今はニンゲンですから!(2)
「その、ごめんな、自分勝手考えて、二人の意思無視して、ずっとお腹空いてるのは辛かったよな、ほんとにごめん」
「うーん? 確かにお腹ぺこぺこだけど、優斗が私たちの為に一生懸命してくれてたからすごく嬉しかったよ、ありがとー」
「ユキも一緒、ゆうとありがとう」
ううぅ、良い子だなぁ、ほんとに、天使だよ! ああ! 世界一いや宇宙一かわいいよなうちの妹達は!
「そもそも、私達と一緒の食事を昨日と今日、食べてましたよね? 忘れましたか?」
「あ、そういえば……」
「それと……話は変わりますが、お二人の服装見て何か感じませんか?」
ん? なんだろう、かわいいな、とか? ミーの短パンに薄紫色のパーカーはよく似合ってるし、ユキのフリルの着いた白いワンピースもイメージと良く合ってる。
「うーん? かわいい?」
「違います、観察力無さ過ぎですね、それだからモテないんですよ」
モテるモテないは関係ないだろ! ぼくは、アレだ! 運命の人が現れるまで待つスタイルなんだよ!
「ヒントは、下半身です」
な、なんだと……!? 下半身? 下半身ってお尻のことだよな? ミーとユキのお尻? うーん?
「お尻が大きくなったとか!」
「は?」
どうやら違うらしい。
「もういいです、二人共靴下がバラバラなんです」
あ、ほんとだ、ミーとか片方長めの黒なのに、もう片方はオレンジ黒のストライプだし。
「ですが、服は良いですね、優斗にしては上々です、かわいいですよ」
別に怒っては無いみたいだ、でも、どうして気付いてあげなかったのかという抗議の目をされる。それに、選んだのは佐藤さんでぼくじゃないけどね。
「ミーちゃん、いいですか? この靴下はですね、こうやってここまで……………………え?」
どうやら太股上まで上げるタイプの靴下らしく、双葉がレクチャーをしてくれるようだったが、その動きが途中で止まった。
「あの、ミーちゃん下着付けてますか?」
「下着? 何それ? ユキ知ってる?」
「知らない」
ピキッと双葉の何かにひびが入る音がした気がする。
あれぇ? おかしいなぁ、確かに佐藤さんが一式詰めてくれてたはずだけどなぁ。
双葉は無言のまま、買った服の入った紙袋を物色すると、今度は、ぼんっ! っと音がなりそうなほど顔を真っ赤に染めた。
「ゆ、ゆゆゆゆゆ、優斗、こ、こここ、これは?」
指先で摘んだソレ、赤を基調に、かわいらしいフリルのあしらわれた紐パン、それも二人にはサイズが大きいように見える、え? ということは?
「わ、わわ、私に、これを?」
すると、また、ぼんぼん! っと顔を赤くした。
このままだと、血液が沸騰してしまうんじゃないか?
「し、知らないなぁ?」
「な、なんですかそれ! サイズもぴったりっぽいんですが! 何で知ってるんですか! この変態!」
なんでぴったりなんだよ! 佐藤さんエスパーか!?
「それは、たまたま買ってしまっただけで、何か意図があるわけでは」
「どうやったらたまたま買うんですか!? 意味分からないです! こ、これは……! これは没収です!」
双葉はそう言うと制服の胸ポケットへ乱暴に押し込んだ。
「二人に下着を着せといてください! あとその重要性もしっかり説明してあげてください! では、私はご飯作ります!」
「お、おう」
早口でそう伝えると、ぎくしゃくした動きでキッチンに立った。
双葉に紐パンかぁ……子供が悪戯してるみたいで別にエロくないんじゃないか? っと、ふと考えてしまうが、そんなこと言うとあの世へ旅立てそうな気がするので言わない。