始まる!化けネコライフ!(3)
「優斗、あとで詳しく聞かせてもらいます」
あ、口調元に戻ってる。
「それと、優斗は女児物の服を持っていたりはしませんか?」
「持ってるわけないだろ!」
「なんでですか? 世の変態達は一通り持ってると聞きましたが」
「何その歪んだ知識! 世界の変態達でもなかなか持ってないと思う、たぶん……」
「そうですか、とことん使えませんね」
ぐぬぬと下唇を噛むが、手の付けようが無かったユキちゃんをなだめてくれたのは双葉だし文句は言えなかった。
「とりあえず使えそうな服探してくればいいんだろ?」
「はい、すぐ着させてあげてください」
双葉もあんな小さい子には手を出さないだろうと信用してくれたみたいだ。
「ユキー? どこいったー?」
それにしても、どこに行ったんだろう、ぼくの部屋に行ったように見えたけど、あれ? そういえば何か忘れて……。
「ふ、布団妖怪」
ぽつりと呟いてしまう、そうだった、朝起きたら布団妖怪が居て、びっくりして目覚まし止めれなかったんだった。
でも、今は止まっている、ぼくの目覚ましには勝手に停止するような機能は無いので、止めたのだ、布団妖怪が。
ゆっくりと自室を覗くと布団妖怪だったはずの塊は部屋の隅で丸くなっていた。それ以外は何も変化が無い……静寂の中、ドクンドクンとぼくの鼓動がうるさく主張している。
「あ! 優斗だ! ご飯まだー?」
「ああ、待ってくれ、今ユキを探してるんだ、あと布団妖怪も」
「ふーん? ユキならあの布団の中だけど」
「な、なんだって!? 布団妖怪にぺろりと……ぼくが忠告し忘れたばっかりに……!」
「ふふふー、変な優斗だなぁ」
ん……? さっきから視界の端にぴょこぴょこ見えるアホ毛が?
「だ、誰だキミ!?」
「んえ? 私?」
ブンブンと首を縦に振ってやる、すると茶髪の少女はへへーんと平坦な胸板をぺちんと叩く。
「ミーだよ、忘れちゃった?」
さっきユキが探していた、ミーちゃんとはこの子のようだ、明るめの茶髪は腰まで長く伸びていて、ユキ同様に手を加えられていないはずだが、高級な絹糸のように滑らかだ。
にひーっとひまわりのような笑顔からは、いかにも活発そうな雰囲気を醸し出している。
ユキよりも年上だろうか、一回りほど成長が見える体、ユキ同様に顔がものすごく整っていて2人セットのアイドルユニットを結成できそうなほどだった。
「ふんふん、あ、双葉ちゃんも来てるんだ、双葉ちゃーん!」
ぺたぺたと元気に廊下を駆けると同時に、頭上のアホ毛が元気にぴょこぴょこ跳ねている、あれ? 双葉のこと知ってるんだ?
「あ、あああ! 待って待って! その格好で行かないで」
「優斗! 今すぐこっちに来てください!」
あーあ、手遅れだったようだ。