8:人間性が死んでる!!!
マフィアからパクった古城の庭園で、パッツンパッツンのメイド服を着込んだベアトリーチェに足をペロペロされながら優雅に紅茶を飲んでいた時のこと。俺はハッと気付いてしまった。
「……そういえば俺、全然冒険してねぇ」
あーしまったなー! 俺、冒険者になってから一か月くらい経つのに、未だにモンスターの一匹も討伐してないじゃねーか!
人間だったら1000人くらい殺したんだけどな~惜しいな~。
よし、というわけで思い立ったが吉日だ。久々に依頼を受けに行くとしよう。
俺は足の指をしゃぶっていたベアトリーチェの口からちゅぽんと足先を抜き取ると、冒険者ギルドに出向くことにする。
ていうか……、
「はぁ、はぁ……あらレイン様、どうしましたの?」
「……いや、お前がどうしたんだよベアトリーチェ。今朝からいったい何のつもりなんだ? 起きたら裸で添い寝してるわ、朝風呂に入ろうとしたら全身にソープ塗って突撃してきたりと……」
「へへっ、へへへへ! だって今やレイン様ってば、大量の魔物どもを含めた街の住民たちから絶大な支持を受けている上、わたくしから財産も地位も取り上げてめちゃくちゃお金持ちなんですもんッ! こうなったら雌奴隷にでもなって養ってもらうしかありませんわ! さぁレイン様、種付けオッケーですわよ!」
「しねーよ馬鹿、心を入れ替えてまじめに働け」
「うわぁぁぁぁ無理ですわぁぁあ! マフィアと関わってたことがバレたせいで、街の皆さんから嫌われまくってて働き口がないんですのよォオオオッ!!! もうわたくしには子宮口しか残ってませんわーーーー!!!」
「うわぁ……」
ボロボロと涙をこぼしながら俺の足に縋りついてくるベアトリーチェ(29歳独身薬物中毒者前科持ち友達ゼロ預金ゼロ性奴隷希望者)。
なっ……なんて憐れな存在なんだ……! 人はここまで堕ちることが出来るものなのだろうか……!
何度殺そうとしてやっても涙目で逃げるし、しばらく経ったら養ってくださいまし~と半裸ですり寄ってくるし、どうしてそんな絶望的な状況になっても生きることを諦めようとしないんだ……ッ!
やべぇ……薬害耐性を付けたウザいゴキブリのように思ってたこいつが、なんだか下水道で必死に生きる子犬みたいに思えてきた。
俺は初めての気持ちに心を動かされながら、足元に縋りついてるベアトリーチェの頭をそっと撫でてやった。
「よしよし……もう悪いことはしないって誓うなら、しばらくは養ってやるからな……」
「ファッ!? レ、レイン様がついにわたくしのことを女性と認識するようにッ!?」
「いや、泥だらけの可哀想な子犬に見える……」
「どういうことですのッ!?」
ギャーギャーと喚く哀れなペットの頭をもう一度撫でると、俺はこいつのエサ代を稼ぐためにも仕事に行くことにしたのだった。帰りに首輪買ってこよっと……!
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