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人生は、異世界転生までの暇つぶしである。  作者: ぱいん兵
第1章 ー幼少期ー
9/16

新スキルは、想像以上である。




ヴィクトリアのとんでもないステータスを目の当たりにした俺は、その後しばらく話をしてから、ティナとフィオナと共に妖精城を出た。





「しかしこの目は凄いな、使い慣れるまでに時間はかかりそうだが、物の詳細や、魔力の流れまで見える。」





「そりゃそうだよ、太古から妖精族に伝わる秘宝だもん。翡翠眼を与えられた人間なんて君が初めてじゃないかな?」




「当然なのです!姫様は凄いお方なのです!」




「姫様?どうしてそこでヴィクトリアが出てくるんだ?」




「え、あぁ言ってなかったっけ。それは姫様が作ったものなんだ。正確には、姫様が呼び出した精霊がね」




「あの、精霊魔法ってやつか。」




「そうそう、翡翠眼には、ある精霊の力が宿っているんだよ。まぁそんな事が出来るのはこの世界で姫様だけだろうけどね。」




「なるほどな。ところで、妖精と精霊って似てるけど、同じじゃないのか?」




「人間は同じにしてしまいがちだけど、基本的に妖精は僕たちみたいな見た目をしていて、人間界でこっそりと暮らしているんだ。」




「ふむふむ」




「それで、精霊は僕たちとは別の世界で暮らしていて、色んな姿をしている。姿を変えられるって表現が正しいかもね。有名なのだと、サラマンダーとかかな。」




「別の世界?」




「僕らがどう頑張っても辿り着けない場所さ…ちょうど、君がいた世界みたいにね。」




「っ!?なんでそれを」




「ふふっ、まぁいいじゃないか。誰にも言わないさ」




「はぁ…そうしてくれ。」




本当になんなんだコイツは。あ、そうだ



俺は、翡翠眼でティナを見ようとした。しかし、靄がかかっているようになっていて上手く見えなかった。



〈…どうなってんだ?〉



「全く、勝手に人のステータスを覗くなんて感心しないなぁ」




「妖精と精霊さんの間には深い繋がりがあるです!翡翠眼は、もともと精霊さんの力ですから、妖精族はそれを感知することができるです!もちろん、見られないようにも出来るです!だから許可なしにステータスを覗く事は出来ないのです!」




「…説明どうも」「どういたしましてなのです!」




「はははっ僕のスキルはね、その人の本質を見る事ができるんだよ。性格とか、感情とか、魂とかも何と無くならね。」




「だからティナはアルが悪い人じゃないって分かったのです!」




「そういうこと。でも君は、明らかに魂の色が異質だったからね。少しカマをかけて見たんだ」




「なるほどな、そいつは一杯食わされたよ。」




次からは気をつけよう。別にそこまで隠してるわけではないがな




「ふふふ。それにしても、そんな人初めてだよ、興味深いね。君の元いた世界はどんな所だったんだい?」




「つまらない所だったよ…俺はこっちに来て良かったと思ってる」



そう言いながら、俺は少し曇った表情になってしまう。




「そうなのかい…あまり深くは聞かない方が良さそうだね」




「そうだな、そうして貰えると助かる」




その後は他愛もない話をしながら、家から持って来ていたお菓子を3人で食べた。




「ほぅ、これは素晴らしいね」




「おいしーです!」



うんうん、なかなか好評なようだ。




妖精たちのレストランにも行ってみた。何もかもが小さく、果物や木の実が中心だったが、味はなかなかのものだった。



レストランを出るとき、いくつかの木の実や花の種が入った麻袋をお土産にもらった。




「じゃあ、俺はそろそろ帰るよ」




そう言うと、フィオナとティナが送って行ってくれるというので、お言葉に甘えることにした。




そして3人で茂みを抜けて、森の出口まで来た。時間は、昼過ぎくらいだろう。




「気をつけて帰るんだよ、攫われたりしないようにね」



「お前にだけは言われたくないな」




「また遊びに来るです!」



「ああ、もちろんだ」




「じゃあお別れだね」



「おう、またな」



「バイバイなのです!」




そう言って俺は森を出た。



少し歩いて振り返ると、既にそこには彼らの姿は無かった。



ーーー・ーーー・ーーー・ーーー・ーーー




「まずはコレだな」



左目に触れながらそう呟く。やはり新スキルだ、何が出来るのか気になる。



とりあえず、その辺のものを片っ端から翡翠眼で見てみることにした。




「うー…ん、なかなか良いものがないな」



当然だが、使えそうなものはなかなか見つからない。




「おっ、これは…」



>薬草


ポーションの材料になる草。ポーションを作るためには、毒素を取り除く必要がある。<




これは使えそうだ。下級とはいえポーションを持っておいて損はないだろう。



その後もしばらく散策を続け、いくつか使えそうな素材を集める事ができた。




>麻痺草


麻痺効果のある成分を持つ草。抽出されるエキスには催涙効果もある。<



>毒草


毒を持つ草。口にしてしまうと最悪の場合死に至る。取扱注意。<



>陽炎草


熱を加えると発火する草。乾燥させる事で火薬の材料になる。<



あと、いくらかの木材だ。




途中でいくつか物騒なものもあったが、悪用するつもりはないので安心してほしい。ないったらない。




そして、俺はクラフトルームを起動した。



とりあえず、以前に作った石製の瓶を量産することにした。一度使ったことのあるものは、自動で作る事ができるようになっているみたいだ。




岩が大きかったので300個ほどの瓶を作る事ができた。これでしばらく入れ物に困ることはないだろう。



できた瓶を鑑定してみる。



>瓶


石製の瓶。岩から削り出して作られているので、とても丈夫。とても美しく磨かれている。<



ほう。翡翠眼さんに褒められてしまった。




次はポーション作りを始める。



クラフトルームに薬草を取り出し、薬効成分を抽出する。当たり前だが、霊薬を作った時より楽だ。



「よし、できた」



>薬液


浄水で薄める事で下級ポーションが出来る。水:薬液は10:1が最適。<



さっきから思っていたが、親切すぎないかこの翡翠眼。正直めちゃめちゃ助かる。



ストレージに入っていた水で薬液を薄め、下級ポーションを作る。材料は沢山あったので、瓶30本分のポーションができた。



これで怪我してもある程度は安心だな。



次に毒薬、麻痺薬と催涙エキス、火薬をそれぞれ製作した。よし、今日はこれくらいでいいだろう。



まだ時間あるな。魔法も色々試してみるか。




とりあえずまだ試してないのは…風と土と雷か。



ヴィクトリアが覚えていた魔法にこの3つはあったからな。精霊魔法はまぁ、たぶん無理だ。何をどうすればいいのかがわからん。



よし、まずは風。



魔力を集中させて、空気に魔力の流れを乗せてみる。翡翠眼で見えるからイメージしやすいな。



よし、いい感じ。



ちょっと風が強めの日ぐらいの感じだ。学校は休みにならない。




「うーん、微妙だ。まぁ初めてだしこんなものだろう。」




次は土だ、とりあえずは魔力だ土を生み出してみる。手の上からサラサラと少量の土、というか砂が零れ落ちる。




その砂を凝縮して固めようと意識してみる。よし、小さめの石弾が出来た。




「これが出来るなら、さっきの風魔法も凝縮できるんじゃ…?」



風に乗せた魔力を一点に集中させて、方向を指定して解放する。


翡翠眼のお陰でイメージがしやすい。本当に便利な目だ。



《バン》




ばん?なんか今やばい音出たぞ。これは相当な風力じゃないか?




さっきの石弾を今の空気砲(仮)に乗せてみる。



《 ピュン 》…… 《ガ ガン》




石弾が飛んで行った先を見ると、細めの木が折れていて、その奥の木の幹に石弾がめり込んでいた。



よし、この技をストーンバレットと名付けよう。とか言うてる場合か。



「うむ、これは使いどころを考えないと大惨事になるな」




俺は静かに石弾、改めストーンバレットを封印した。




次は雷魔法か



まずはどうやって電気を起こすかだな…



そういえば、人間が脳から体に命令を出すときに、微弱な電流を伝達に使っていると聞いた事がある。



魔力を指先に集めて、指先を動かすと同時に、伝達に使われた電気を増幅させる。



《パァン…》



指先が焼けるように痛い。やばい、これはやばい。

指がなくなったかと思った、痛すぎる



さっき作ったポーションを指にぶっかける。



「ふぅ、まだ少しジンジンするけど。とりあえずは大丈夫かな」




雷魔法や火魔法はもう少し考えて使った方がいいな。危険だ。



こうなってくると魔道書が欲しくなるな。

行商人が来たら探してみるか。



はぁ、ヴィクトリアに魔法のことをもっと聞いておけばよかった。




いつもの水球を頭の上で回す。




「あー、やっぱこれだ。落ち着くなぁ…」




もう水魔法なしでは生きられない体になってしまった。的な。





そうして、結局いつもの水魔法に落ち着いた俺は、そのまま魔力切れ寸前まで魔法の訓練をしてから家路に着いた。








3話連続投稿の3話目です。


楽しんで読んでもらえたなら嬉しいです。


是非ブクマ、評価などよろしくお願いします。

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