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うちのネコは化けネコかもしれない!?  作者: でかくち こころ
第1章 2匹とぼくとお隣さんと
7/20

始まる!化けネコライフ!(2)

 少し遅れて足音が聞こえる、この忍者が歩くみたいな小さな足音は……どうして? 昨日あんなことあったのに? これがリア充メンタルってやつか!?


「遅れてごめんなさい、昨日は…………は?」


 さて、高校2年生女子がこの状況を見たらどう解釈するのが一般的でしょう?


 同級生が泣きじゃくる幼女を脱がせて迫らせている図? それとも……それともなんだろう? それ以外何かあるのかな? 誰か教えてくれ!


「えーと、優斗、これは何がどうなっていらっしゃいますんですのんでしょうか?」


「いつもと口調が変だよ」


 ギラリと殺意帯びた視線がぼくに突き刺さった。OK、分かった、冗談は無しで行くよ。


「朝起きてリビングに降りたら居たんだよ、泣いてて裸で」


「ふーん?」


 双葉はじとりと少女を見て、ぼくに視線を戻した、ふざけてるのか? と言いたげな眉間の皺数、怒りのオーラをじわりじわりと滲み出させ、腕を組む姿はまさに鬼だ。


「ほんとだって! 信じて! そ、そうだ! この子の話を聞いてあげてよ! ぼくが話しても意味不明なことしか言わないんだって!」


「当たり前でしょ、自分を襲うようなやつに何か話したりするわけ無いから」


 くそぅ、何もそこまで決め付けなくても……。


「あなた名前は?」


「うわあああああん」


「ねぇ、あなたはどうして裸なの?」


「うわあああああああああん」


「そこの男に何かされたりした?」


「うわあああああああああああああん」


「……」


 双葉は泣き喚く少女をぼくからひょいっと遠ざけた。少女を目の前に座らせたまま、はぁっとため息を付くと、そのまま右手を振り上げ……え?


「ちょ、ちょっと、双葉さん?」


――パン。


 大して広くも無いリビングとぼくの耳にじんじんとその音が響く、自分のほっぺを思わず手で押さえてしまうくらいの衝撃だった。


 平手打ち、それもやんわりとかじゃない、流石に本気ではないとは思うけど、それを受けた少女の体はドミノみたいにぱたりと倒れた。


「そうやって泣いてばかりなやつ嫌いなの、何が気に食わないのか、何が悲しいのか、それともどこか痛いのか、はっきり言いなさい」


 少女は痛む頬を無意識に触りながら、何が起こったか理解できていないかのように硬直している。でもそれはすぐ解けると、今度はじわりじわりと涙を溜めていき、頬を伝う直前で止まった。


「うぅぅ……なんか、起きたら体が、ひっく、重いし大きいし寒いし、カリカリ食べようと思ったら、まずいし……うぅぅ」


「うんうん、そっか、じゃあ、あなたのパパとママは?」


「パパ? ママ?」


「お父さんとお母さんのこと」


 一瞬考える素振りを見せたが、ぴこんと頭上に見えないビックリマークが浮かんだようだった、溜まった涙をごしごしと双葉のスカートで拭うと、人差し指でぼくを―-


「ゆうと」


「え、ぼく?」


 またもギロリと氷槍のような視線、ぼくが何したって言うのさ!


「じゃあ、今までどこに住んでたの?お友達とかは?」


「お友達……ミーちゃん、ミーちゃんどこ?」


 何か思い出したように辺りをきょろきょろし始める、時よりクンクン鼻を鳴らして首を傾げている、そういえばこの子名前なんて言うんだろう。


「ねえ、お嬢さん、名前は?」


「ユキ」


「え?」


 するりと双葉の脇を抜けると、ぼくの部屋へ消えていった。ユキはさっきミーちゃんとか言ってたし、ウチのネコ達と名前が一緒なんてそんな偶然あるんだなぁ、あれ? そういやあいつらはどこに行った?

 ぼくもあの子のようにきょろきょろ首を振っていると、後ろにいた双葉が肩をつついてくる。


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