しんこう
三日後
猿ぐつわ、鉄の手枷と足枷をはめられた勇者は、魔王の間の王座の横に倒れこんでいる。
手枷と足枷は、鉄製だ、加護の力を使えれば、難なく砕ける、しかし加護の力の供給源たる魔力をカラにされた状態では、常人となんら変わらない力しか使えない……そのもどかしさに、勇者は顔をゆがめる。
目の前に……魔王がいるのに、何もできない。
「貴様の仲間を見てな、余は気が付いたのだ、貴様が信仰を捨てる方法をな」
(何か……策があるのか? だから捕まったこの数日、拷問がなかったのか…一体…何を)
戦士と魔法使いが信仰を捨てた原因が、痛み以外にあるというなら……なんだ?
「あの戦士は、魔法使いの小娘の正面の牢獄にいた、これは偶然だったのだが、ある時、戦士はこう言ったのだ。 俺が信仰を捨てれば、魔法使いを助けてくれるか? とな」
「!!」
「余は約束した、そして女神の気配を失った戦士を殺すことに成功したのだ、最後は実にあっけなかったな」
「……」
「魔法使いの女は、目の前で戦士が死ぬ様を見て、自殺したよ、信仰を捨ててな」
「……っ」
「あれは大変興味深い事例であった、魔族には決して考えつかない発想だ、余にも今だによくはわかっていない」
「……」
「しかし、人間という生き物は、時に自分よりも他人を大切に思うことがある、これは大きなヒントだと思わないか? なぁ勇者よ」
(……まさか…)




