表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/74

従える能力

僧侶をこっそり司祭の家に帰した勇者は、行動を起こした。


 勇者の号令の突然の招集にもかかわらずその席には国王をはじめ、国の中枢を担う人物たちが集まっていた。


 皆が会議室の下座に立つ勇者に視線を向ける。


 何せ勇者は皆を集める理由として言ったのである。


 魔王達を倒す策を思いついた。 と。





参謀「皆もそろった、勇者よ、さっそくその策とやらを教えてくれ」


勇者「はい、それでは説明します」



 勇者はそういうと、心の中で、構えた。


 イメージは、仲間と一緒に戦闘している時だ、その時の心構えでもって、勇者は口を開く。


「全員、起立してください」


 勇者の言葉に応え、皆が一様に起立をした。


「……」


「…勇者よ、これは一体なんの真似だ?」


 王は起立したまま、怪訝な顔を勇者へ向ける。


「まずは、実際に体験してもらったほうが、説得力があると思いまして」


参謀「体験?」


「勇者の能力の一つ、命令です」


参謀「?」



「私から発せられた命令は、女神様の信徒ならば誰ひとり拒絶することなく、違和感を持つことなく、従わせることができる」



参謀「勇者、あなたは一体何を言っているんだ?」

「……突然の起立の号令に対して、あなた方は何も違和感を感じませんか?」


参謀「違和感といわれても」


 参謀は府に落ちない様子だった。 勇者の命令に従うことが正しいとまるで疑っていないように。


「冷静に考えてみてください、突然起立と言われて立つ人間がいますか? それも全員、こんなこと普通ありえない、 違いますか?」


「……言われてみれば」


 参謀はここでやっと半分納得したようだった。


「もちろんこの命令は、どんなことでもできるわけではありません。 たとえば信仰を捨てろなどの命令は、矛盾が生じるために拒否されます。 加えて、命令の内容が、された側の能力を超えている場合も同様です」


 加えてこの能力は勇者が心の底から願った場合のみ、発動される。


 それ故に、勇者は気が付けなかったのだ。


 戦士、魔法使い、僧侶……仲間や、王が自分の思い道理に動いたことや、冒険の最中他国の住人や、重要人物から都合よく話を聞けたのも、思い返せばこの能力のおかげだったのだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ