スライムは、俊足である。
…本当に入った。なんか出来るような気はしてたんだがな
いざ入ったとなると驚くな。俺の身体の中にスライムがいるんだよ?なんかぞわぞわする。
身体の中っていう表現で合っているのかどうかはイマイチよくわからないけどな
「おい、アル。いま何をした?」
「あぁ、俺のスキルで、スライムを収納したんだよ。自分よりある程度レベルの低い動物や魔物は収納できるみたい。」
「そうか」
あれ?なんか反応薄いな。俺より落ち着いてるんじゃないか?
俺は、父さんと2人で歩きながら、クラフトルームに入れた魔物をどうするか考える。
とりあえずは分解か。
スライムを魔石と、使えそうな素材、スライムの場合は体液だな、美容品になるらしい。それに分解する
スライムの素材はこれで全部だ。
……本来なら。
分解した後に光の玉のようなものが漂っている。どこかで見覚えがあるな。
取り出してみるか。
光の玉を取り出すと、それは俺の胸に吸い込まれていった。父さんには見えていないようだ。
『【吸収】のスキルポイントを獲得しました。』
『【物理攻撃抵抗】のスキルポイントを獲得しました。』
ん?スキルポイント?
ステータスのスキル欄を見てみると、2つの項目が追加されていた。
【吸収】1/100
【物理攻撃抵抗】1/30
おお、なるほど。スライムを100匹集めれば吸収、30匹集めれば物理抵抗スキルが手に入るってことか。
モンスターのスキルまで分解できるとは驚きだ。
このスキルめちゃくちゃ当たりなんじゃないか…?
とりあえず暫くはスライム探しか…
後日、俺は1人で森に入っていた。もちろん両親には内緒だ。
「スライム…スライム…」
目を皿のようにしてスライムを探す。
「いた!スライムぅぅぅ!」
俺の異常な様相にスライムが怯えている。スライムには表情などは無いのだが、これは明らかに怯えている
俺が手を触れようとした瞬間、スライムは全速力で逃げ出した。
「くっそ!無駄に速い!」
俺は走って追いかける。乱立する木々をかき分けながら走り続ける。
「…何だここ」
スライムが逃げていったその先は美しい湖のほとりだった。
「綺麗な場所だな。そういえばアイツは?」
あっ、いた。くそっ、あんな岩の隙間に入って行きやがった。
しかし、身体が小さくて助かったな、このくらいの隙間ならギリギリ入り込んで行ける。
俺は体を岩に擦りながらも、スライムの後を追う。
「はぁ、こりゃあ母さんに怒られるな…」
着ている服はボロボロである。
しばらくすると、岩の隙間の先から淡い光が見えた。
「…?出口か?」
岩の隙間の向こうには拓けた空間があり、そこは緑色の光を放つ苔のようなもので覆われていた。
そして、その中央には、ありとあらゆる大きさ、色のスライム達が群れをなしていた。
「群れって言うか、こりゃあ巣だな。」
見渡す限りスライムである。
「見たことない奴もいるな。どれどれ」
俺は翡翠眼を発動させる。
《スライム》
レベル:1
体力:8
魔力:2
攻撃:5
防御:9
敏捷:50
スキル:【吸収】【物理攻撃抵抗】
魔法:ー
こいつはさっきのスライムだ。
たくさんいる中で目に付いたのは…
《スライム・ロゼ》
レベル:2
体力:8
魔力:13
攻撃:10
防御:9
敏捷:38
スキル:【発熱】【魔法攻撃抵抗】
魔法:ー
《スライム・ダーク》
レベル:2
体力:15
魔力:0
攻撃:16
防御:3
敏捷:52
スキル:【ドレイン】【ブラックアウト】
魔法:ー
この2匹だ、特に気になるのは【ドレイン】詳細はわからないが確実に手に入れておきたい。
あとは……ん?
いや、アイツがこんなところにいる訳がない。アイツがいるのは何て言うかもっと別の世界だ。こんなところに…
《スライム・メタリック》
レベル:67
体力:1
魔力:20
攻撃:15
防御:689
敏捷:1136
スキル:【獲得経験値増加】【魔法攻撃無効】【俊足】
魔法:火魔法(下)
いらっしゃいましたああぁぁぁ!てかレベル高すぎだろ。捕獲は無理か、でもスキルめっちゃ欲しい。いや待て、落ち着くんだ。
こいつが本当に俺の知っているアレと同じものだとしたら、倒したら経験値ゴッソリなのでは…??
「よし、決めた」
俺は出入り口を土魔法でガッチガチに固めたあと、自分でもよくわからないがその上から氷壁を重ねた。
部屋ごっつ寒い。
「よし、遊ぼうか。ゼリー君達。」
ーーー・ーーー・ーーー・ーーー・ーーー
2時間後…
>アルフレッド・リンドロート
レベル:4→6
体力:44→6
魔力:79→95
攻撃:48→67
防御:44→62
敏捷:62→85
スキル:【クラフトルーム】【翡翠眼】【吸収】【発熱】【発光】【物理攻撃抵抗】【魔法攻撃抵抗】【ドレイン】【幸運】
[【ブラックアウト】32/1500 【激運】1/10【物理攻撃反射】7/2000【魔法攻撃反射】6/2000【HP自動回復】3/700【探知】11/500【自爆】5/100]
魔法:火魔法(下)水魔法(上)風魔法(中)土魔法(中)雷魔法(上)<
なかなかの数のスキルを獲得できた。
ここのスライムは獲り尽くしたが、それでもポイントが足りないスキル。これはいわゆるユニークスキルというやつだろう。
限られた種の、更に少数のスライムしか持っていなかった。
【幸運】は、たまたま見つけた金色のスライムを倒したら1回で獲得できた。同時に【激運】のスキルポイントも貰えたが、これだけいて1匹なのだからかなり厳しいだろう。
さあ、問題は部屋に1人取り残されているスライム。
そう、ヤツである。数多の勇者たちが血眼になって探していたあいつである。
「さて、どうしたものか。」
正直攻撃を当てられる気がしない。
「こらっ!まて!」
俺の攻撃をひとしきり避けたあと、少し離れたところでぷるぷるとしている。
完全におちょくってやがる。スライムの分際で調子に乗りおって、その程度の挑発で俺が取り乱すとでも?
《ぷるぷるぷるぷる》
ーーー・ーーー・ーーー・ーーー・ーーー
…20分後
「待ちやがれこの野郎!ぶっ殺してやる!」
俺は未だ冷静にスライムを追いかけていた。
ーーー・ーーー・ーーー・ーーー・ーーー
「はぁっ…はぁ……」
地面に大の字になる俺。傍らでぷるぷるするスライム。
氷壁が溶けてきたのか、床が濡れていた。
あぁーあ、びしょびしょじゃないか。
ん?びしょびしょ?…水…?
試してみるか
「アイスグランド!」
君は、カーリングというスポーツをご存知だろうか。アレに使われるストーン、石でできた道具は、このスライムの形状に酷似していた。
そして俺がイメージしたのはカーリングのフィールド。スライムとの間にある摩擦はほぼゼロと言っていい。
つまり、どうなるかと言うと…
《ぷるぷるツルツルぷるツルぷるツルツルぷるっ》
スライム・メタリックは、滑りまくって動けなくなる。
「おいおい、さっきまでの余裕はどうした?なぁ、スライムさん?」
俺の心が黒く染まっていくが、仕方ないだろう。
おーおー、焦ってる焦ってる。
俺は大岩を切り出して作った即席のスパイクを靴に取り付けた。
これで問題なく歩ける。
「さぁ、今度はこっちの番だ。」
ーーー・ーーー・ーーー・ーーー・ーーー
…1時間後。
「はぁっ…はぁ……はぁっ…やっっっと終わった…」
アレからツルツルと滑るスライムを攻撃することは出来たが、奴の硬さを忘れていた。ダメージが全くと言っていいほど通らない。
最後は氷のコップで奴を包み込むように固定して、石製のハンマーで、鉄鉱石から作った鉄の楔のようなものを打ち込んでやった。
いや、もちろんそれやってる時はモンスターと戦ってる画じゃないなって思ったよ?「あっれぇ、おかしいなぁ。何やってんだろ俺。」って思ったけどさ、背に腹は変えられないじゃない?
まぁいろいろあったが、とりあえずミッションコンプリートだ。そして、読み通り膨大な経験値を獲得できた。
あいつ自身のレベルも相当高かったしな。どれだけレベルが上がってるか楽しみだ。
ステータスオープン。
>アルフレッド・リンドロート
レベル:6→32
体力:60→350
魔力:95→583
攻撃:67→392
防御:62→378
敏捷:85→557
スキル:【クラフトルーム】【翡翠眼】【吸収】【発熱】【発光】【物理攻撃抵抗】【魔法攻撃抵抗】【ドレイン】【幸運】
[【ブラックアウト】32/1500 【激運】1/10【物理攻撃反射】7/2000【魔法攻撃反射】6/2000【HP自動回復】3/700【探知】11/500【自爆】5/100]
魔法:火魔法(下)水魔法(上)風魔法(中)土魔法(中)雷魔法(上)<
ん…?ゴシゴシ……ゴシゴシ…
…チラッ
うん、間違いない。完全にやってしまった。俺はまだ7歳児だぞ?
これは事故だ。
このレベルで倒していいモンスターじゃなかったな。
前にも言ったが、成人男性の平均ステータスは50だ。
そして普通に生活していれば魔物を倒す機会などそうそうあったもんじゃない。となると、だいたい一般人のレベルは15くらい。
加えて俺は基礎能力値が高い。というかマックス。さらに今日、ここまでレベルが上がってしまった。
つまり何が言いたいかというと…
俺、チートやん……
壊れていく主人公。
R15設定にしていますが、そういう展開はもう少し先になりそうです。
ブクマ、評価など是非よろしくお願いします。
明日は投稿できるかどうか怪しいです。