Write of Fate
~序章~
俺はごく普通の高校生、斎藤 田中璃音だ。俺は高校生活の片手間で『執筆家になれる』というサイトで小説を投稿している。
主に俺が投稿しているのは俗にいう俺TUYOOO系のものだ。主人公が最初からチートレベルの能力を持っていて無双するという読んでいて非常に気持ちよくなれる話だ。
しかし俺は中学2年生のころから小説を書き続けて作品も20ほど投稿しているのだがいまいち伸びないのである。世間の流行を取り入れているのに人気にならないのがおかしいほどだ。
「ヤバッ遅刻するじゃんか。続きは学校行きながら書くか」
俺はすぐに家を出て学校へ向かった。その間も携帯で小説を書くことを怠らない。
ここである横断歩道に差し掛かる。俺は小説を書いていたが前に人の影が見えたのでそこで止まった。ここはこの辺りでは結構長い信号である。普通の人であればイライラするだろうが、小説を書いているときの俺としてはありがたい。
どれだけの時間が過ぎただろうか。肌を突き刺すほどの寒さと小説を書くことに夢中になっていた俺は時間の感覚がほとんどなかった。
一瞬、前の人の足が動いたのが見えた。俺は遅刻しそうだったというのもあり前の人を追い越し、小説から目を離さないまま横断歩道を進みだした。
その時、巨大な轟音で俺はふと立ち止まって周りを見渡す。俺は横断歩道の真ん中にいた。そして俺の背丈をゆうに超える巨大なトラックが俺に迫ってきていた。
俺は小説を書くが小説の主人公ではない。チートレベルの能力も助けてくれるチートレベルの仲間もいないのである。
トラックは俺の身体を無残にも引き裂き、俺の身体から溢れるほどの血の臭いが漂う。
腕や足は車輪によって潰され、身体は冷たい道路に横たわる。空を見ながら俺は呟いた。
「嗚呼、雪か」
途方もない空からどこまでも白い雪が漂っているのが見えた。