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乾坤一擲  作者: 響 恭也
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天正11年正月

 天正11年正月、安土城大広間

「皆の者、昨年は大義であった。日ノ本は統一され戦国の世は終わったのじゃ。これよりはより豊かな暮らしを皆にさせたいと思う。そのために、太平のために働いてもらいたい!」

「「「ははー!!」」」

「さて、早速だが厄介ごとが起きておる。光秀、説明を」

「はは、先日島津家の手に寄り台湾を日ノ本の支配下に収めました。その際に明より領土を奪ったと詰問されており、現在朝鮮を挟んで交渉がもたれております」

「対馬経由で話をしておるがどうも芳しくない。そもそも日ノ本と主上を格下に見ておる。ここで一つ思い知らせねばならん」

「兄上、九州を戦場にはできませぬゆえ、こちらより打って出ますか?」

「秀隆よ、わが父の教えに従い戦は敵地にて行う。ただし深入りはできぬ」

「朝鮮は不毛の地ゆえ…ですな」

「うむ。あちらで李氏と明の軍を撃破し、それをもって有利に講和を結ぶのがよかろう」

「殿、向こうの地を切り取ってはならぬので?」

「切り取って統治でき、利益を上げられれば良いぞ? しかし、言葉も通じぬ、土地も日ノ本とは違う。同じ作物が採れるかもわからん。それこそ向こうの民草を根切りして、こちらより植民し、そのうえで開墾を行う。周囲はすべて敵で夜盗同然の連中から民を守らねばならん」

「大殿、日ノ本を守るいくさに専念しましょうぞ!」

 見事に手の平を返す諸将。そんな土地もらっても維持するだけで破産するのが理解できたのであろうか。

「わかってくれたようだな。統一直後で悪いが、またいくさの支度を頼むぞ!」

「さて固い話はここまでじゃ。飲め、唄え! 愛を叫ぶのじゃ!」

 秀隆の声に諸将が応じる。

「おつやああああああああああああああああああああああ!!!」

「お市いいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!」

「まつううううううううううううううううううううううううう!!!!!」

「松うううううううううううううううううううううううううう!!!」

「帰蝶よ、儂は約束を守ったぞ。日ノ本一の男となったぞ!!」

「殿、先払いで子供はおりますが?」

「うむ、ほれ、褒美にぶちゅっと、さあ!」

「もう、仕方ないですね…ちゅっ」

「うほおおおおおおおお!!」

 もはやカオス。

「貴方様、また蘭殿に色目を…お仕置きです」

「うわやめろはなせ‥‥アーーーーーーーーッ!!!」

 長尾夫妻は今年も絶好調のようだ。

 そして島津豊久がうちの娘に色目を使っている。とりあえず首を置いて行ってもらうとするか…

「む、義父上なんばしょっとですか?? え? 首おいてけ? いやいや、御冗談を…ってなんで刀抜くとですか…ぎええええええええええええええ!?」

「貴様に義父と呼ばれる筋合いはない!」

「そげんなこつ…ばってんおいはこの子に惚れたとです!」

「うん、今すぐ…死ね、チェストオオオオオオオオオオオオ!」

「どわああああああああああ!?」

 見事なトンボからの打ち下ろしをすんでのところで躱す。まさに示現流の教え通りである。

「そいは…伯父上の太刀筋じゃないとですか…」

「維新殿とは飲み友達でな」


「直政さま、あーん」

「うん、うまい。ひなたに食わせてもらうと格別じゃ」


 ひなたと婿の直政がいちゃつきだす姿に鬼の形相で秀隆が振り向く。

「てめえ万千代。誰の許しをもらってうちの娘に手を出してんだ?」

「って父上、祝言上げて何年たつと…?」

「問答無用!」

「真剣白刃取り!」

「あちゃー…お父様、イモ焼酎開けてるわ…」

「なにっ!?」

「これたぶん…伯父上様のいたずらね」

「大殿の?!」

「今までの宴会でお父様はいつも後片付けしてたから…」

「そうか…ぐぬ!? 父上、なんという力で…っていうか切れてます、デコ切れてます…ぎゃあああああああす!」

「あらあら、仕方ないわねえ。ていっ!」

「母上、助かりました」

 直虎が秀隆を一撃で沈める。それを見た豊久が恐れおののく。

「上方のおなごは恐ろしか…」

 しかしちゃっかりと秀隆二女の波姫といい仲になっているあたりは狙った獲物は逃がさない島津の武者であった。


 そういえば、安土城内の総見寺にて信長が自らをご神体として見物料を採ろうとしていた目論見は帰蝶によって阻まれたと記す。

次回、明軍との死闘?

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