。
どうでしたか?
次回からやっとバトルシーンがあります!
信長が活躍してくれますので、乞うご期待!
それではまた




