表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/74

激突2

すなわち、最初から勇者の策のうちだったのだ。


 最初の会話、あれで、こちらの時間間隔を狂わせた。


 現時刻。まだ、全人類の魔力を集める時間ではない。







 つまり、少数の、策を知る者のみの魔力で、全魔力を集めた様に見せかけ、こちらの魔力を削る策略だったのだろう。






 事実、こちらは、盛大に魔力を消費してしまった。


魔王「……やってくれる」


 こちらが策を知ったうえで、それすら利用してきたというわけだ。


 目前、先ほどとは比べ物にならない魔力をほとばしらせ、転移魔法により着地した勇者を見つめ、魔王は顔をゆがめた。






 勇者のひと蹴りで、大地が爆散する。


 側近の目の前、激突する魔王と勇者。


 その余波を前に、側近の体が宙に浮かび、歪に折れ曲がった。


魔王「っ」


 問答無用か―


 勇者の激突にこらえきれず、魔王の体が浮く。


 そのまま直進、魔王城の外壁を突き破ると、場内を転がった。


 勇者は、弾けるように魔王から離れると、そのまま魔王とは別方向へ床を蹴った。


魔王「!」


 魔王がその方向を妨害するように立ちふさがる。


 勇者の理力の剣の一振りを、魔王は前腕で受け太刀した。


 スパークと、黒い魔力が弾ける。


 強大な魔力の追突により壁や床、天井にヒビが走る。


勇者「……ッ」


魔王「……ッ」

衝撃に互いに後方へ吹き飛ぶ。


 地面を削りながら停止する二人。


 そして停止と同時に、二人の姿が消える。


 爆散する天井


 壁を、床を、天井を蹴り、互いを錯綜させる二人。


 魔王城を縦横無尽に駆け回り、破壊的な余波をまき散らしながら二人は激突を繰り返す。






 勇者の狙いは明白であった。 魔王など後回しにし、魔王の間に到達することである。


 魔王の間には、破壊されては困る何かがある、それがなんなのかまではわからない。


 しかし、魔王は明らかにその場所を庇うように戦っている。


 その状況こそ、重要だった。


 勇者の銃剣の銃口が、魔王の間へ向けられる。


 庇うようにその場に転移する魔王。


 放たれる雷弾が、魔王に着弾する。


魔王「……ッ」


 雷弾の直撃により吹き飛び壁を貫通し、床を転がる魔王。


 床を腕で撃ち、胴体を起こす。


勇者「!!」


 勇者の周囲を覆うように、無数の黒い槍が切っ先を勇者へ向け、空中に召喚されていた。


 雷撃の閃光で視界が塞がる一瞬を利用して、防御ではなく、攻撃に転じた――


 槍が、一斉に勇者へ迫る。


 勇者は跳ねるように跳躍し、迫る槍を剣で撃ち落とし、時に魔法で迎撃した。


 その最中の、勇者の背後、拳を振り上げる魔王。


勇者「!」


 勇者は咄嗟に体を反転させると、剣の腹で拳を受け止めた。


 下から上へかち上げるように振るわれた拳撃に、勇者の体が浮き上がる


 魔王の拳の着弾点を中心に、まるで透明な風船が膨らむ様に空間がゆがんだ。


魔王「死ね!!」


 やがて空間がガラスの割れるような音と共に爆ぜると、勇者の体は一瞬にして極超音速まで加速し、魔王城の外へ弾き出された。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ