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14:レインくんを殺そう!

【帝国コソコソ噂話】


・強力な吸血鬼を12人集めて最強チームを作ったレインくんだけど、役立たずや気に入らない奴を殺していったらすぐに半壊したよ!




「――このままではジュデッカ帝国はお終いだ! あのレインという極悪人を処刑するのだ!」


「「「うぉおおおおッ!」」」


 絢爛なる王都の暗き地下。下水路の中に作られた隠し部屋に、フードを纏った老人たちが集結していた。

 彼らはかつて女王エヴァンジェリンに仕えていた大臣や高官たちである。帝国内において絶大な権力を持っていた彼らだが、それはもはや昔の話だ。


 十万の騎士団を絶滅に追い込み、女王の心を屈服させた白銀の英雄――レイン・ブラッドフォール。彼が新たなる帝王となったことで、あらゆる権力の濫用は即処刑という法律が作られてしまったのだから。

 税金を拝借することはもちろん、無理やり店を貸し切ることや、女中を強引に抱くことは出来なくなってしまった。


「くそぉ、レインめ……!」


 ああ……それだけならまだ良かったかもしれないと大臣たちは思う。甘い汁をすすることが出来なくなってしまったのは残念だが、それでも王宮勤めというステータスは大きい。給料は高く、安い女なら向こうから寄ってくるのだから、これからは法に触れない範囲で贅沢をすればいいだけだ。


 だがしかし、レインが次に作った法律がおかしかった。彼は王の間に掻き集められた大臣たちに対し、涼しげな顔でこう言い放った。


『役立たずの雑魚は俺の部下に必要ない。ゆえに本日より、貴族や高官を抹殺した者に新たにその地位を与える法律を施行する。死にたくなければせいぜい自分を磨くがいい』


 そんなパワハラの極みのごとき言葉と共に――地獄の日々が始まった。

 大臣の地位を狙う者たちに絶えず襲撃され、何度も何度も死ぬような思いをした。もしもの時のためにあちこちに用意していた隠し通路がなければ、とっくに殺されていたことだろう。


「あいつ、悪党とかそんなレベルじゃないだろうッ! 散々汚いことやってきた儂らだってドン引きだわッ!」


「ヤツのせいで国は滅茶苦茶だぁ! まさか我らが国家の平和を考える日が来るとは……!」

 

 恐怖と怒りに満ちた叫びを上げる老人たち。かつて脱税をはじめとした様々な汚職に手を出してきた彼らであったが、国家規模のバトルロワイヤルを開催したレインの存在はとてもじゃないが理解できなかった。

 貴族や高官の地位を狙った内戦によって日々多くの命が失われていってるというのに、かの帝王はエヴァンジェリンとベアトリーチェという絶世の美女たちに挟まれながらグビグビとワインを飲む毎日を送っているのである。


 しかも恐ろしいことに、帝王レインが施行した最悪の法律は、民衆たちにこころよく受け入れられていた。 


 元より、『人身売買オークション』などの悪行が露見してしまったことで、民衆たちの貴族に対する心象は最悪だった。

 その矛先を逸らすため、ジュデッカ帝国はレインとコキュートスの街の住民たちを虐殺して全ての罪を押し付けようとしたのだが――送り込んだ十万の大軍をレインは完全に打ち破り、伝説の英雄となってしまったのである。


 その英雄譚は民衆たちの心に火をつけた。“我らも邪悪なる貴族を抹殺し、武勲を立てたい”と思うのは当然のことだった。

 そんなところに帝王となったレインが合法的に貴族を殺せる法律を作れば――大爆発を起こすに決まっている。

 結果、ジュデッカ帝国は血と臓物と暴力と狂喜に溢れた暗黒世界になってしまったのだった。


「あいつ頭おかしいじゃろ……ッ! 凶悪なはずの魔物どもをボコって服従させてるし、毎日音速で一億回腹筋して衝撃波で地震を起こすし……!」


「レイン・ブラッドフォール――あの『魔王』を倒さねば人類に道はない! これ以上、ヤツの狂気を人々に伝染させたら駄目だ!」


「我々の手で世界を救うのだ!」


 おそらく生まれて初めて正義の心を燃やす大臣たち。汚職まみれの彼らであったが、それでも人間としてのギリギリのラインは踏み越えてこなかった。

 そんな一線を音速で越えた上に民衆たちをまとめて外道に引きずり込んだレインを、大臣たちは絶対に許さない――! 


「さぁ、レインのヤツをどう殺してやろうかッ!」


「どう殺す!? ちなみにワシは勝てんぞ!」


「どう殺そう!? ワシも勝てるわけがないぞ!」


「「「……」」」


 ――なお、怒りで勝てるような相手ならば苦労なんてするわけがない。

 体長何十メートルもの魔物を殴り飛ばして屈服させられるレインを相手に、勝利方法など簡単に見つかるはずもなく――大臣たちは「……とりあえず明日から筋トレしようか」と呟き、半泣きしながら寝ることにしたのだった……! 




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― 新着の感想 ―
[一言] シリーズ化してほしいくらい、面白かったです。
[一言] うん、これはひどい(褒めてます) 面白かったです。
[一言] 英雄ではあります。 主人公がたまたまいい人だった物語と違って こちらの方がよりリアルなのかも知れない。
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