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人生は、異世界転生までの暇つぶしである。  作者: ぱいん兵
第1章 ー幼少期ー
15/16

のじゃロリは、偉そうである。





「おかえりなさーい」




「ただいまー!」




「商人さんはどうだった?」




「あー、あんまり良い物はなかったよ」




「そう、それは残念だったわねえ。」




「でもポーションとかはたくさん売れた」




《ジャラジャラジャラジャラ…》




母さんが目をひん剥いている。まだ白金貨も入ってるんだけど




「ほら、母さん。コレで新しい服でも…」




そう言って母さんに金貨を10枚渡そうとしたが、突っぱねられてしまった。




「子供が変な気回さないの、それはアルが稼いだお金なんだから。使うべき時まで取っておきなさい。」




「うん。分かった…」






そう言って俺は自室に戻った。





ーーー・ーーー・ーーー・ーーー・ーーー





「ふぅ…しかし大儲けだったな。」




原価がかかっていないから、ほとんど利益率100%だ。





日本円にして143万円。子供の小遣いには過ぎた金額だな。





だが、今日の1番の収穫は恐らくコレだ。




俺はクラフトルームに例の錆びついた剣を取り出した。




ぱっと見ると剣がどうかすら怪しいが、俺の翡翠眼にはこう映っていた。





〔妖刀・氷月〕太古の時代に極東の国で作られた刀。その刀身に妖を宿し、使用者には災いが降りかかると言う伝説が残っている。妖刀だと知りながらも、その圧倒的な斬れ味に魅入られ命を落とす者も少なくはなかった。<






とんでもないお宝だろう?あんな馬車の隅に傘みたいに立てかけられていた時は目を疑った。




恐ろしい文言だが、使わなければどうという事はない。




そして、何と言っても刀というのが良い。日本的な国があるのかもしれないな、是非いつか訪れてみたいものだ。





「しかし、酷いサビだな。」





俺は丁寧に錆を分解していく。なかなか大変だな。






しばらくすると錆の分解が終わり、光沢を放つ美しい刀身が露わになった。形状は完全に日本刀である。普通のものよりも少し白っぽいかもしれない




鞘とかの細かい汚れを落として…っとこれで完全復活だな。




これが氷月の本来の姿か、しかしよく切れそうだな…………いやいや、ダメだダメだ。


危ない、魅入られるところだったわ。




俺は刀を鞘にしまう。鞘は漆塗りのようになっていて、その上から白い布が巻かれている。カッコいい。




しかし、刀身に妖を宿すって書いてあったな。





……いやまさか、そんなはずない





でもここは異世界だぞ?…ちょっと試してみるか。




魔物からスキルポイントを取り出すことが出来るなら…





「分解」




俺は、錆ではなく刀そのものを分解する。刀身と何かを無理矢理乖離させるような感覚だ。




クラフトルームの中で、氷月が光を放つ。




光が刀に収束していくように収まる。しかしそこには何も変わらない刀身があるだけだった。




「なんだ、何もないか。まぁそうだよな。」





そうこうしていると夕飯が出来たようなので、食卓に向かい、いつものように魔法の練習をしてから眠りについた。





ーーー・ーーー・ーーー・ーーー・ーーー





「おい……おいお前さん…早く起きんか…」




声が聞こえる。




「……ん?誰だ、こんな時間に…」




俺は辺りを見回すが、部屋には誰もいなかった。




「寝るな!ここじゃ!ここじゃ!」




「なんだこの声は、変な夢だな。」




「夢じゃないわ、はよこの変な所から出さんか!」




「変な所?…あっ。」




俺は慌ててクラフトルームを開く。すると中には





濡れているような美しく黒い髪を腰辺りまで伸ばし、白い着物に身を包んだ、深紅の瞳の少女がこちらを見ていた。




「お主、どうやって妾と氷月を引き離した?」




「あ、あぁ、それは俺のスキルを使ったんだ」




なんだこいつ、あの刀の中の妖か、しかしなぜすぐに出てこなかったんだ?




「寝ておったのじゃ、起きたら出られるようになっていて驚いたぞ。」




「心読むのやめてくない?」




「しょうがないじゃろう、勝手に聞こえてくるんじゃよ。」




「しかし、何で刀の中になんか居たんだ?」




「封印されたんじゃよ、昔はやんちゃしとったからな。奴らを何人も凍りつかせてやったわい。くっくっく、妾も若かったわ。」




「そうか、おやすみ」




しかし、とんでもない奴を出してしまったかもしれないな。




「おい!寝るな!ここから出さんか!」




「なんで?」




「なぜって、こんな気持ちの悪いところにいつまでもおれるか!」




「気持ちの悪いとは失礼な、それは俺の大事なクラフトルームだ」




「くらふとるーむ?なんじゃそれは、異能か?」




「異能って言うか、スキルだな」




「すきる?さっきも言っておったようだが、よくわからん。ちゃんと説明せい。」




「まぁ異能でも意味は同じだろうな。しかしお前、ずいぶん偉そうだけど自分の状況わかってんの?」




「どう言う意味じゃ?」




「そこは俺のスキルの中だ。つまり、お前をどうするも俺次第ってこと。」




おれは石ブロックを1つ取り出し、バラバラに切り刻んでから溶岩のように溶かして元に戻す。





「な?分かるだろ?」





「ゔっ…人間風情が調子に乗りおって…」




「そういう訳だ、俺は眠いから寝る。話しかけるなよ」




「ぐぬぬ…」




ーーー・ーーー・ーーー・ーーー・ーーー




次の日の朝。





「ふぁぁ…よく寝たな。」





すると、扉がノックされる。




「アルフレッド、早く準備をして出てこい。始めるぞ」




「あぁ!今いく!」




俺は顔を洗い、服を着替え。父さんに貰った剣を持って外に出た。





「よし、行くか。」




日課のトレーニングである。以前と同じメニューなら、もう楽々とこなせるようになっていた。




「なんだアル、ずいぶんと余裕そうじゃないか」




「え?あぁもう2年もやってるしね」




「そうか」




そんな会話をしながら父さんと組手をしていると、母の声が聞こえた。




「お父さーん、アルー!ご飯できてるわよー!」




「わかったー!」




「よし、じゃあそろそろ切り上げるか。」




鞘に剣をしまい、家に向かう。最近は技術も付いてきていて、組手に真剣を使っていた。



俺のステータスはもう充分高いが、それに頼りきりになるのは危険だ。なので、父さんとの組手の時はステータスを抑えて技術を磨くことに努めている。




ステータス全開でやっても父さんに勝てる気はしないんだけどな…




ーーー・ーーー・ーーー・ーーー・ーーー




「「「ごちそうさまでした」」」




「アル、今日はどうする予定?」




「今日はハンナと遊ぼうかなって、昼ごはんも食べてくるよ」




「そう、仲が良いのね!」




「あぁ、まぁね」




「森には入るなよ。」




「うん、分かってるよ父さん」




ホントはちょくちょく入ってるけど……





「じゃあ行ってきます!」




「行ってらっしゃーい」





家を出た俺は、中央広場に向かった。





「ごめんごめん、待たせちゃった?」




「ううん、私も今来たところだよ」




「そっか、ならよかった」




「じゃあ行こっか。ママも待ってると思うし」




今日はハンナの家に行く予定だ。何か手土産があったほうがいいかな…あぁ、スライム液でいっか、アレなら間違いないだろう。




しかし、いくら子供とはいえ女の子の家ってのは緊張するものだな。




ーーー・ーーー・ーーー・ーーー・ーーー




しばらく歩くと、ずいぶんと小さく、造りの雑な家が何軒か並んでいた。



獣人が住む区域だ。




「ここだよ!上がって上がって!」




「…おじゃまします」




この地域の領主は、獣人差別がとにかく酷い。わざとこの様な家を充てがわれているのだろうな。全く嫌になる。




「あ、いらっしゃい。あなたがアル?ハンナからいつも聞いてるわよ!ハンナったらいつもアルがアルがってうるさいんだから」





「もう!ママ!そんなこと言わなくて良いの!




「あら、いいじゃないの。本当のことでしょ?」




「初めまして、アルフレッド・リンドロートです。娘さんにはいつもお世話になってます。これ、つまらないものですが…」




「あははっ。そんなかしこまらなくて良いのよ!自分の家だと思ってくつろぎな……って、これ、スライム液じゃないか!こんな高級な物良いのかい?高かっただろう?」




「いえ、自作したものなのでお金はかかってないです。効能は保証しますよ?」




「そうかいそうかい。ハンナから聞いていた通り、アルくんは凄い子なんだね。ありがたく頂いておくよ。あ!お茶でも出すわね」




ハンナのお母さんは上機嫌で部屋を出て行った。




「ごめんねアル。うるさい人で…」




「いや、賑やかでいいじゃないか。それに良い人そうだ、素敵なお母さんだね」




「えっ、そ、そうかな…」




ハンナはそう良いながら少し顔を赤くした。口ではああ言っても、自分の母親が褒められるのは嬉しいのだろう。可愛いやつめ





その後はハンナとハンナママと3人で昼食を食べてから色々な話をして、ハンナの家を出た。





「今日はありがとうございました」




「アタシも楽しかったよ、またいつでもおいで。」


「アル、また来てね!」




ハンナは今日、俺が作ってあげた服を着てくれている。本当に似合うな。



金色の髪に太陽の様な可愛らしい服がよく映える。また、夕焼けに照らされた髪がキラキラと輝いて…うん、天使だ。




「うん、ありがとう。じゃあまたね」




俺は家に向かって歩き出した。





帰ると、母さんが夕飯の準備をしていた。俺は庭の薬草たちに水をやる。



最近は薬草の栽培をしているのだ。生えていたところの土ごと持ってきて、動物や魔物の骨などを肥料として与えている。




最近は質のいい薬草がたくさん育つ様になったな。





「アルー!ご飯よー!」




「はーい!」




家に戻り、夕飯を食べる。





風呂に入り、歯を磨いて、魔法の練習をしながら、父さんが買ってきてくれた魔道書を読む。





そしてベッドに入ってランプを消した。





………………





………………あれ?何か忘れているような…なんだっけ?





まぁいっか。寝よ……












「おい、お主!ふざけるでない!いつまで妾を放置するつもりじゃ!」









あ、完全に忘れてた。





5万字突破です!そしてブックマークも20件突破!いつもありがとうございます!


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