表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/74

まおうのさくせん

 でなければ誰がこんな、人間に手こずるような奴を送り込むものか、そういう事だろう




「だがな、こちらも、大魔力を持った魔族を人間界に送る術は検討することにした、貴様の魔結界の完成を待たずとも済む様にだ、この意味は分かっているな?」


「……は」


 危うく勇者に殺されそうになった自分の、その情けない現状が招いた当然の帰結だろう、この屈辱にも耐えるほかあるまい


「情けないことこの上ないわね、こっちは天使と戦いで忙しいというのに…無駄な手間よ」


「……」


「もう良い、下がれ」


「は!」


 魔王は、大魔王の間を後にした。


「……」


 大魔王城を出た魔王は、カッと目を見開き、空へ向け魔力を解き放った。


 放たれた漆黒の光線が、魔界の赤い空を貫き、どこまでも昇ってゆく。


「……クソ。」


 魔王は、苦虫を噛み潰したように顔をゆがめ、人間界へと足を向けた。

「魔王様、よくぞご無事で」


「うむ」


 魔界から帰還した魔王を、側近が迎える。


「さっそくご報告したいことが」


「ほう」


「奴が、やっとおちました」


「! 今は何日だ? 勇者は?」


 魔界で過ごした時間は半日にすぎなかったが、魔界の人間界では時間の流れが違うのだ。


「まだあと一日あります、魔王様がお戻りにならなければ、独断で進めようと思いましたが、間に合って幸いでした」


「うむ」


 魔王は、顔に笑みを浮かべ、歩き出した。


(勇者……お前はいったいどんな顔をするんだろうな)


 それ考えると、先ほどまでの不愉快な気分が晴れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ