神威ー1
やぁどうもトラウルマンです。
1話目にしてはかなり重い話になっていますが、この物語の設定部分なども少し入れ込みました。
これからどういじめられっ子が成り上がるのか、その為の引きしろだと思いながら読んでいただけると幸いです。
文章間違え、入力ミス等はごめんなさい
許してください^^
ここは現代の世界より少し進歩したが神が存在し、魔法と最新技術が入り乱れる世界
そこにある5強国の一国[大神皇国・日本]の首都大和の中にある神社、雷大社。
その神社は流行が過ぎ去った後の少し寂れた感じがあるが、遠目でも神社とわかる大社。綺麗に整った階段から見える大鳥居。そして階段を登り切り、大鳥居を潜ると少し近未来的な青白い線が入った参道があり、左方には手水舎、奥に拝殿、その屋根から少しはみ出て見える立派な本殿がそこにはある。
その参道では巫女服を着て、竹箒を慣れた手つきで右に左に動かす女性が居た。
「今日も遅いわねミカ...はぁ、母さん心配。」
するとその巫女服の女性の後ろからジャージを着たふくよかな中年男性が汗を流しながら声をかけてきた。
「ミカヅチ君も明日で13歳なんだから、そんなに心配
しないでもいいんじゃないですか奥さん?
私だってその歳くらいの時は遅く帰ってきて
母親に叱られたものです」
「別に遅いのはいいのですけど、でも毎日毎日
やつれた顔で帰ってきてるんですよ?
何かあったと思わない方が変ですよ」
「やっぱりいじめられてるのかしらあの子...」
「うーむ、ロクシー君たちか...ミカヅチ君と仲が良さ
そうに振る舞っているだけならば、あんなに屈託の
ない笑顔で話せるはずはないとは思うんですけど」
「でもロクシー君は神子【みこ】ですよ?もしかした
らそういう神の神子かもしれないでしょう?」
「神子か...でも神威が起こってみないと何の神か
わかりませんからね、何とも言えませんよ」
「...普通は...そうですよね...あっいえ何でもありません
さっ私も明日の誕生日会の準備を進めないといけま
せんし、金田さんもランニングの途中でしたね
すみませんこんな話をしてしまって」
「いえいえ、私の義娘もお世話になっていますし
私は義娘の様子をダイエットがてら見に来ただけで
すので、いつでもお悩み相談に乗りますよ」
「これからも義娘を宜しく頼みます。私ももっと
休日があれば、ミカ君の面倒を見てあげられるの
ですが...」
「そんな、全然大丈夫ですよ。うちの神社は最近
めっきり参拝客も減り、行楽シーズン以外は
大抵暇なので、それに利恵ちゃんも神社の仕事を
手伝ってくれてますので、私どもも助かってます。
こちらこそこれからもよろしくお願いします」
「いやぁー奥さんは口が達者ですな。そのお言葉に
甘えさせていただくとしますかな!それでは
また」
そう言うと金田というふくよかな男性はなにか後ろめたさを醸し出したように足早にそこを去っていった。
「なにが義娘よ、育てるのが面倒なだけじゃない
あんなんじゃ一生嫁なんて来ないわよ」
女は一つ溜息を吐くと掃除を再開する。
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神子【みこ】それは神の転生体であり、12歳から13歳までに神威【かむい】という転生体の中で、神であった頃の自我と12.3歳まで育ってきた自我の融合現象が起こる人間の総称である。神とて不死ではない。神界の神が死んだ場合、人界で人間に転生して約13年過ごすのだ。
神が治めるこの世界では、人間になってみないと人間の気持ちが理解できる訳がないという理由で神子という存在が遠い昔生み出された。
(もしかしたら冥界という薄汚い場所に行きたくないという要望も少しあったのかもしれないが...)
そんなこの世界では神と人間と亜人等といった様々な種族が混在している。そこで産まれてくる人々には例外なく神子という存在が誕生する可能性がある。
その神子だが、神威後にはほぼ神と言っても差し支えがない力と魔力、そしてその神に付随する"権能"と呼ばれる特殊な能力が与えられる。なぜならほぼ神だからだ。
神威前の神子がどの神かわからないというのはこの世界では通例ではあるが、実際はそうではない。
産まれてきた瞬間、直感的に親には何の神かわかるのだ
しかし、この大和では神威前に何の神かを周りに言いふらすのは禁止とされている為、神子の親ではない国民達には何の神かわからないという風潮が出来ている。
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ロクシー=ルナ=キーフォンデルクもまた神子の一人である。
「早く立てよ南雲ぉ、日が暮れる前にあと
8発分残ってるんだから..さぁっ!」
彼のつま先がうずくまる少年の腹に打ち当たり鈍い音がした。
雷大社からは数百メートル離れた公園で、腹を押さえうずくまる少年を数人の少年少女が見下ろしていた。いや、蔑んで見下すと言った方が正しいかもしれない。
その集団の先頭に立つ二人は、背の低い黒のマッシュの糸目の少年、ロクシー=ルナ=キーフォンデルクと背が高く12歳にしては筋肉質な体つきの赤いツーブロックの少年、戦立義仁である。
「おい、ロキこいつ死にそうだぜ?今日が命日か?
てかあと8発なんて面倒だし、2発で終わらそうぜ」
そこだけ聞けばいじめられてる少年に対してとても良い提案だと思うかもしれない。しかし現実は非常である。8発を2発にするという事の恐ろしさをうずくまる少年は知っていた。
「そうだなー今日は足の指にすっか?それとも手?」
「義仁、そんな小さいところじゃなくてさ、腕の関節
にしよう。だって南雲は明日誕生日なんだ。
俺らからの誕生日プレゼントって事で。」
「そりゃいいな!そうしようぜ!おい、仕事の時間だ
ぞ朱美」
後ろの数人から青く長い髪を結んだ大人しそうな少女が前に出ておどおどしながら言った。
「死んじゃったら...私治せないからね?」
「わかってるよ。殺しはしない。まぁ自分からは死に
たくなるだろうけどね?」
「じゃあ先いいよ義仁」
「おう!昨日開発したヨシヒトスペシャルで行くぜ!破壊力
抜群なんだぜ?」
「あっそ」
「おおおぉぉぉぉーーーー‼︎‼︎食らえっ!
ヨシヒトナックル‼︎‼︎」
その瞬間、義仁の大きく振り上げた拳に赤く淡い光が纏った。それはただの筋力に任せたパンチ等ではなく、おおよそ普通の12歳の少年からは発揮できない威力の一流の武道家に匹敵するであろうパンチだった。
ボグゥゥゥッッ!
ミカヅチの腹を押さえていた方とは逆の右腕に拳が振り下ろされる。中でミシミシと音を立てながら確実にミカの肘と関節の骨を砕いていった。
「っっうぅぐぅぅぅっ??!!」
ミカヅチは声にならない声をあげ痛すぎて抑えることもできずにうずくまっていた。目には大粒の涙を溜め、口からは涎と胃液で混ざり合った泡が吹き出し始めていた。
「ヨシヒトスペシャルじゃなかったのかよ。くだらねぇ」
「あれ?そうだっけ?まぁいいや!これで俺は満足
だ。ほら次はロキの番だぞ」
「こんなアホが僕とおんなじ神子なんてね。
やだなぁ」
「誰がアホだ!俺は今夜に神威が起こるって言わ
れたんだぜ?ロキより先に俺が神になるって事だ」
「僕も今夜だよ。まったく、あ!そうだ義仁
お前、神威終わったら暇か?ちょっと面白い事思い
ついた」
「ん?多分暇だぞ、父ちゃんは神威が終わったら仕事
に戻るって言ってたし。それよりなんだよ面白い
事って!」
ロクシーは気味の悪い笑みをニタニタと浮かべてミカヅチを見ながら義仁に耳打ちした。その途端に義仁も笑いながらミカヅチを見た。
あまりにも気味の悪い事態にミカヅチは痛みに悶えながら恐怖した。
「じゃあ神威もあるし、ここら辺で帰るかみんな」
ミカヅチはほんの少しだけだが安堵した。これで終わるだろうという安堵だ。しかしその瞬間、黒く淡い光を纏ったロクシーの足先がミカヅチの先程殴られた部分にめり込んだ。
「なんてな、1発残して帰るわけないだろ?南雲」
あまりにも一瞬の事で意識が飛びかけたミカヅチだったが、自分の蹴られた腕を見るととてつもない痛みが襲ってきた。ミカヅチの腕は肘から下の肉がぐちゃぐちゃになり骨が見え、今にもちぎれそうに無気力にぶらぶらとぶら下がっていたのだった。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ーーー!!」
悶絶するミカヅチの声は公園に響き渡りそうになったが、一瞬でロクシーが口を押さえた
「五月蝿いなあ南雲は、どうせすぐ治すからいいだ
ろ? 朱美、早く治せ」
「うっわグッロ...私の服に血がついたらどうするのよ
いつもより強くなってない?神威が近いから?」
「そうなんかなー?確かにいつもより調子がいいけど
どうだろうなロキ」
「知らない、多少の影響はあるんじゃない?てか
僕の靴に血がついてる!汚らしいなぁ」
朱美はミカヅチに回復魔法を使用した。
ロクシーと義仁の家は大和の中でも名家、日本国の貴族。しかも二人は神子なので、ミカヅチに行われている行為が酷く残酷なものであるとは理解していたが、
こいつがいなくなったら次は自分なのではないかと恐怖に襲われながらクラスメイト達は日々を送っていた。
まだ残る絶望感を味わいながらミカヅチは泣いていた。
自分の弱さに、自分の虚しさに、自分を産んでくれた親への申し訳なさに、ただ泣いた。
もう死にたい、だが死ねない、それは家族のために死ねないのだ。昔ロクシーに言われた事に縛られ続けているミカヅチはどれだけ辛かろうが、どれだけ死にたいと思おうが死ねないのである。
「お前が死んだら次はお前の家族か、利恵がターゲッ
トだよ?」
その言葉に長い間縛られていた。
ミカヅチは湧き上がる殺意をいつも抑えていた。
抑えなければ、更に酷い目に遭うに決まっているし反抗しようとしても自分には弱い雷魔法しか使えないからである。
そんな自分の無力さに毎日嘆いていた。家族にバレないように、一番の理解者である幼馴染の利恵にもバレないように。
もちろん打ち明けたら楽だったかもしれない。家族で大和を離れ、別の場所に移り住むのだろう。
しかしミカヅチはこの地から離れたくなかった。利恵と離れるのも嫌だったし、何より両親が先祖代々大切にしている雷大社が好きだったからだ。
ミカヅチは欲した、己に力があれば、己が神子だったならどんなに良かった事だろう。神子というだけで、この国では待遇が変わる。学費なんかは勿論無い。
そして神子が神威を終え、ほぼ神になった時には神子用のルールで生きていけるからだ。神子が起こす殺人は災害と同義とされているので、大量の快楽殺人等を行わなければ二人殺すくらいなんの罪にも問われない。
己に力があれば...そんな事を考えて嘆いていると、ロキシー達はミカヅチに背を向けて帰ろうとしていた。
今日もやっと終わった。先程の絶望感の余韻を噛み締めながら安堵に包まれた。だが、帰りがけにロクシーが口を開いた。
「南雲ー、今日の夜楽しみにしとけよ?さっきより
すごい誕生日プレゼントを贈ってやるよ。
じゃあなー」
その時は何を言っているかわからなかった。彼らが今日までの行為の贖罪のためにとても豪華なプレゼントをくれるのか?いや、そんな訳はない。だとするならなにをされるのだろう。まさか神威を終えた後に家族か自分に何かをするつもりではないだろうか?
そんな一抹の不安と明らかに先程より湧き上がった殺意により体に青白い電気がビリッと走った。
それを彼は見逃さなかった。あまりにも狡猾で感の良いロクシーはその反抗に苛立ちを覚え、ミカヅチの顎を蹴り飛ばした。
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そこからのミカヅチの意識は誰かの背中におぶられている所から始まった。優しい背中に彼は懐かしさを感じた。
"皇国の大武将、織田信長"
皇国の大武将である彼が何故ここにいるのか、ミカヅチは理解していた。それはミカヅチの誕生日会のために休みを取ったのだ。
信長は昔から雷大社によく来ていた。それはまだ信長が一介の武将にすぎなかったころ、ミカヅチの父と母にお世話になったのだという。なのでミカヅチが産まれた時は我が子のように喜んだそうだ。
ミカヅチはそんな信長にまだ3歳の頃背中におぶられて寝ていた時の事を本能的に感じ取りなつかしさを覚えた。
「おっ、起きたか!久しぶりだなミカ。でっかくなっ
たなー。なんであんな所で顎に青たんつくって寝て
たんだ?久しぶりに会ったのにあんな再開は無いぜ
ー?」
「喧嘩しただけだ、気にすんな」
「おぉ!あの泣き虫のミカがもう喧嘩してんのか?
おっちゃん嬉しいなぁ。しかも雷斗(ミカの父親)
さんの喋り方に似てきたしなぁ。
でもその目の隈はなんだ?夜更かしかー?
寝ないともっと大きくならんし、
なにより小っせぇ男はモテんぜ?
俺の部下にもよ、猿みてぇなやつがいるんだが...
「うるさいな!信長のおじさんには関係ないだろ!」
なにも知らない信長にミカヅチは強く当たってしまった。信長がただミカヅチを励まそうしただけなのは理解している。
だが、ミカの心はボロボロだった。
家族に悟られまいと虚栄を張り、学校と放課後はロクシー達のいじめがいつ始まるかと言う恐怖に板挟みにされて4年も経過したのだ。
心優しい12歳の少年の心が崩れるには十分すぎた。
そんなミカヅチは信長という男を妬んだ。今この瞬間、6年ぶりにあったのにも関わらず。
健康な男性にしては少し長い黒髪はオールバックで纏められており後頭部で縛っている。夕焼けに照らされた肌はいかにも健康そうだ。口の周りには黒い髭が綺麗に整えられ生えそろっている。これがいい歳の取り方というやつなのだろう。
そんな信長にミカヅチは羨望と憧憬の念を抱いていた。それがドス黒い負の感情の中から生み出されたのかは本人すら分からなかった...。
1話目、どうでしたか?
なかなかに重い話ですが、主も昔いじめられていましたw
ですがそれが今となってはいい経験だと思うことにしました。
まぁこんな酷いいじめではありませんでしたが、、、
2話の投稿はすぐ行いたいと思っておりますので、しばしお待ちを。




