24/74
くるしみ
魔王の間の扉が開く、魔物に連れられ、一人の少女が魔王と勇者の前に放り出された。
「うぇぇ、ママ……パパ……」
「先日滅ぼした村の生き残りだ」
「…っ……ッ!!」
勇者はもがく、体の自由が奪われていることも忘れ、ただもがく。
「どうだ勇者、信仰を捨てれば、この小娘は助けてやるが」
「……ッ!」
勇者は、力の限り魔王を睨んだ。
「……」
魔王は指を鳴らす。
少女の片足が吹き飛んだ。
少女が絶叫を上げ、のた打ち回る。
「!!!」
勇者は目を閉じた、悔しさで、無力さでおかしくなりそうだった。
ただ、少女の悲鳴が聞こえる。
絶叫だ、なぜ……なぜこんな……
勇者拘束6日目
勇者は、茫然と目の前で行われる行為を見つめる。
魔王によって四肢を爆裂させられ、痛みに悶える男を見つめている。
「勇者さまぁぁ、お助けくださいいい、め……女神さばっ」
男の頭部がはじけ飛んだ。
勇者は、静かに涙を流す、しかし、信仰は捨てない。
勇者(あと1日で……が俺を…。)
(ふむ……もう30人は苦しめたあと殺したはずだが……何か、間違えているのか?)
ただ殺すだけでは駄目なのか?




