スキル選びは、一世一代の運試しである。
序章の最終回です。
10/15 スキルを変更しました。
「ガチャガチャ…だよな?」
「そうよ。まぁあくまでも演出だけどね」
俺の目の前にはハンドルのついた巨大な箱。
ガチャガチャの形をしたそれの中には、数え切れないほどのテニスボールサイズのカプセルが入っているのが見える。
「スキルって全部で何種類あるんだ?」
「詳しくは分からないわ、スキルを作ってるのはもっと上の方々だもの。でもまぁ、どれだけ少なく見積もっても4桁はあるでしょうね」
それはまた大雑把な…
「で、これは何回回せるんだ?」
「え?1回に決まってるじゃない」
「は?なめてんのか?俺はお前に殺されたんだぞ。何とかしろ」
俺は幼女の頭を鷲掴みにする。
「あ''ぁー!痛い痛い!!もう分かったわよ!2回!2回させてあげるからぁ!それ以上はホントに無理だから!離して!」
「よし、それで勘弁してやろう」
俺がそういうと幼女は、2枚の大きなコインを取り出して俺に渡した。
コインにはデフォルメされた幼女の顔が彫られている。
何なんだ、この細かいこだわりは。
視界の端に幼女のドヤ顔が見えるのが絶妙に腹が立つ。
そのコインを1枚巨大ガチャに投入する。
「さぁ、回すぞ」
《ガラガラ、カラン》
と、1つのカプセルが出てきた。透き通るような白色である。
それは独りでに開き、中から無数の光が出てきた。
その光は俺の胸の中に吸い込まれるようにして消えていき、頭の中に声が響いた。
『スキル【アイテムボックス】を獲得しました。』
おっ、これはまた定番だな!
「おい」
「その''おい''ってのやめなさいよぉ…もう。それで?何が出たのよ?」
「【アイテムボックス】だとさ、コレはどうなんだ?」
「あーまぁ当たりでもハズレでもない感じかしら。持ってる人も多いし、容量もそこまで無いしね」
「なんかパッとしないな。戦闘系のスキルは無いのか?」
「あるわよ、戦闘系なんかは基本的に、下、中、上の三段階に分かれてるわ。上より良いのもあるみたいだけど滅多に見ないわね」
なるほど、最上とか極とかになるのかな。
しかし、2回回せるようにしておいてよかった。さすがにこれで終わりはつまらない。
やっぱり狙うは魔法系のスキルだよな!
まぁ他のでも戦闘系ならいいだろう。男の子としてはバトルしたいし
さぁ2回目いくか!
俺は例のふざけたコインをガチャに投入した。
期待を込めてハンドルを回す。
《ガラガラ、カラン》
相変わらずの軽い音だ。
「お、青か」
正直金色とか期待してたので、少しだけ落胆する。
先程と同じように光の粒が俺の胸に吸い込まれていく。
再び頭の中に声が流れた。
『スキル【メイキング】を獲得しました』
『スキル【メイキング】の複合適正スキルを獲得しています。』
「ん?」
『スキル【アイテムボックス】とスキル【メイキング】を複合しますか?YES/NO』
「なぁ、スキルの複合ってなんだ?」
「!?…そんなの聞いたことない。スキルの2つ持ちは極稀にいるみたいだけど。」
複合できるスキルとできないスキルがあるみたいだ。
この複合適正ってのがそうなんだろう。
そうゆうことならもちろんYESだ。
『複合スキル【クラフトルーム】を獲得しました』
うーん、意味がわからん。てかこれゴリゴリの生産系じゃね?
「【クラフトルーム】ってどんなスキルか分かるか?」
「初めて聞くわ」
複合スキル自体聞いたことないって言ってたから当然か
名前からして戦闘向きではないかも知れないな。
「冒険の夢は叶わなかったかぁ……」
「そんなに落ち込まないで!魔法とかは訓練次第でどうとでもなるし、スキルも意外に戦いに使えるかもよ?」
「そうだといいんだけどなぁ」
しかしこいつ基本的にはいい奴だな、巨乳だし。
「巨乳は関係ないでしょ」
幼女に蔑まれる。至福の時だ。
「いつまでそんなこと言ってんのさ君は。さぁそろそろお別れの時間だよ」
「え?もう?」
「なに言ってんのさ、もう君が死んでから外の世界ではそこそこの年月が流れてるよ?」
「あー、浦島太郎方式なのね」
「え?なにそれ」
「いやなんでもない」
「まぁいーや!君は気持ち悪いし変態だけど、なかなか面白いやつだったよ!これからの人生が君にとって幸せなものになりますように」
「おう、ありがとう」
「最後に私の名前を教えておくね。私はエリゼ。今から君がいく世界では''神''なんて呼ばれ方してるわ」
「え?神様!?」
どうやら金髪碧眼ロリ巨乳は神様だったらしい。
まぁなんとなくそんな気はしてたんだけど。ココはあいつのドヤ顔に合わせたリアクションだ。
「それでも君は私にあの態度を取っていたのかい?あははっ!本当に面白い人だね。大丈夫、君ならあの世界でもきっと上手くやれるさ」
「当たり前だ。俺を誰だと思ってる」
正直すこし不安だが、強がってみる。見透かされてるんだろうけど。
「じゃあ本当にお別れだよ!武くん、頑張っておいで!運が良ければまた会えるかもね」
だんだんと意識が遠のいていく。死んだ時に近いな。でもあの時のような不快感はない。
「あぁ、酷い目にあった時はお前のせいだからな」
「ふふふ、君は本当に素直じゃないな。もしかしたら、君なら……
彼女の言葉の最後を聞かずして、俺は意識を手放してしまった。
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