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人生は、異世界転生までの暇つぶしである。  作者: ぱいん兵
第1章 ー幼少期ー
8/16

プリンセスは、心労が絶えないのである。

3話連続投稿2話目です。



朝起きて準備をした俺は、甘いお菓子を詰めた布袋を持って、妖精たちのところに向かっていた。




「やぁ、来たようだね」




先にそこにいたのはティナと、もう1人は知らない顔だった。空色の体に黄色い羽を生やしている。





「あぁ、おはよう。フィオナはどうしたんだ?」



「霊薬を飲んだって言ってもあれだけの怪我をしたんだ、大事をとって休まされてるよ。彼女自身はすごく来たがっていたけどね。アルのことがよっぽど気に入ってるみたいだ」



「そうか」



あいつはツンデレさんなんだな




「はじめまして、アルフレッド様。この度は我々の同胞を助けていただいて有難うございました。私はアシュリー、以後お見知り置きを。」




「あ、あぁ、よろしく」




ずいぶん堅い人だな。




「気にしないで、アシュリーは誰にでもこんな感じなんだ」



まぁお前らはフレンドリー過ぎるけどな。俺もだけど。





「じゃあ付いて来て!森は危険だけど、僕らは認識阻害の魔法が使えるからね。猛獣や魔物に襲われる心配はないよ」




母さんは森に入るなと言っていたが、それなら大丈夫だろう。

にしても、そんな魔法が使えるのに人間に捕まるなんて不用心にも程がある。やっぱり妖精は頭のネジが足りないのか?





「フィオナ様やティナ様は、妖精族の中でも特に、楽観的すぎるところがあります。もう少し立場というもの弁えて欲しいものです。」



「なるほど」




アシュリーさんのお説教が始まった。あの2人が特殊なだけなのか。少し安心した。

妖精族がみんなあんなのだったら、とっくに絶滅しているだろうしな。





「アル?何か失礼なこと考えてない?」



「いや、気のせいだ」




おっと、顔に出てたか。気をつけないとな





その後も色々と話していると、突然、森の雰囲気が変わった。





「あれ?急に空気が変わった…?」



「あぁ、もう結界の中に入っているからね。妖精の国は、人が入れないように結界が張られているんだ。入れないと言っても、人間が自分からそれを避けるようになっているから、怪しまれることもないよ」



「すごいな、妖精」



「むっふっふ。でしょー?」



ティナは空中で胸を張る。






「後どれくらいでお前たちの国に着くんだ?」



「もうすぐだよ。みんな余り人間に慣れていないから、僕らの側から離れないようにね」



「わかった」





しばらく歩くと、彼らは茂みの中のトンネルのようなところに入っていった。

俺は少し体を屈ませてついていく。



そのトンネルを抜けると目の前には、美しく、幻想的な世界があった。





立ち並ぶ建物は全て、森に生える樹木を活かして作られている。

木には真っ赤な実がついていて、それを収穫している妖精の姿がちらほらと見える。

すぐ近くでは、3人の妖精が楽しそうに戯れていた。彼らの飛んだ後にはキラキラとした鱗粉の様なものが漂っている。





「綺麗だ…」



と、無意識にこぼしてしまう。

ぼーっとその景色を見ていると、妖精たちが俺の姿に気づいたようだ。


彼らは俺を見て少し驚いた顔をして、俺の側のティナとアシュリーに目を向ける。

すると安心したようで、彼らの緊張が解けていくのが分かる。




「ひょっとして、ティナって結構偉い?」


「さぁ?どうだろうねぇ?」



ニヤニヤしながら彼はお茶を濁した。





その後も好奇の視線を向けられながら歩き続け、随分遠くから見えていた大木の根元に辿り着いた。その木に付いている実は暖かい光を放っている。




「ここが妖精城だよ」




「随分と大きいな、この扉とか人間サイズじゃないか?いやもっと大きいかも」



「昔は他の種族もよく招いていたからね。ここ最近そういう事はすっかり無くなったけど」




「昔ってどれくらい前だ?」




「うーんと、1000年前くらいかな」


お前何歳だよ。




俺たちが扉の前に立つと、ゆっくりと重たそうな音を立てながら扉が開いた。大樹の中は全てがガラスで出来ている様に美しく透き通っていた。





ここに来てから感動しっぱなしだ。



「城の中はクリスタルで出来ているんだよ。綺麗でしょ?」


「あぁ、すごいな」


クリスタル、だと…いったい幾らになるんだ…



などとやましい事を考えていると、上の階から見慣れた顔が近づいて来た。



「アル!やっと来たのです!」



「おう、フィオナ。ここ凄いな」



「当たり前なのです!もっと褒めるです」



なんでお前が得意げなんだ。





そして俺は最上階の王室に招かれた。




玉座には煌びやかな服を身に纏った、他の者たちよりひと回り大きな妖精が座っていた。




「あの方が妖精の国の姫、ヴィクトリア様だよ。」



ティナが俺の耳元で言う。




妖精たちは皆、片膝をついて頭を垂れている。俺もとりあえず真似をしておくことにした。



すると、妖精姫が口を開いた。


「あなたがアルフレッドね。話は聞いています、フィオナとティナがお世話になったようね。妖精族を代表してお礼を言います、ありがとう」


川のせせらぎのような穏やかで透き通るような声だ。油断すると聞き入ってしまいそうだ。




「いえ、自分はたまたま通りがかっただけですので。」




「あら謙虚なのね。」



本当に通りがかっただけだしな




「全く、あの2人は本当に困ったものだわ。何度、心配かけさせられた事か……」



あぁ、心中痛み入ります。





「何はともあれ、私たちの同胞を救っていただいたのですから、何か褒賞を与えなくてはいけませんね。どうしましょう…アルフレッド様、なにかご希望はありますか?」



急にそんな事を言われてもな。うーん、そうだなぁ。





俺は、少し考えてから口を開く。



「…自分は将来、世界を見て回るつもりです。その時に何か役立つようなものがあれば」



と、言ってみたが少しアバウトだったか。でもあまり具体的すぎるのも図々しい気がする。細かいところはあちらに任せるのがいいだろう。日本人的な考えだ。





「なるほど…アシュリー。ちょっと、………………」



姫様が何かアシュリーさんに耳打ちをしている。




「…かしこまりました」



そしてアシュリーさんは玉座の後ろの扉に消えていった。







しばらくして、戻ってきたアシュリーさんの手には、指輪ケースくらいの大きさの箱があった。



「ヴィクトリア様、こちらで間違いないでしょうか」



そう言って箱を妖精姫様に渡す。



「ええ、ありがとうアシュリー。」



箱を受け取った姫様は、俺に向き直る。





「それではアルフレッド・リンドロート様。」



「はいっ」



突然フルネームで呼ばれて、反射的に背筋が伸びてしまう。



「我が妖精族の同胞たちを救ったその功績を称え、この世の森羅万象を見通すことのできる目。翡翠眼を与えます。大義でした」


なにそれ強そう。




「ありがとうございます」



そう言って小さな箱を受け取った俺は、再び頭を下げる。

にしても、すごいものを受け取ってしまったな。



木箱に入っていることに疑問を抱かざるを得ないが。



「ふぅ…じゃあそろそろ良いかしら」


「…え?」






「はぁーーーー。つっかれたー!」



と、言って姫様は立ち上がって身体を伸ばす。

その横でアシュリーさんが眉間を抑えながらため息をついているのが見える。




「いやー、堅っ苦しくてごめんね!君も、もう楽にして良いんだよ?はぁー、久しぶりに人間と会って緊張したよー!それはそうと、君はなんだか不思議な雰囲気を持ってるね!ねぇねぇ、過去に何かあったのかい?お姉さんに教えておくれよー!」



めちゃめちゃ喋りますやん。



「っ…………!」



あまりの変貌に絶句してしまう。キャラ変わりすぎだろ。



少し驚いたが、どうやらこっちが素のようだ。あっちは王族モードと言ったところだろうか。




「おーい、アルフレッドくーん?」



姫様、改めヴィクトリアが俺の目の前で手をひらひらとしている。




「あぁ、悪い。少し驚いていた」



「私、堅苦しいのは苦手でさー。ずっとあのままでいるの疲れるんだよねぇ」



「まぁ俺もこっちの方が気が楽だよ。ところで、この箱開けてみても良いか?」



「もちろん!開けて開けて!」



箱を開けると、透き通った緑色の小さなコンタクトレンズの様なものが1つ入っていた。





「…コンタクト?」



「こんたくと?なにそれ?それは妖精族に伝わるアーティファクトでね、目に入れると無くなっちゃうんだけど、その代わりに翡翠眼を得ることが出来るんだ。君たちのスキルで言うと、【鑑定】に似たようなものかな。でも、より色々なものを、詳細に見ることができるんだよ?すごいでしょ!」



「それは凄いな…!」





凄いと言うか、とんでもない。

こんなもの本当に貰ってしまって良いのだろうか。いや有り難く貰うけどな。





「ほらほら!使ってみなよ!大丈夫、目が緑になったりはしないよ」



それは地味に助かるな。息子が目を緑色にして帰ってきたら母さんが卒倒しかねない。





俺はヴィクトリアから貰ったコンタクト(?)を慎重に左目に入れた。

少しの間は違和感があったが、何度か瞬きをすると目の中に溶けてくのが分かる。少しすると、全く違和感は無くなった。






「…あ、問題なく使えたみたいだね!ほら、左目に意識を集中して私をみてごらん!」




言われた通り、翡翠眼を使ってヴィクトリアを見てみる。




「!?!!」



俺は再び言葉を失った。





>>妖精姫・ヴィクトリア


レベル:129


体力:573


魔力:1362


攻撃:753


防御:487


敏捷:859


スキル:【妖精族の長】【心眼】


魔法: 火魔法(中)水魔法(上) 雷魔法(中)土魔法(特上)風魔法(特上)精霊魔法(極)








…姫様は壊れてらっしゃるようで。










主人公が順調にチートに近づいていますね。


楽しんで読んで頂けたら幸いです。

ブクマ、評価など是非よろしくお願いします。


意見、感想お待ちしています


次の投稿は1時間後です

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