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げんじつ2

魔法使いの悲痛な叫びが耳から離れない、それは勇者の胸の締め付ける。


 その痛みは、爪を剥がされた手足の痛みを、折檻により痛めつけられた体の痛みを凌ぐほどの苦痛を勇者にもたらした。


 魔王に破れ三日がたった。 三日間、ほぼ一日中魔物より与えられる苦痛、時には魔王みずからが、虐待に参加することもあった。


 死なないように細心の注意を払いながら行われる拷問の数々。


 特に魔王の拷問が何よりも残忍であり、冷酷であった。


 勇者はそれを思い出すだけで、未だに体が震える。


「うっ…ううう」


 遠くから、魔法使いのすすり泣く声が聞こえる。


 猿ぐつわはされていない、しゃべれることから舌を噛むことだってできる……


 でも、きっと魔法使いは、それをしないだろう


 人一倍外見に気を遣っていた彼女だ。 あんな顔で人前にでるなど、彼女に取って死ぬよりも苦痛であろう。


 勇者は、顔をゆがめる。


 言ってやりたかった、そんなお前でも俺はかまわないと、


 ほかの誰が何を言おうと守ってやると。


 ただ、勇者の口からは猿ぐつわを伝って唾液が漏れるのみで、声は液にまみれどこにも響くことはなかった。


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