決着2
勇者が、おもむろに腕を上げ、指差したのだ。
その先には――大魔王がいた。
家 畜 の 分 際 で 大 魔 王 様 を 指 差 す だ と ?
その行為に切れたのは、女の魔王だけではなかった。
女の魔王と勇者の戦いを見ていた内の五人も、この不届きものを殺すべく、動く。
が
勇者に向かって放たれた攻撃はすべて、勇者からそれた。
!?
勇者の前に立ちふさがるようにして立つ細目の魔王。
それにより、勇者を殺すべく放たれた攻撃は、すべて無効化されたのだった
女の魔王「どういうつもり?」
細目の魔王「……僕たちの負けだよ」
「はぁ? 一体なにを」
銀髪の魔王「大魔王様!!」
悲鳴にも似た声に、すべての者の視線が、音源へと向く。
そこには――
口から血を吐き出し、ぐったりとうなだれる大魔王の姿があった。
「大魔王様!!」
細目の魔王を除くすべての魔王が、血相を変え大魔王に駆け寄る。
「……」
勇者は歩き出す、自分の前に立つ細目の魔王の横を抜け、喧噪の最中へ
「……ッ」
勇者が横を抜けた瞬間、細目の魔王は、全身の毛が逆立つのを感じた。
勇者は、ぐったりとうなだれる大魔王の巨体の前に立つ。
もはやその命がないことを、勇者は知っていた。
すべての魔王の視線が、勇者へと向いた。
「貴様……一体何をした……」
憎悪と恐怖が入り混じったような視線で、魔王達が勇者を睨む。
「短縮詠唱、雷撃極大魔法」
勇者の呟きにも近い詠唱から放たれる雷撃が、大魔王の死体を消し飛ばした。
「――貴様ぁぁああああッ!!!」
激昂した銀髪の魔王が、勇者に迫る。
対し
勇者は何もしなかった。




