ぼくは不審者じゃありません、この2人? ペットです。(2)
「おーーーすげー! ヒトがいっぱいだぁぁー!」
ミーが興奮しながら辺りを見回すと、連動するように頭のアホ毛がひょこひょこ揺れる、時々「あれなに!?」と指をさしている姿は元ネコとは思えないくらい人間の子供っぽい。
「……」
一方ユキはぼくの足にへばりついたまま石化したみたいに動かないし、顔も緊張でしかめっつらに見えるし、なんか仁王像みたいだ。でも、こういう感じで手足にへばりつく人形があった気がするなぁ。
「ゆうと、ここ、どこなの?」
お、石化が解かれたか。
「ここは、ぼくの町で一番大きいお店だよ、食べ物とか服とか大体はここで揃う」
「そっかー優斗もここで服買ったの?」
ミーがひょこりと脇から顔を出すと腰に腕を絡ませてくる。
「いや、ぼくはネットで買ってるけど、届くのに時間掛かるからね、今回は現地で買った方がいいんだ」
それにしても、主要駅が近いのもあって平日の昼前からでも人がわんさかいる。
とはいえ、この二人くらいの子供は見あたらない、それもそうだ、この時間は普通なら学校に通っている時間だからだ、まあ……普通なら、だが。
「んじゃ、さっそくいくか!」
「おー!」
「おー」
子供用衣料品売場に着くと、入り口にはJSコーデNO.1と丸っこい字で看板があり、マネキンが2体並んでいる、1体が小悪魔コーデで、もう片方はお姫様コーデだそうだ。
おしゃれとか流行とかよく分からないけど、今時の小学生はヘソ出し短パンとか頭にティアラとか、平気でするものなのか? 双葉の小学生時代とか、タンクトップにズボンだった気がする、実はそれは双葉だけで他のクラスメイトはこんな格好してたとか……いや、流石に無いか。
「お客様、何をお求……え、ヤバ」
するといつの間にか近寄っていた店員さんが独りでに硬直する。
店員さんは、二人をちらりと2度見ると、顔を青ざめさせながら店内に退散してしまった。
……あの慌てようはまずいんじゃないか? それに、「ヤバ」とか言ってなかった?
よく考えてみれば、ぶかぶかのジャージを着た女の子二人を連れる高校生男子、学校を休んでこんなところにという問題をすっとばして、犯罪的な香りを漂わせている。確かにマジヤバだ。