ぼくは不審者じゃありません、この2人? ペットです。(1)
「ところで、学校は行かなくていいのか?」
双葉はミートボールが口に入る直前で箸を止めると、そのまま首だけ動かして時計を見た。
「本当ですね、そろそろ行かないと2時限に遅れてしまいます」
そのまま慌てる様子なく、先ほどのミートボールが咀嚼される。
「余裕だなぁ、無遅刻がここに途切れちゃうのに」
「そう言いますが、時間は戻りませんし、そもそもちゃんと説明すれば私に遅刻なんて付きません」
「え、何それ、ぼくなんか欠席連絡入れてないのに欠席にされるのに……不公平だ! 差別だ!」
「日頃の行いですよ」
双葉は「お粗末様でした」と小声で呟き、席を立った。
「あ、それと、今日は学校休んでください」
「うん? いいけど?」
「ミーちゃんとユキちゃんの服が必要なので、お願いします」
「そうだよなー、これだけじゃちょっとな」
元はネコだったとはいえ、今は女の子だ、以外とかわいい服がほしかったりするかもしれない。
「なあ、どんな服がいい?」
ぎこちない箸使いでご飯を食べる二人に聞いてみると……。
「んー? 服とかいらなくない? 邪魔だし」
は?
「ユキも、ちょっとにがて」
「そもそも、ネコだった頃は毎日裸だったんだから着る必要ないでしょー」
「そうか、そういえばそうなるよな……じゃあいらな、ゴブッ!」
急に鼻頭に激痛が走った、ジーンと痛みが広がりあまりの痛さに押さえたまま数秒頭がショートする。
「この子達に裸で過ごせって言うんですか? バカですか? アホなんですか? そんなに裸が好きなら自分だけ今から裸族にジョブチェンジしてください」
「裸ってそんなにいけないことなの?」
ミーは箸で卵焼きを串刺しの刑にしながら聞いた。
「優斗がエロだからです」
「ゆうと、らぞく? えろ?」
聞き慣れない単語の数々に目を丸くしている、いいんだ、知らなくて。
「これ以上変なこと教えないでくれよ!」
「真実はいつも一つです」
「だとしてもだ!」
「ともかく、優斗はご近所でもエロ大元帥として有名なんです、裸で居れば無事では済みません」
「だからぼくをなんだと思ってるんだ!」
「エロ大元帥です」
「ぐぬぬ……」
何を今更と言うかのように一瞥すると、小学校の先生のように人差し指を立てた。
「ですから、いいですか、服は買ってもらってください、かわいいのを、そうですね……3着ずつほど」
「「はーい」」
声を揃える二人はもう食事はいいのか、残ったおかずで遊んでいる、この辺りの躾も必要になってくるだろう。
でも、ぼくが注意して聞いてくれるのかな?