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11:みんな殺せたあああああああああああああ!!!!(やったー!)


前回のあらすじ:いい年してパッツンパッツンのメイド服着ながら年下の少年にマトリョーシカにされる妄想する性根が野良犬みたいなお姉さんが調査員に痴態を晒してくれたおかげで、「こいつぁやべぇ」と思った国は街の殲滅浄化を図ろうとするのだった。






「ばっ、バケモノだぁぁぁああああッ!」


「助けてくれぇええええええッ!?」


 ――かくして、一方的なる蹂躙劇が幕を開けた。

 放り投げられてきた巨大な古城を前に、成す術もなく逃げ惑う数万の騎士団。多くの者が潰れ、ひしゃげ、ただの一撃にして何千人もの命が散っていった。

 だがしかし、それは開戦の号砲でしかない。完全に戦列が乱れた騎士たちに向かって、千匹以上の魔物どもが虐殺を開始する――!


『ギギャシャァァァアアアアッ! コロスッコロスッ!』


「ひぃいいいいいいッ!? こんな数の魔物がいるなんて聞いてないぞぉおおおッ!?」


 戦場は一瞬にして地獄と化した。

 ゴブリンの群れに殴り殺され、コボルトの群れに噛み殺され、ポイズンスネークの群れに毒殺され、ゴーレムの群れに圧し殺され、大地が死体で埋め尽くされていく。

 無論、騎士たちとてただでやられているわけではない。中には必死で剣を振るい、迫りくる魔物たちを撃退しようとする者もいたが――、


『ヌハハハハハハッ! 人を殺すのは気持ちいいなぁァアアアアッ!!!』


「なっ、どうしてここに危険度A級モンスター『神獣・ベヒーモス』がいるんだよォオオオッ!?」


 体長10メートルを超える二足歩行の異常種、ベヒーモスの一蹴りによって無数の人間たちが吹き飛んでいった――!

 さらにベヒーモスと同じく国から特級危険生物とされているコボルトキング、スネークキング、ゴーレムキングが爆笑を上げながら後に続き、次々と騎士たちを虐殺していった。

 まさに百鬼夜行である。本来ならば支配した領域から出ることのない魔物の王たちが、コキュートスの地に集結していたのだ。


 その信じられない光景を前に多くの騎士たちが戦意を失い、地獄の戦場から逃走を図ろうとする。

 だが、それは叶わない願いだった。何故なら騎士たちを殺さんとするものは、目の前の魔物たちだけではないのだから――!


「逃がすかオラァァアアアアッ! よくもオレ達を殺そうとしやがったなぁァァァアアアアッ!!!」


「ひぃいいいッ!? き、貴様らはまさか、コキュートスの人間どもかッ!?」


 騎士たちの退路を塞ぐように、農具や調理具を手にした街の民衆たちが立ちふさがった。彼らの表情は皆一様に、悪鬼のごとく怒りに染まっていった。

 そう……この戦場で魔物以上に騎士たちに対して殺意を燃やしているのは、一方的な処刑宣告を受けた彼らに他ならない。


 もしも一か月前の民衆たちであれば、国から虐殺宣言を受ければ一目散に逃げたことだろう。

 だがしかし、彼らは知ってしまった。邪悪なるマフィアどもを一人で討ち滅ぼし、凶悪な魔物たちすらも配下にして見せた白銀の英雄・レインという男を。


 かの英雄はいつだって真っ直ぐだった。圧倒的なる武力によって前へ前へと突き進み続け、どんな障害にも止まることなく己が意思を貫き続けていた。

 ああ、そんな男の背中を知って、平静でいられるわけがない。あんな風に気持ちよく生きて死にたい――そんな狂気にも似た願望が、住民たちの心を支配していた。


 コキュートスの人間たちは武器にもならない武器を突き付け、顔を青くした騎士たちへと宣告する。


「都合のいい生贄にするために、一方的に死んでくれだと? ――ふざけるなァァァァアッ!!! オレ達を殺そうとするテメェらが死にやがれぇぇえええッ!!!」


「やっ、やめろ、くるなッ! 平民の分際で騎士に逆らえば死罪にッ、ギャァアアアアアアアアアアアッ!?」


「命の大切さを知って死ねぇええええええ!!!」


 怒り狂った民衆たちに嬲り殺され、騎士たちはさらに追い詰められていった。

 もはや彼らに逃げ場などない。戦場の前方では大量の魔物たちが騎士らの身体を引き裂き、千切り、喰い殺し、たとえそこから逃げられたとしても、後方では血塗れの農具を手にした民衆たちが待ち構えているのだから。


『ギギャギャァッ! ニクッ、美味イッ!!!』


「やったあああああああああ! 騎士の首取れたー!!!」


 本能を解放した魔物たちと、殺意に目覚めた民衆たち。彼らはいつしか抜群の連携力を発揮し、息の合った動きで侵略者どもを狩り殺していった。

 ああ、この世でもっともおぞましき絆が生まれた瞬間である。彼らはレイン・ブラッドフォールという男に魅せられ、血縁よりも濃厚な流血によって心を通わせることに成功したのだ。


 そうして数千、数万の騎士たちを虐殺した後、彼らは血塗れの手で爽やかにハイタッチを交わすのだった。



 ――かくして、戦争は終息していった。

 一部の騎士たちがまだ抵抗を続けているものの、それもほどなく終わるだろう。

 

 そうすれば……後に残るのは戦場の中央で膝をついている、女帝エヴァンジェリンだけとなる。


「なんだ……これは? 私は、悪夢を見ているのか……?」


 わずか数分の内に、ジュデッカ帝国最強の騎士団が壊滅。そんなありえない現実を前に、エヴァンジェリンは呆然と呟いた。

 だがそれも束の間。自分に向かってゆっくりと近づいてくる足音に、エヴァンジェリンはヒッと悲鳴を上げて後退る。


「ひっ、ひぃいいいぃぃいいッ!? れ、レイン・ブラッドフォール……!」


「ハッ、残念だったなぁ女王様。俺の手下たちはみんな、俺と同じく正義の心に目覚めてるから強いんだよ」


 などと意味不明なことを言うレインに対し、しかしエヴァンジェリンは何も言い返せなかった。

 殺される、殺される、殺される。そんな恐怖が彼女の心を支配していたからだ。


(どうして……どうしてこうなった……! 十万も騎士を揃えれば、辺境の街を一つ滅ぼすくらい造作もない。だからこそ私自ら戦場に立ち、勇敢なる女帝として国民たちの信頼を取り戻そうと思っていたのに……!)


 その選択を心から後悔するエヴァンジェリン。ああ、そもそもベアトリーチェという精神を破壊された女の存在を知らなければこの街に戦争を仕掛けることもなかったのにと、哀れなる女帝は運命を呪うのだった。


 しかし、どれだけ後悔しようが全ては後の祭りだ。

 彼女は武力によって街を殲滅することを決め――そして見事に、レイン・ブラッドフォールの使徒たちに敗北することになったのだった。


 ああ、このままでは殺される。騎士たちのように嬲り殺される。

 だったらどうする? ――決まっているッ!


「ッッッ、舐めるなァァァアァアアッ!!! 私はこの国の女帝だぞォオオオオッ!!!」


 逃れられない死を前に、エヴァンジェリンの理性は切れた――!

 生存本能を闘争心へと無理やり変換し、指に付けられた最高級の指輪型武具――『魔導輪』の数々をレインへと向ける!


「死ねよ貴様ぁぁぁああああ!!!」


 四本の指に嵌められた内の一つ、赤き指輪より灼熱の炎が解き放たれた――!

 かの指輪は火山に住まう『フレイムドラゴン』の体内から発見された鉱石を加工したものだ。長い時を経てドラゴンの性質を取り込み、凶悪な魔具へと生まれ変わったのである。


 だが――、


「へぇ、面白い物を持ってるな。俺の魔剣よりも良さそうだ」


 レインが軽く手を振るうや、風速120メートルの暴風が巻き起こり、エヴァンジェリンの身体ごと灼熱の炎を消し飛ばしてしまったのだった――!


「ぐぅううううううッ!? この、バケモノめぇえええッ!!!」


 空へと舞い上げられていく女帝エヴァンジェリンだが、彼女はまだ諦めない。

 新緑と黄金に輝く指輪をレインに突き付け、災害のごとき風雷を叩き付ける!


 しかし――、


「無駄だ」


 レインが力強く大地を踏み付けた瞬間、厚さ数百メートルもあるような岩盤が盾のように起き上がり、エヴァンジェリンの攻撃を防いでしまった――!

 本来ならば街を一つ吹き飛ばせるほどの暴風撃だというのに、結果としてレインの服をわずかに捲り上げ、白く滑らかな腹部を覗かせる程度の被害に終わってしまったのである。そんな異常すぎる事態に、エヴァンジェリンは叫び狂う。


「あああああああああああああああああああああッ! 何なんだよその馬鹿力ァァアアアッ!? 腹筋も割れてないようなメスガキがァアアアアッ!!!」


「そんなことないぞエヴァンジェリン。毎日一億回腹筋してたら、腹筋が六十億個に割れて逆に割れてないように見えるようになっただけだぞ」


「意味のわからないことを言うなァァァアアアアッ!!!」


 絶叫と共に、空中で最後の魔導輪を解放させるエヴァンジェリン。青き指輪が力強く輝くのと同時に、レインの頭上に数百トンを超える巨大な氷山の塊が出現したのだった。

 ああ、これが最後の攻撃だ。魔剣や魔導輪といった魔具の力を使うには、使用者の余剰生命力――俗に『魔力』と呼ばれる力が必要になる。

 

 この数百トンの氷山は、エヴァンジェリンの寿命すらをも注ぎ込んで創造したものである。

 ゆえに、これを防げるわけがない。むしろ防がれたら全てが終わりだ。お願いだから死んでください。


 そんな殺意と恐怖が入り混じった気持ちで、レインに向かって氷山を叩き落とす彼女だったが――、


「――そんなもんを、人に向かってぶつけるんじゃねぇッ!!!」


 跳び上がったレインによるアッパーを受け、巨大な氷山は粉々に砕け散っていった……!

 その瞬間、エヴァンジェリンの心もまた崩壊を起こした。


 国宝級の魔具による様々な属性の虐殺魔法が、ただの『暴力』によって打ち破られていくという悪夢。そんな理解不能の現実に、彼女の精神は耐え切れなかった。


 空中に飛び散った氷の破片を足場としながら超高速で接近してくるレインを前に、エヴァンジェリンは心から思う。


「お前なんか……この国に入れるんじゃなかったァァァアアアアアアアッッッ!!!」


 そんな絶叫を最後に、エヴァンジェリンの顔面へとレインの拳が炸裂する。

 こうして彼女の脳みそは、頭蓋骨を飛び出して成層圏まで吹き飛んでいったのだった――!




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― 新着の感想 ―
[良い点] 頭蓋骨を突き破った脳が成層圏へ届く! これは単なる馬鹿力では不可能なはずですから、何らかの不思議パワーを持っているものと思われます! ゴンさん的なやつ! [気になる点] 飛んでいくのはい…
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