表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空色の娘は日本育ちの異世界人  作者: 雨宮洪
二章 『愛し子』の娘、ギルド見習いになる
25/51

19話 スキルレベルがおかしい




「そういやぁ、エイリは『料理スキル』持っているのか?」


「そもそもスキルのかくにんのしかたすらわからないんですが…」


エイリが見習いとしてギルドに入団した翌朝、エイリは携帯電話を目覚ましとして使い少し早めに起床した。


日本で覚えた料理を教えて欲しいとアビリオお願いされていたので朝食作りを手伝う際に教えると昨夜約束をしていたからだ。


エイリが食堂に着くと既にアビリオとエイリが作れる料理がどのようなものか気になっていたのかザンザスも食堂に来ていた。


そこでエイリはザンザスに『料理スキル』を習得しているのかを問われた。


エイリは『スティリア』に来てからスキルというものを至る所で耳にしていたがルエンは特に何も言わなかったしエイリは幼児の姿なので大したスキルも無いだろうと今まで自分のスキルを確認したいとも思わなかった。


「ルエンのやつ教えてなかったのか…。確認方法は利き腕の掌を見ながら『ステータス』って念じれば自分のステータスや習得してるスキルなんかが確認出来るんだ」


とザンザスが教えてくれたのでエイリは右の掌を見つめながら『ステータス』と念じると青いモニター画面が表示された。


この青いモニター画面こと『ステータス』は『人物鑑定スキル』を使わない限り本人にしか見えないものらしい。



ステータス画面にはエイリの名前やレベル、年齢、現在のステータス状態、HP、攻撃力、防御力、すばやさ、魔力、魔法防御力などRPG定番の各数値の他に生産系、鑑定などの条件さえ満たせば誰でも習得できる『スキル』、本人の素質・性質によって決まる『戦闘スキル』が項目として分かれ表示されていた。



エイリは戦闘に参加したこともないのでレベル1、年齢は7才、HP、攻撃力、防御力は極端に低かったが『愛し子』の娘であるからか幼児にして魔力と魔法防御力が高かった。



次は『スキル』の項目をタップし現在エイリが習得しているスキルとスキルレベルを確認すると…。




生産スキル MAX


栽培スキル MAX


料理スキル MAX


人物鑑定スキル LV1


アイテム鑑定スキル MAX



以下の習得スキルとスキルレベルがステータス画面に表示された。


エイリが習得しているスキルは『人物鑑定スキル』を除いてレベルがMAXと表記されていた。


スキル持ちの幼児にしても異常なスキルレベルだ。


ー『人物鑑定スキル』だけレベル1とか何だこれ…。


この頃のエイリは知らなかったがスキルレベルはエイリが日本で経験したことが影響しており趣味がソーイング、家庭菜園、料理を作ることだったので生産系スキルのレベルが高く、『人物鑑定スキル』がレベル1なのは一応相手の声だけで自分にとって敵か味方かどんな人間なのか判断はできるがそれ以上相手のことは興味が微塵も無かったのが原因だった。



ザンザス達にエイリが習得しているスキルとレベルを伝えると。


アビリオは「え…?」と自分より小さな子供に異常な差で『料理スキル』のレベルを越されていたのがショックだったようで唖然とした表情になり、あまりにもスキルレベルが極端すぎるのがツボだったのかザンザスに至ってはブフォッと吹き出した後に笑い転げていた。





「ところでスキルのレベルってどんないみがあるんですか?」


エイリは『料理スキル』が無くとも別に料理は作れるはずなのに何故スキルとスキルレベルがあるのか意味がわからなかった。


ザンザスの爆笑はまだおさまりそうにないので『料理スキル』を習得しているアビリオに問う。


「作る物の成功率だけじゃくてレベルが高いと食べた人の体力が回復したりステータスが上がることがあるみたいだよ」


アビリオの『料理スキル』はレベル8だという。


『白銀の愛し子』も生産系スキルのレベルが異常に高く彼女が作る料理は全て体力が大幅に回復するかステータスが異常に上がる物が多く、他の生産系スキルの場合でもちょっとしたアクセサリーなどの小物でさえ貴重な魔力が篭った材料を使わねば付加されないステータス異常防止効果が製作者の意思と関係なく付いてしまったこともあったらしい。



これも『白銀の愛し子』が神聖化してしまった理由の一つだ。


「それでわたしが料理をあじつけしたりつくったりしてだいじょうぶなんですか…?」


「味付けとかくらいなら大丈夫なんじゃないかな?寧ろステータスが上がってくれたら団員達が怪我とかしなくて済むし…」


確かに副団長の立場からすれば団員達が負傷する確率を最小限抑えたいものだろう。


しかし、それがギルドの外の者に例えば他のギルドなどに知られれば間違いなくエイリを『七曜の獣』から引き抜きにかかるギルドや悪用しようとする者が出るのは確実だ。



本当ならルエンも呼びエイリのスキルレベルの件を話すべきだろうが生憎ルエンは朝から見回りを担当している団員達と仮拠点から出払っているのでこの場にいる3人だけで話し合った。


結果エイリのスキルレベルの件はザンザスとアビリオ、ルエンのみに話し外部に話す相手はザンザスの判断に委ねられることになった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ー調理用の魔道具って意外と日本の物と変わらないなぁ…。


スキルレベルのことを話し終えた後、団員達の朝食作りをする為3人は台所に移動した。


台所の壁と床、水道などは仮拠点が宿屋だった頃のままなので真新しいガスコンロや冷蔵庫に似た魔道具がとても目立っていた。



「このざいりょうなら『つみれ汁』がつくれそうです」


ギルドの朝食は味噌汁と毎朝パン屋から配達される雑穀パンが定番で肉類などガッツリとした食事は夕食時に出すことが多いらしい。


エイリは冷蔵庫に保存されていた昨夜の素焼きハンバーグ作りで余った竜鳥の挽き肉と野菜置き場にある木箱に入っている野菜で日本でいう鶏肉のつみれ汁のような物を作ることに決めた。


エイリは包丁を握らせてもらえないのでアビリオにいつも作る味噌汁と同じように人参、玉ねぎ、キャベツを切るようにお願いしエイリは鶏肉ではなく竜鳥の挽き肉でつみれをつくる。



エイリが日本で鶏肉のつみれ汁を作る時はいつもビニール袋につみれの材料を全部入れて揉み袋の先端を小さく切って中身を絞りながらスープに落とし作っていたが『スティリア』にはそんな便利な袋はないのでボウルに挽肉、塩少々、卵1個、少量の小麦粉、冷蔵庫にあった摩り下ろし生姜を肉の臭み消しにスプーン1杯を加え木ベラで練るように混ぜた。


「野菜を切り終わったよ」


「これをぜんぶナベにとうにゅうします」


アビリオに切ってもらった薄い半月切りの人参、薄切りにした玉ねぎ、食べやすいサイズに切ったキャベツと水を鍋に入れ野菜が柔らかくなるまで煮込み、粉末出汁を入れた。


「このお肉スープに入れて崩れたりしないの…?」


「たまごとこむぎこをいれてしっかりねったからかたまるまえにかきまぜたりしなければくずれません」


エイリは良く練ったつみれをスプーンを器用に使いスープに落としていく。


スープに落としたつみれが固まった所でスープにコクを出すためのみりんや砂糖代わりに蜂蜜を少量、塩で味を整えれば『野菜たっぷり竜鳥のつみれ汁』の完成だ。


「一見すると肉団子が入った塩スープに見えるな」


味噌でも醤油でもなく塩味をベースにしたスープなのでザンザスにはそう見えるらしい。


「むこうでつくっていたときはしょうゆあじがおおかったんですがこんかいはシンプルにしおあじです」


エイリはルエンとエニシ屋の貨物護衛に同行し始めてからスープ類はほぼ味噌汁だったので偶にはシンプルな塩ベースのものが飲みたくなったのでつみれ汁の味付けのベースは塩にしたのだ。


「一応鑑定させて貰っていいか?」


「あ、はい。どうぞ」


ザンザスはエイリ程のレベルではないが『アイテム鑑定スキル』を習得している。


たかが幼児の姿とはいえ『料理スキル』のレベルMAXのエイリが味付けした料理にはどのような効果があるのかザンザスは『白銀の愛し子』のこともあり気になっていたからだ。


そして鑑定結果は…。



【料理名】野菜たっぷり竜鳥のつみれ汁


HP +15回復


攻撃力 +10UP(60分)


ステータス異常防御率 +5%UP(60分)


【説明】生姜が効いた肉団子と野菜の旨味がとけた栄養たっぷりのスープ。



という鑑定結果がでた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ