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私は初恋のやり直し最中です。

作者: 白百合千里

高校の時卒業文集に載せるプロフィール帳書いた。




貴方には今現在好きな人はいますか?



→Yes




その人とはお付き合いをしていますか?



→Yes



過去辛い恋愛をしたことがありますか?



→No





私は彼としか恋したことないのよ?

ーーーーーーーーーーーー

今日、私の姉が結婚するらしい。

相手は私の家庭教師だった先生だ。

そして、私の憧れだった人だ。

人はそれを初恋というらしい。






私の家族は全員で4人家族

堅物な父に専業主婦で父の言いなりな母。

成績優秀でとても可愛らしい姉。

そして頭の出来が悪く何をしても怒られる私。



私は頭の出来は良くなかったが運動神経だけはあったらしい。

中学の部活ではバレー部に入り1年生にしてスタメン入り。

2年生ではキャプテンを任された。

成績はインターハイでトップを争うくらいの強豪で2年生の中総体、新人戦では全国大会に出た。

そんな私を見ても堅物な父は


『勉強が出来なければ意味が無い』

『もう少し姉を見習って大人しくしろ』


父に逆らうことをしない母は


『お父さんの言うことをしなさい』

『今からでも矯正をしないといい所のお嫁さんにはなれないわ』



姉は

『全国大会出場何て凄いわおめでとう!』

『でも少しは落ち着きなさい?勉強もしないと将来大変よ?』




ねぇ、みんな知ってる?

私まだ中学生なんだよ?

少しは自由にしてくれてもいいんじゃないの?



中学3年生になり中総体ではベスト4で引退。

すると同時に家庭教師をつけられた。

それが彼だ。

運動ができても勉強が出来なかった私に1から教えてくれた。

その他に学校で何があったか聞いてくれたし、私が運動は得意で部活で全国ベスト4に入ったと言うと自分のことの用に喜んでくれた。

そんな彼に絆されるのは時間がかからなかった。




先生に褒めてもらおうと勉強も頑張ったしオシャレも頑張った。

今までショートだった髪は今ではセミロングになったし、少しは色つきのリップもするようになった。

母は中学生なんだからまだ早い何て文句は言うけど成績が伸びてるんだからこれくらいは許してって言うと何も言わなかった。

父は成績が良ければ良いなんて思ってるらしくて他のことには興味が無いようだ。





ある日ニヤニヤしながら姉が私に訪ねた


『ねぇ、彼のこと好きなの?』


『違う、ただ憧れているだけよ。恋じゃないわ』


『そうなんだ!お姉ちゃんはわかってるからね!』


なんて言う姉だが絶対分かっていない。

まぁ可愛い服はお下がりでくれたし、似合わなかったというメイク用品もくれた。

それだけは感謝している。



ある日珍しく父が早く帰ってきており、私の受験前の最終段階だった。

時間前になっても部屋に来ない彼を不思議に思い階段を降りると声が聞こえた


『娘さんと結婚を前提にお付き合いしています』


私は足が止まった。

何を話しているのか分からなかった。


『今それ言うの?』


何てにこやかに話している姉の声が聞こえた。

何故か震えが止まらなかった。

足音を立てないように部屋に戻ると鍵を閉めてベッドに寝転んだ。

数分がたってドアをノックし返事がない私に不思議に思ったのか母がドアを開けようと必死に動かしていたし、父も無理に開けようとしていた。

姉は心配してるように声をかけてきたが自分にも何が何だか分からなかった。

先生が受験前でナーバスになっているんでしょうとか言って帰って行った。

そのまま夕食も食べず部屋にこもり、寝静まった深夜にシャワーを浴びた。

次の日朝ご飯も食べず適当に身支度をし、誰にも挨拶をせず受験に行った。

答案用紙には何も書かなかった、いや書けなかった。

面接では答えたが絶対落ちただろう。

志望理由が『父に言われたから』なんて言う人は私以外にはいない。



案の定落ちた。

父には殴られた。

母には泣かれ、姉は自分には関係ないなんて顔で母にお小遣いをせびっていた。

二次受験がある学校は私立以外には何も無かった。

そこにはスポーツ推薦で来て欲しいと言われた学校があった。

スポーツ推薦者で家から離れている人は寮から通える、パンフレットを見て最初からここにしておけば何て後悔した。

でも、神様は私を見捨てていなかったようだ。

行きたかった高校から改めて推薦の話が来た。

ユースに出ていた私だ、例え勉強が出来なくてもバレーさえ出来れば良い。

もうどうでもいいや、何て思った私は両親の許可も取らずそこに受験した。

今ではそれすらも神様の導き出しなんて思っている。



結果は勿論合格。

合格通知を受け取った両親は唖然としていたが高校に行かないよりはマシだと思ったのだろう。

すんなりとお金を払ってくれた。



そこから直ぐに部活に戻り体を慣らした。

受験に集中していたとはいえ、隙さえあればバレーをしていた為ブランクはそんなに感じなかった。

両親とも姉とも一切会話は無かった。

卒業式の日もだ。

姉の時は家族で外食に行ったが父は仕事に行き、母は世間体のため出席のみして気づいたらいなかった。

家に帰ると私は直ぐに荷物をまとめ、入寮を早めてもらい直ぐに部活に加わった。

今まで以上にバレーにのめり込むようになり、スタメンの練習に加わることができた。

先輩からのイジメもあったが別に気にしてなかった。

私はバレーさえ出来ればいいのだから。



入学式、出席を叔母に頼んだ。

全て叔母に説明してあるし、私の保護者代理になってくれることになった。

遠征費も負担してくれると言ってくれた叔母には今でも頭は上がらない。


入学して直ぐに友達ができた、ユースで一緒だった子。

2人一緒に直ぐにスタメン入りを果たしたし、イジメも2人で耐えた。

この学校はそれなりの進学校だが勉強1色ではなく、部活での推薦で大学に言ってる人も多く私にはやりやすかった。

恋愛禁止という訳でもなくそれなりに彼氏を作ってる先輩もいた。

恋愛1色の先輩は直ぐに辞めていったけど…



「なずな」


私の名前を呼んでくれる人が増えた。

私の彼氏。

最初は頭がおかしい人だと思ってた。


『お前ナズナなの?俺スズシロセリ!俺ら七草粥じゃん!メンバー探そうぜ!』

『ホトケノザなんて人いないとおもうけど』

『…確かに!』


そこから仲良くなり話すようになった。

私はバレー部で彼は軽音部で周りからはどうして仲良くなったのか不思議に思われていただろう。

でも彼の隣は心地よかった。

それから告白され付き合うようになった。

高校3年間は親友と彼と一緒に過ごしたと言っても過言では無いと思う。



私はバレーばかりだったけど彼は飽きずにそばに居てくれたし


『俺はギターを極めるぜ!』


なんて言って私が自主練をしている体育館の端でギターを弾いていた。

実家に帰ったことは1度もなかった。

私は大学でもバレーをするつもりだったし、あの家に帰るつもりも無かった。


『帰るくらいならバレーをする』


なんて言った私に


『なら俺んちくれば?今のうちに知り合っとけば挨拶来る時緊張しないっしょ?』


なんて、私との未来を考えてくれていた。


私がバレーで全国大会に行ってる間に彼は部活での演奏をインターネットに乗せたそうだ。

それが案外大反響で、自分たちで作った曲を聞きたいなんて言う人も出てきたらしく


『困っちゃう』


何て嬉しそうに電話してくる彼が可愛かった。


私が大会から帰ってくると案の定彼はクラスの女子に囲まれていた。

少しヤキモチを妬いたけど彼は私を直ぐに見てくれると知っている。

ほら


「なずなおかえりー。準優勝おめでとぅー。」

「その言い方何なの?ありがとぅー。」

「ねぇ、私には無いの?」


ふざける私達の隣で親友は怒ってた。

クラスの女子は私たちを睨んでいたけどふざけながら私に抱きつく態度を見て少しは察したのだろう、何事も無かったように解散していた。


「今更俺の魅力に気づくなんて遅れてんな」

「…私だけに分かればいいんじゃないの?ダーリン?」

「俺にはお前だけだぜハニー!」


何てまた悪ふざけしていれば親友に怒られた。

これもまぁ1つの思い出だ。



あれから私たちは無事卒業した。

私は大学から推薦が来て、オリンピックの強化選手にも選ばれた。

彼はあのバンドメンバーとメジャーデビューに向けて頑張るそうだ。

親友は私と同じ大学でこれからも私の相棒を務めてくれる。



親には大学にはいるから金出せとだけ言ってそれから一切話していない。

姉に至っては1度も会っていない。

まぁ、それが良いだろう。

大学を卒業したら私は成人している。

親に人生を決められる必要は無いわけで私がやりたい事をやらせてもらう。



それから私は大学生、彼は社会人として頑張っていた。

彼はメジャーデビュー後売れっ子としてテレビにも沢山出ていた。

テレビに出てる人が隣でお味噌汁啜ってるよ?

まぁ、私もこの前初めてオリンピック出たんだけどね、なんて考えながら半同棲で生活している。

一応私が大学を卒業したら同棲することになってるし、彼の両親にも挨拶は高校の時にもしてるし、同棲するってなった時にもした。


『あんた、なぁちゃん逃したら結婚できないよ!』

『知ってるし、なずなとじゃなきゃ結婚しない』

『そんなのわかってるわよ馬鹿息子』


とっても暖かい家族だ。





同棲してから2年、私がオリンピック代表選手としてメディアに出てから4年。

私と彼の熱愛報道が出た。

両親からは私がオリンピック代表選手に選ばれた時より多く連絡してきた。

メッセージを開くと案の定


『今すぐに別れろ』

『芸能人何てろくでもない奴しかいない』


あんたらの偏見でしょ?何て思って連絡を無視した。

協会から別れなさいって言われた。

君は未来ある選手何だからって。

確かに私にはバレーしかない。

けど彼は私がバレーをしなくなっても愛してくれるのだ。


「私彼と別れるならバレー辞めます」


協会の人の返事は聞かなかった。

外に出るとマスコミの人に囲まれた。

通ろうとしても通してくれないしぶつかってきて痛かった。


「オリンピック代表選手傷つけちゃだめじゃーん?」

「芹…」


そこに居たのはバンドメンバーと一緒にいた芹だった。


「はーい!マスコミのみなさーん今からちょっと静かにしてね?撮っても良いけど静かにしてね?」


何て彼のお仲間が言って私たち2人の周りを360度カメラで埋め尽くされた。



「…ねぇダーリン?私ダーリンと別れろ何て言われちゃったの。別れるくらいなら私バレー辞めるわ」

「ハニーならそう言うと思ってた!俺知ってんもん!あれでしょ?未来あるオリンピック代表選手に子どもが出来たら嫌なんでしょ?別に授かりもんなのにねー?」

「私専業主婦になってもいい?」

「俺は別に構わないけどあそこで俺を睨んでる協会の人が面倒くさそうだし、それより俺を殺さんとばかり見てる親友ちゃんが1番怖い」


確かに私の親友がこっちを見ている

あれは怖い


「て事でなずな俺と結婚しよっか?」

「へっ?」

「未婚の選手が遊んでる何て思われるのが嫌なんでしょ?俺たちお付き合いしてから9年も経ってんのにね?今更記事にされてもって思っちゃうけどさ、やっぱりなずなが嫌な目に会うのは俺は嫌だし。なずなが幸せなら俺も幸せだからさ」

「…なら私が幸せにしてあげるわよダーリン」

「よろしくハニー」



このプロポーズは大々的に取り上げられた。

芸能界1のバカップル何て呼ばれたりしたけど


『俺ら夫婦になるんだけど!』


って彼は怒っていた。

怒るとこそこなのね?



騒ぎが少し収まり彼の両親に挨拶に行った。


「よくやったこのバカ息子!なぁちゃんが私の娘になるのよ!」

「良いか、芹。いい夫婦になる秘訣を教えてやる。嫁には逆らわないことだ」

「お父さん!何教えてるんですか!」


何て平和?に終わった。

問題は私の家だった。

行かなくても良いって芹に言っても大丈夫なんて言って引きづられて行った。


「結婚は許さん」

「なずなお父さんの言うことをききなさい!お姉ちゃんもまだ結婚していないのだし待ちなさい!お父さんのがいい人見つけてきてくれるから。いい子なお姉ちゃんを見習いなさい」


まだ結婚してなかったのか。


「彼が帰ってきたら結婚するつもりよ。数ヶ月位待てるでしょ?あ、どうせ別れるんだからいいのか」


相変わらずこの家族は腐っている


「俺別に許可を貰おうと思って来たわけじゃないです。結婚しますって言う報告だけしに来ました。報告できたので帰ります。お邪魔しました。」

「おい!話は終わってないぞ!」

「結局そいつのこと私の彼の代わりにしてんでしょ?初恋の人取られたーってね」


誰が姉を見習えだ。

こんなクソな姉と一緒になんかなりたくないわ


「…残念だけど私の初恋は彼よ?あれは恋なんかじゃ無いもの。もしあれを初恋と呼ぶのなら、その初恋は彼とやり直しをしているの。お姉ちゃんの旦那さんより年収があってかっこいい人見つけちゃってごめんなさいね?」


顔を真っ赤にした姉を無視して彼と一緒に帰った。

もう会うことはないのだから。







あの報道から直ぐに私たちは結婚した。

協会の人は


『子どもをまだ作らないなら良い』


なんて言ってこっちが許してやるみたいな態度を取ったから今回のオリンピックを最後に引退しようかな?何て考えた。

まぁ、彼がバレーしてる私の姿をもう少し見ていたいって言うからバレーは続けたけど。

結果オリンピックには3回出場し引退をした。

引退してからは色んな番組に出演した。

1番は問題夫婦として出るとこが多かったけど。


両親たちとは一切会っていない。

マスコミが両親に話を聞きに行こうとしたらしいが


『私に親なんていません』


なんて言って違う問題があったけど私には関係ないのだ。



叔母から聞いた話だと姉が結婚するらしい。

私が昔憧れた人だ。

まぁ、あんな腐った状況でまともな人が現れたら憧れはするだろうね。

世間ではその憧れを初恋何て呼ぶ人もいるらしいがあれは恋じゃない。

私が恋したいのは隣にいる彼だけで十分だ。





「さて。今日はスズシロさんご夫妻に来ていただいてますけども、まずはご出産おめでとうございます。」

「ありがとうございます。」

「確か女の子でしたよね?」

「はい!スズナって言うんですけどめっちゃくちゃ可愛いんですよ!」

「早速親バカですね」

「彼ったら最初ホトケノザ何て付けようとしたんですよ」

「ホッホトケノザですか?」

「実は私たちのなれ初めが…」

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