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人生は、異世界転生までの暇つぶしである。  作者: ぱいん兵
第1章 ー幼少期ー
4/16

異世界の始まりは、教会からである。

ついに異世界生活が始まりました。




目を開ける。






朦朧とする意識の中、ゆっくりと自分の状況を理解する。





〈身体が思うように動かない。本当に産まれたばかりなんだな〉






俺を抱いているこの女性は母親だろうか、とても綺麗な人だ。栗色のウェーブのかかった髪の毛に、亜麻色の瞳。顔立ちは日本人のそれとはかけ離れていた。







〈綺麗な人だな、あといい匂いだ。それにしても…〉








〈ここはどこだ?〉









明らかに民家とは異なる様相のその場所には、複数人の大人と、同じく産まれたばかりであろう赤ん坊たちが集まっていた。







「それでは、赤子をこちらに」






場が喧騒に包まれる中、低いながらもよく通る声でそう言った神父風の男に、俺のすぐ近くの夫婦は赤ん坊を不安そうな顔で慎重に受け渡す。




「あなた、ウチの子は大丈夫かしら…」



「大丈夫、きっと良い天恵を授かっているさ。」





そういった会話が隣から聞こえる中、俺は父親の姿を探す。




〈この人か〉





見つけるまでにそう時間は掛からなかった。母のすぐそばに立っていた彼は、短めの金髪と深緑の瞳。そして、彫りが深く男らしい顔立ちの、紛うことなきイケメンだった。腰元にはシンプルで洗練された装飾の剣を差している。





〈この2人の息子なら俺は間違いなく美形だろう〉





マークシートがしっかりと反映されていることを確認した俺は再び神父に視線を移す。





「おめでとうございます。彼の天恵は剣術(上)です」



「「「おぉ…」」」 と、静かな歓声が上がる。恐らく当たりなんだろう。

(上)とかなんか焼肉みたいだよな。


手を取り喜び合う夫婦を見ていると、俺の番が来た。





祭壇のような場所にそっと置かれる。



〈石造りか…冷たいな〉





「彼の天恵は………ん?なんだこれは…クラフトルーム?初めて見るな…」




おぉ、神父が戸惑っている。何という間抜け面だ。




うちの両親も微妙な表情をしている。

まぁ父親の風貌からして戦闘系のものを期待されていたんだろう。




それはそうと、天恵=スキルで間違いないようだな、全くややこしいったらないぜ。




そして儀式(?)は滞りなく進み、最後に一際身なりの良い夫婦の番が来た。夫の方は何というか…大きい。横に。




神父に赤ん坊を手渡し、しばらくしてから神父がいう。




「!?…伝説の中の話だと思っておりましたが、まさか実在するとは…!」



「おい!ウチの子の天恵はなんなんだ!さっさと言わんか!」



恰幅のいい男が神父に言う。態度もでかいな、嫌いなタイプだ。



「魔術(特上)です」




もっと焼肉みたいなのキタ。




にしても凄いな、エリゼが滅多にいないって言ってたし相当レアなんだろう。



はぁ、俺もあんなのが良かったなぁ…



そんなこんなで儀式は終わり、母に抱かれながら家に帰る。


〈にしても巨乳だな。この感触、なかなか悪くない。全然嫌いじゃない〉



「大丈夫、きっと優しくて良い子に育ってくれるわ、戦いで評価されなくたっていいじゃない。そうでなくともアルフレッドはきっと立派な子になるわ」



母が言う




「ああ。そうだな」



父はそう言って俺に優しげな視線を向ける。でもどこか寂しそうだ。

やはり戦闘系のスキルを期待していたんだろう。





そうして家に着き、ベッドに寝かされた俺は、外出の疲れからかすぐにウトウトとしてしまった。



やはりこの身体には体力がない。産まれたてなのだから当たり前だ。


そうして俺は、異世界生活1日目を終えた。ーー







ーーー次の日の朝。


目を覚ました俺は、食事(授乳?)を終え、ベッドに寝かされていた。





「あぅぁ、あ」





まだ喉などが発達していないせいで、言葉はうまく発せない。

今日はとりあえず、スキルを使ってみようと思う。





近くにあったぬいぐるみに触れながら心の中で念じてみる。身体の一部分が触れていないと発動できないようだ。





〈収納〉





ぬいぐるみは消えた。これは【クラフトルーム】の【アイテムボックス】の方の機能だろう。スキルの使い方は何となくわかる。理由は知らない。

腕や脚の動かし方が説明できないのと同じだろう。不思議な感覚だ。





頭の中にイメージが浮かぶ。白い空間に1つのぬいぐるみ。



ここで【メイキング】が出来るのだ。いったいどこまでイジれるのか試してみる。



頭の中でぬいぐるみを動かす。よし、思い通りに動くな。


次は、切断だ。

いや可哀想とか言ってる場合じゃない。あとでくっつけるから大丈夫だ。多分。



おお、豆腐のように簡単に切れる、そしてめちゃくちゃきれいな断面図だ。

これなら相当いろんなことができるぞ。




調子に乗ってバラバラにしてしまった。ついに角切りチャーシューぐらい大きさだ。カップ麺に乗ってるアレのことだ。





戻れと念じてみると、便利なもので、自動で組み上がって元に戻る。時間が巻き戻ってるような感じだな。





あとはそうだな、サイズの変更とかはできるのかな?


俺はぬいぐるみを見ながら「大きくなれ」と念じてみる。





すると







ぬいぐるみは、跡形もなく爆散した。




スキルの内容を変更しました。


楽しんでいただけた方は是非ブクマ、評価よろしくお願いします。


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