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女の子が俺を見て顔を赤くしてる…! 間違いない、これはフラグだ!

作者: 桜ウサギ

 あの女の子、さっきから俺の方ちらちら見て顔を赤くしてる。こりゃ間違いなく俺に惚れてるね!


 ふふん、まぁ仕方ないよな。だって俺って完璧なイケメンだもん。

 服とかあくせさりーとかそう言うのよくわからないし、髪の毛だっていつも千円でカットし貰ってるけど、ホンモノのイケメンって奴は身なりに気を使わなくったって人を振り向かせてしまうものなのさ。

 あれあれ、オーラって奴。俺ってイケメンオーラが色んな所から溢れているからな。例えばわきとか。



 ちなみに俺は見た目だけの男じゃないぜ。頭だって良いのさ。

 学校の成績はあんまり良く無い……いや、かなり悪い方かもしれないけど、ほら、本当の頭の良さって学校のおべんきょーじゃ計り知ないだろ? そう、俺は地頭が良いんだよ。この前数学のテストで四十三点だったけど、それは地頭の良さとは関係無い。全く関係無い。


 あ、それにね、俺って運動もできるわけよ。スポーツ万能。しかも努力型じゃなくて天才型って奴。まだ何のスポーツもした事ないけど、俺が本気出したら速攻オリンピック行けちゃうから、どんな競技でも金メダル間違いなし。うん、やった事無いけどこれは確実。だって俺天才だもん。


 それに俺は多趣味!

 しかも俺の趣味は全部くりえいてぃぶな感じの奴。例えばプラモデル作ったり。他には絵も描く。実はイラスト投稿サイトにいくつか載せてたりするんだよね。

 どんな絵を描くのかって? んー、いわゆるアウトサイダー系って奴? かなり良い絵描いてる自信あるよ。センスが最先端過ぎてまだ誰も評価してくれてないけど。

 だってさ、ああ言うサイト見る奴らって全員しろーとじゃん? しろーとに俺の素晴らしいセンスが理解できるわけないんだよ。逆に簡単に理解されても困るって言うか……。

 俺、そこら辺に溢れている、ありがちな感性で生み出された絵なんか描いてないからさ、オリジナリティ溢れる難解な物描いてる自信あるからさ、つまり俺のはいわゆる理解し難い作風なわけよ。

 評論家たちがこぞって、


「作者はこんなこと考えてこの作品を作ったんだ!」

「いやそれは違う! こうだ!」


 ……ってな具合に、あーだこーだ意見を交わしちゃう系の高尚な作風なわけよ。

 ま、でも出すとこに出したら間違いなく大絶賛されちゃうね。コンクールなんかに出したら一発で金賞とっちゃうよ。だけど俺はアウトサイダーでいたいから公の場所に発表はしないのさ。


 絵だけじゃなくて小説も書いてる。俺はいわゆる両刀使いって奴。

 天は二物を与えずとか言うけど、俺はその限りでは無い。何故なら俺は天才だから。物語の主人公タイプだから。小説だって超大傑作書いちゃう。

 超大傑作過ぎて設定作っただけで終わってて、本編はまだ着手してないけどさぁ。仕方ないよ、そんな簡単に作れたら超大傑作じゃ無いからな。

 けどこの小説ができたらコンテストの最優秀賞間違い無しどころか、小説界にセンセーション起こしちゃうよ。俺、マジハリケーン。処女作にして大ベストセラー間違い無し! 甘く見積もっても百万部達成はかたい。



 おっと、あの女の子、俺が見てるのに気づいて俯いちゃった。照れちゃって可愛いぜ!

 片想いだと思っていた相手が実は自分に気があるかもしれないとか、期待してるのかな? 期待して良いよ! だって俺もちょっと君に惚れかけているし。


 ああ言う奥ゆかしいタイプの女って今時めずらしいよなぁ。

 最近の女って妙にちょーし乗ってるし。肉食系女子とか言うんだっけ? ただわがままで言いたい放題言ってるだけじゃねぇか。何が肉食系だよ。ライオンとかトラとかに謝れよ。あとワニとかにも謝れよ。あっちのがよっぽど生き物として可愛いわ。

 まず余計な事言わないし。余計な事って言うのは、俺の事キモイとかそう言う事ね。

 女だったら一歩ひけよ! 男の三歩後ろを黙って歩けってんだ。昔の女を見習えよ! 例えば戦国時代とか。なんで女って奴は時と共に退化してんだよ! 普通逆だろ。進化しろよ。Bボタンで進化キャンセルされてんのか?


 まぁでもあの子はそんなアホ女共とは違うね。

 今時珍しい黒髪ロングヘアだし、スカートも短くない。学校指定のグレーと緑のチェックのプリーツスカート(しかも膝丈!)に黒タイツを合わせている。素晴らしい! しかも足綺麗。膝から下しか見えないけど足超綺麗。太ももが見えないのが非常に残念だけど、そこは想像でカバー。

 あんなに可愛い子なんだから、きっと太ももだってこう、柔らかそうに違いない。思わずはさまりたい感じのマシュマロ風もも。……舐めたい。

 いっけね。あんな清楚な感じの子にいきなり狼全開対応は駄目だ! 俺は肉食系男子だけどまずは紳士で行かないと。


 目指せロールキャベツ男子!



 にしても、こんなに可愛い子を惑わせてしまうなんて、俺ってなんて罪深い男。こりゃ責任とらないとな! 具体的に言うと、話かけて、付き合って、……キスとか色々して、色々って言うのはだからその、あんまり知らないけどとにかく色々だよ……そして結婚するんだ。

 そうだ、彼女と結婚しなくちゃ。何故ならば俺は責任感のある男だから。


 とりあえずまずは話しかけてみよう。さり気なく、スマートに。しかしイカした感じに。


「今日もいい天気ですね」


 うん。今のは限り無く模範解答に近い、さり気ない話しかけ方だったな。しかもさり気なく相手の共感を得る話題だ。女が共感を好む生き物だってくらい知ってる。何故ならば俺は知識も豊富だからな。


 女の子は驚いた様な表情で俺の顔を見た。憧れの王子様にとつぜん話しかけられたらそりゃ驚いちゃうよね。

 こりゃ安心させるためにもう少し会話を続けた方が良さそうだ。


「こんなに天気が良いと洗濯物も早く乾きそうですね。……ところで君って、パンツは外に干すタイプ?」


 うん。順調順調。質問を交える事により、相手の言葉を引き出させる高等テクニックなんかも使ってみたりして。

 話術が優れているってモテる男の必須条件だからな。


「パンツ……」


 目線を下にやりながら、言いづらそうにそのワードを口にする彼女。

 パンツってちょっと下品な言葉だしな。……しかし清楚な子がちょっと下品な言葉を照れながら言うシチュエーションって良いものだ。

 ……ふぅ。


「あ、ごめん。パンツなんて砕けた言い方し過ぎたよね。君みたいな子には下着って言った方が良かったね。あはは」

「……パンツ……てます」

「え?」

「だから、パンツ、見えてます!」


 それだけ言うと彼女はダッシュして行ってしまった。

 ふと視線を下げると、社会の窓が全開していた。

 そっか、君の視線をダッシュしていたのはこれが原因だったんだな……。


 その晩俺は、布団の中でひとしきり泣いた。

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