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たたかい

音速により粉塵を蹴散らし、迫る勇者。


 その直線的な動きを読んでいた魔王


 魔王の手のひらから放たれる疾風魔法弾が、勇者の胴体に着弾した。


 勇者の体が、くの字に曲がり、後方へ吹き飛ぶ。


 空中、身動きの取れない勇者へ向け、30発の光弾が迫る。


 光球がそれぞれ勇者の両手両足に着弾。


 勇者は絶叫し、手足から煙を吐きながら地面を転がった。


 唸り声をあげ、立とうとする勇者、しかし、手足のダメージが深く、立ち上がることができない。


 立ち上がろうともがく勇者の頭部に魔力を込めたかかと落としが叩きつけられた。


 勇者の頭部を中心に弾ける漆黒の魔力、頭を地面に押し付け、勇者の意識を断ち切られた。


「……死んだか」


 足を勇者の頭部に押し付け、頬から血を流しながら、魔王は憎らしげに勇者を睨んだ。





~~~~~~~~



 俺は屈しない


 どんな痛みにも


 どんな困難にも


 俺は屈しない


 どうか女神様、ご加護を



~~~~~~~~~

魔王の間の扉が開く。


 同時に魔王は自分の周囲に30の光球を召喚し周囲に浮遊させる。


 勇者が雄叫びを上げ迫る。


 まず15の光弾を、勇者へ向け放つ。


 対し、勇者の体が発光した。


「!?」


 勇者へ向け放たれた光弾が、勇者に着弾する前にすべて爆ぜた。


 勇者が魔王へ向け地面を蹴る。


 勇者が魔王との距離を詰めると同時。


 魔王の周囲、残った15発の光球が勇者へ向け迫った。


 同時、魔王はバックステップ。


 そして先ほどの発光を意味を知る。


 魔王の目がとらえた。勇者の体から放射状に放たれる雷撃を。


 それが、迫る光球をすべてを蹴散らしたのだ。同時に光による目くらましの効果も、この距離になって初めて魔王は知った。


 目を細める魔王へ向け振るわれる刃を、魔王はすんでのところで避ける。


 この勇者、ただやみくもに襲ってくるだけではなく、学習能力が備わっている


 この事実に魔王が舌打ちする。


 放射上に拡散した雷撃にそこまでに威力はない、しかし、目くらましと、若干のダメージが鬱陶しい、加えて先の戦闘で有用だと判断した光弾の戦果が期待できない。


 




勇者が放射雷撃、その攻撃に、魔王の体が刹那ぎょっと停止する。


 その一瞬の隙――しかし、魔王の放射暗黒魔法が、勇者の体を吹き飛ばした。


 床を滑りながらも足を踏ん張り、勇者の体が停止――矢のように迫る魔王の蹴りが、勇者の腹部に突き刺さった。


 口から血を吐き出しながら、勇者は後方へ吹き飛び、壁に体を激突させる。


 魔王は、以前と同様、連続蹴りで終わらせようとするが――


「くそ」


 勇者の移動は早かった、激突した壁の反動を利用して移動し、魔王から距離を取る。


 先ほどの蹴りを、後方へ飛ぶことでダメージを軽減し、回避できる余裕を持ったか


 同じ手は通じない? ならば、次の手を出すまでだ。


 喉を鳴らすような唸り声をあげ、魔王の出方をうかがう勇者。


 対し魔王は、屈みこみ、自分の影の中に手を入れた。


 影からすくい上げられる等身大程に巨大な斧。禍々しい装飾の施された、漆黒の魔力をほとばしらせる斧だ。


 勇者は、その危険性に本能的に気が付いたのか、じりと半歩後退した。


 その背後に、魔王。。

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