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アスタリア戦記 救済の哀赤  作者: 株式会社マイナーゲームス
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一章 踏み締める鎖

アスタリア戦記 救済の哀赤


これは帝国サイドの物語です。

戦乱の世を生きる人々の「意思の物語」

登場人物たちは戦争以外でも様々なものと戦っています。

アスタリア歴 七八九年 帝国領ベリア地方 村落  

「ひゃっはー。逆らう奴は皆殺しだ!」

陸亀の甲羅を兜代わりにしている盗賊、タートルヘッド盗賊団の略奪が発生している。

だが、先の『中部大進撃』に膨大な資金と人材を費やした為、警備に兵を割けないのだ。

「ボス、この女どうします?」

部下に問われボスが女の方へ向く。

ぼろ切れのシャツとパンツを着せられた全身傷だらけの背中まで届く赤い髪の女だ。

「これじゃ、もう売りモンになんねぇ。適当始末をつけろ」

ボスはそう言い捨て村長の元へ向かう。

「なあ、爺さん? おたくらのところの帝国軍はいつになったら到着するんだ?」

「……」

「小一時間の騒ぎじゃねぇ。なのに本国から討伐隊が派遣されねぇ。それがどう言う意味か分かるか?」

ボスは一呼吸置く。

「お前等は帝国に見捨てられたんだよ。なっ、分かるか? お前等の帝国にとっての価値なんざ豆粒程にもねぇって訳だ。まあ、後ろの女が死ぬ様を見ておけ」

「ボッ、ボス……」

「あ、どうした?」

ボスが振り返った視線の先から亀の甲羅が飛んで来る。


亀の甲羅……そう部下の頭部が収まった甲羅だ。


「なんだとぉ?」

自らを縛る鎖を奪い取った斧でぶった切り。部下たちを斬り伏せながら去って行った。

悪鬼の如く暴虐を振りまきながら。

「くそ、あの女を殺せ! ぶっ殺せ!」

「ボッ、ボス」

「畜生、今度は何だ」

別方向から来た部下は血だらけだ。

「帝国第二近衛騎士団。第二皇太子の部隊が……」

言い終える前に力尽きる。

「第二皇太子の部隊だと? ま、まさかあいつも……」

ボスの血の気が引けていく。



「殿下、私が命に代えてもお守り致します」

「自身の背中も守れないのに良く言うな……」

悠々と剣を掲げる深紅のポニーテールの女騎士、エレナーデ・シュヴァルチャーの横で嫌味を言うのは切り揃えられた銀色の短髪の騎士、エロイデ・ナメトルワだ。

「エロイデ、どうしてあんたはこう引っ掛かることばっか言うかな?」

「事実を言ったまでだ。賊相手に戦死などお前の一族の面汚しにならないか?」

エロイデは涼しい顔のままで言う。対するエレナーデは憤慨している。

「二人とも口論は止して貰えないか」

「はっ、お見苦しいところを晒してしまい申し訳御座いません」

黒に赤の甲冑に身を包んだ青白い癖毛をした少年、第二皇太子、エリクリード・ハイルアナ・ディッカの言葉に二人は同じ文言で頭を下げる。

「二人とも戦死して欲しくはない。私のことを気に掛けてくれるのは素直に嬉しい。だけど、それで君たちの身に何かあれば自身を呪ってしまう」

「ご心配には及びません」

「我々、近衛騎士団は殿下を悲しませるようなことは致しません。我が槍に賭けて誓いましょう」

「ありがとう」

エリクリードは先の大進撃で払った犠牲者を思い現在までに七〇回以上に渡る慰霊訪問を行っている。それでもまだ慰霊としては不十分だ。

「団長は盗賊団が固まっている場所に単騎で特攻したようです。殿下」

エロイデは槍を構える。

「そうか、私たちは少ない方へ行こうか」

「なんせ、エカテリーナ団長は帝国一ですからね」

エレナーデも剣を構える。

「エカなら一人で大丈夫だ」

三人はエカテリーナとは逆の方向へ向かった。

作者名変わっていますが同一人物です。

帝国第二皇太子率いる近衛騎士団が村を襲撃に来たタートルヘッド盗賊団の討伐へ駆けつけた。そして、奴隷の女の脱走。

のっけから物騒な始まりですが、戦争を題材していますので致し方ない。

更新は出来る限り早く致します。

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