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愛人ごっこのはざまで  作者: 登夢
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二人のはざまで揺れているのが心地よい

夜中に目が覚めた。ここ2週間ばかり、2人に会っていない。山路さんにはシンガポールへの海外出張が土日を挟んでいたので会えなかった。磯村さんは2週間まえに来たのでしばらくは姿を見せないだろう。


このごろ、ひとり寝が寂しく感じられるようになった。二人と身体の関係ができてから、毎週のように満たされていたから、なおさら寂しく感じる。磯村さんと再会するまではこんな時、一人で慰めることが度々だった。それが当たり前と思うようにしていた。今、二人のことを思うとつい手が動く。


それは過去に怯えると同時に気心の知れない男と関わるのを恐れていたからだ。ようやく築いた今の生活を脅かされたくなかった。欲望と言うリスクを冒さなければ今の生活を続けていける。ひとりでもなんとか生活していける。これ以上のことは考えてはいけないと思っていた。


あの仕事をしている時は毎日がHの連続なのでそんなに深く考えることはなかった。こうして2人の人と深く係わるようになると、その違いを意識するようになってきた。


磯村さんはまだ若いこともあって荒削りと言うか獲物を貪るような荒々しさがまだある。それに私の身体も自然に応えてしまう。お互いの身体を貪り合うような飢えた感じがする。終わった後の気だるい疲れに快感を覚えながら眠りに落ちる。彼はぐったりするくらいに身体を十分に癒してくれる。ただ、彼とはいつまでこの関係を続けていけるのかの不安があるし、それが心まで十分に癒されない理由だと思っている。


山路さんは群れのボスのように私を保護するように大事に扱って、私が喜ぶように私の反応を見ながら愛してくれる。荒しさはないが包まれているような快感とそれに任せている安心感がある。身も心も満たされて安堵感に包まれて眠りに落ちる。若い私には少しものたりさも感じるが、身も心も癒されている。それにいつまでもそばに居続けてくれると思っていられる安心感がある。


その2とおりの愛され方のどちらも今の私は気に入っている。若い時は磯村さんの愛し方が好きだった、歳を重ねたこのごろは、山路さんの良さも分かってきている。このまま、2とおりに愛されているのは私の願いそのものに違いないが、いつまでこのような都合のよい関係が続くのかという不安もある。でも今の私には1日1日を大切にしていくほかはない。


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