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乾坤一擲  作者: 響 恭也
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関東仕置きと内政

 関東一円は織田の支配下に入った。

 北条氏政は隠居の上、家督を氏直に譲ること。氏政は御伽衆として安土にて城勤めとされた。一命を許され、織田の力を目の当たりにした氏政は以後静かに生涯を送ったという。

 北条本家は氏直が継ぎ、家康の娘を正室として迎え入れ、徳川の従属大名となる。所領は相模一国を安堵された。同時に今川氏真は小田原落城にともない織田に降った。徳川家に預けられ、駿河興国寺に5千石の扶持を与えられた。朝比奈などの今川譜代衆もこれに従ったが、家康からの軍役にはしっかりと従い、武功を上げたという。

 徳川家は駿河一国と、武蔵を加増された。家康の本拠を江戸とさせ、関東平野の開拓を命じられる。三河、遠江は嫡その信康に、駿河は秀忠が治めることとなった。

「家康殿。江戸は港に近く、関東の海上交易の利がある。そしてこの広大な関東平野は今は只の水はけが悪い土地に過ぎないが、治水を行えば広大な良田に化ける。堪忍を旨とする貴公ゆえにこの地を預けるのだ。よろしく頼む」

「秀隆殿のご厚情、家康忘れはしませぬ」

 ここではいい話っぽく終わっているが、事実上は家康を三河衆から切り離し、内政に専念させることで徳川の力を削ぐのが目的でもあった。三河衆は若い信康が率い、さらに彼は信長の娘婿である。父母が和解し仲直りのきっかけとなった信長を深く敬愛しており、裏切る懸念はない。

 駿河の金山から上がる収益も徳川に与えたが、それは即座に江戸開発のための出費へと変わる。同時に織田本家からの資金も投入され、徳川への経済支配はさらに強化されているのだった。

 伊豆は滝川が加増された。桑名、長島の所領はそのままで、東海道を海上から押さえる役目と、徳川、北条への目付である。伊豆には金山もあり、石高の割に豊かな地である。同時に海上貿易をしっかりと押さえ、その上がりで滝川家は潤った。

 柴田は上野を与えられた。それに伴い真田家が高遠城を得て、北信濃を押さえる。そして武藤家は上野で沼田城を与えられ城主となった。上杉は越後一国を完全に支配下に置いた。下野には佐々成政が入り、越中は浅井に加増される。里見は上総、安房を完全に抑え、佐竹は下総の一部と常陸一国を統一した。

 川尻秀隆は美濃に転封し、南信濃は武田義信に加増となった。

 長尾信虎にも所領を与えようとの話になったが固辞された。信長の直臣として各地を転戦することを望んだためであり、禄も加増無用と言われた。秀隆が代わりに支給する酒を増やしたところ大喜びされたが、翌日嫁に没収されたとしょんぼりしていた姿が哀れを誘った。


 関東仕置きを終え、安土に戻った信長と呼び出された秀隆。

「防災の概念を皆に浸透させましょう」

「防災?」

「たとえばですが、火災や大水、地震などですね」

「続けよ」

「まずは、火災への備えとして、家屋の整備。および消火用水の確保」

「次」

「建材を変更し、火矢を防ぐ築城術を応用し、土壁への転用を行います」

「次」

「江戸の城下はこれより作られます。海へつながる川を石垣で護岸して水路とし、交通網を作り上げます」

「ふむ、それは家康の財布から出させるか?」

「御意」

「大水などは今実施している治水工事を推し進めますが、甲斐に面白き堤防がありました」

「信玄堤か」

「霞堤というそうです。それを用いて、大水が出たときにあらかじめ堤防から水を抜き、予定された土地に流します。これにより農地への被害を防ぐことが容易となります。ひとまず手取川や九頭竜川あたりでの実施を予定しております」

「であるか」

「地震が一番怖いものです。家屋の倒壊と時間帯によっては火災も同時に発生する可能性があります。火災への備えはすなわち地震への備えにつながります。災害の発生した地への支援を早急に行うことにより、人心の安定と、織田への恩を深く刻み込むのです。それには、被災した地域の税の減免や食料、物資の援助、同時に復興による再投資が肝要となります」

「うむ、見事。主要な都市部でまず火災と自身への備えを徹底させよ」

「はは!」

 秀隆は同時に避難訓練を行った。地震や火災、大水などその地域で起きえる災害に合わせて大きな空き地を作り、さらに救済倉庫をを設置した。井戸も小屋で覆い、毒などの投げ込みを防ぐ。

 何かあったらこの避難用地に逃げるのだと言い聞かせる。救済倉庫には陣屋の資材も保管されており、即座にに屋根を作って雨をしのぐことができるようにした。

 秀隆の脳裏には天正大地震の文字があったのである。

国割が大体決まりました。

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