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9/14

9:みんな殺したい!!!

前回1222文字と言いましたが、実は1170文字しかないことを感想欄で暴かれてしまいました。

おうふ!!!(´;ω;`)



 ――冒険者の依頼に危険は付き物だ。村の付近に住み着いた魔物を狩ってきて欲しいだとか、あるいは魔物の住処の近くに生えた薬草を摘んできて欲しいだとかな。

 だがそれをズバっと解決してこそ男ってもんだろう! むしろ危険な仕事ほどやりがいがあるってもんだ!


 というわけで、受付嬢ことクズ子の奴に超ド級の危険依頼『撲殺必死ッ! 山岳地帯に住み着いた残虐モンスター・コボルトキングを討伐せよ!』とかいうお仕事を貰ってきたわけなのだが――



「――オラッ! 死ねッ、オラァッ!!!」


『ワォオーンッ!? ヤ、ヤメローッ!?』


 所詮キングなど体長10メートルあるだけの犬である。出会って早々に顔面にドロップキック決めて突き倒し、そのまま首に馬乗りになって頭を殴りまくってたらあっさり勝利してしまった。

 おいおい、これじゃあやり甲斐がないじゃねーかよ! 


 ……まぁこんなこともあるだろうと思って、クズ子から他の依頼も一緒に受けてたんだよなぁ!

 えーと次は『毒殺必死ッ! 湿地に住み着いた凶悪モンスター・スネークキングを討伐せよ!』ってやつだったっけ!

 湿地はここから馬で半日はかかるところにあるらしい。というわけでダラダラ行くのも面倒だったので、無理やり手下にしたコボルトキングに肩車させて、さっそく湿地に向かったのだが――、


「――オラッ! 死ねッ、オラァッ!!!」


『キシャァァアアッ!? ギ、ギブギブギブッッ!?』


 所詮スネークキングなど体長20メートルあるだけの蛇である。噛み付き攻撃と巻き付くことしか出来ないんだから、尻尾を持って超高速でブンブン振り回してればすぐに弱ってゲロ吐いてあっさり勝利してしまった。

 おいおい、これじゃあやり甲斐がないじゃねーかよ! 


 ……まぁこんなこともあるだろうと思って、クズ子から他の依頼も一緒に受けてたんだよなぁ!

 えーと次は『圧殺必死ッ! 地下神殿に住み着いた超絶モンスター・ゴーレムキングを討伐せよ!』ってやつだったっけ!

 地下神殿はここから馬で丸一日はかかるところに専用の隠し通路があるらしい。というわけでダラダラ行くのも面倒だったので、無理やり手下にしたスネークキングに穴を掘らせて、さっそく地下神殿に向かったのだが――、


「――オラッ! 死ねッ、オラァッ!!!」


『ゴガァァァアアアッ!? マ、マイッタマイッタッ!?』


 所詮ゴーレムキングなど体長30メートルあるだけの岩である。スネークキングを投げつけて全身グルグル巻きにして、コボルトキングの尻尾を持ってガンガン叩きまくってたらあっさり勝利してしまった。

 おいおい、これじゃあやり甲斐がないじゃねーかよ! ていうか受けてた依頼全部解決しちまったよ!!!


 もういいや、今日は冒険者ギルドに帰ろっと!



「――というわけでクズ子、コボルトキングとスネークキングとゴーレムキングとついでにその取り巻きども数百匹を手下にしてきたんだが、依頼解決ということでいいだろうか?」


「いいだろうかじゃないですよぉぉぉおおおッッッ!? レインさんがそうやって意味の分からない暴力性で魔族とか魔物とかをどんどん手下にしていったせいで、ついに王都から『粛清』の通告がきちゃったんですよー!? うわぁぁぁぁ全騎士団が派遣されてくるぅぅううう!!!」


「は? 粛清? 何言ってんだお前? 俺は正義の英雄だぞ」


「これ見ろウワァーンッ!!!」


 そう言ってクズ子は俺に一枚の紙を投げ渡してくるのだった。

 えーとなになに~? 


『――首謀者レイン・ブラッドフォールと、コキュートスの街の住民共に告ぐ! 貴様らが汚らわしい魔物や魔族の群れを匿っていることは把握している! さらに、国の権力者たちを虐殺し、悪事に関わっていたという“冤罪”を流布したことも! よって貴様らに国家反逆罪の判決を下し、全員死罪とする!』


 って……なんじゃこりゃあ!? 冤罪を流布って、権力者どもが人身売買オークションに関わってたのは事実だろうがよッ!

 あまりにも滅茶苦茶な内容に震える俺に、クズ子は泣きながら告げてきた。


「わたしたち……生贄の羊にされちゃったんですよ……! 全国民が国に向けている不満の矛先を逸らすため、全ての罪をわたしたちに押し付ける気なんです!

 そうしてわたしたちを虐殺し、一部の者は捕縛して各地の街で処刑パレードでもやれば、民衆たちの良いガス抜きになりますからね……。

 ああ、何の罪も犯してないのに石を投げられて殺されるなんて嫌ですよぉ……!」


「いや、お前は業務上過失傷害罪と強盗殺人罪やらかしてるだろ……」


 クズ子は死刑でいいとして、この俺や街の住民たちを処刑する気だと!? 

 ふざけんな……ふざけんじゃねぇぞチクショウがッッ!!! これが人間のやることかよッ!

 俺は国からの通知書をビリビリに破り、床に投げつけて踏み付けた!


 ああなるほどぉ? 身内が犯した罪を認めず、声高々に冤罪だったと主張して、俺たちに全ての責任を押し付けて殺してやるだと!? 

 ほーう、大したクズ野郎だッ! この正義の英雄レイン・ブラッドフォールを相手に、ずいぶんと大胆な喧嘩の売り方をしてくれたじゃないか!


「……上等だ、一匹残らずブチ殺してやるッ!」


 敵が何千だろうが何万だろうが知った事か!

 喧嘩を売ってきた奴は全て殺すッ! それがブラッドフォール家の家訓なんだからなァッ!!!

   

 俺は冒険者ギルドを出ると、外で待機していた魔物の王どもと向かい合う。


『レ、レインとやら! 我らをいったいどうするつもりだ!? まさか番犬のように人間の守護でもしろと言うのか!?』


「あッ!? ちげーよ馬鹿ッ! 今からここに人間の集団数万人が攻めてくるから、そいつら全員グチャグチャにして喰い殺せやオラァァァァァッ!」


『『『えっ、いいのッ!? やったーッ! 一生ついていきますぜレイン様ッ!』』』


 小躍りするデカブツ三匹を引き連れ、さっそく俺は戦うための準備を整え始める。

 さあ、かかってこいや騎士団ども! 戦争の開始だぜ!!! 


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