突然だらけの大運動会
「ぎゃああああっ!颯介なに道連れにしてんのおおおお!!」
「しゃーねーだろ急にトラップ引っかかっちまったんだからさ。」
「だからごめんの一言くらいつけろやああああっ!!」
・・・えー、何の話をしているかというと、ゲームの話です。今ピリアーの家でみんなでゲームしてるのだ。男子対女子のクエストゲームである。そんな中、あたしと颯介のアバターは見事に落とし穴トラップに引っかかり、ゲームオーバーとなってしまったのだ。
「大丈夫ですよ明菜先輩!私と芽紅先輩で仇取りますから!」
「そうね、私たちのチームの1人を落っことされたんですもの。」
「横尾さん、僕と羽矢斗くんはなにもしてないんですが・・・。」
「颯介先輩が突っ走っただけっすよ。」
「羽矢斗・・・覚えてろよ・・・。」
「ひぃっ!すいません!!」
状況からして、トラップを仕掛けたのは羽矢斗くんらしいのだが、それを忘れて颯介が走って行ったって感じかな?まぁ、これは颯介が悪いね、うん。
「てか次協力イベントですよー。」
「嘘!?やったアバター生き返る!!」
協力イベントとは敵チームと協力してボスモンスターとかを倒すイベント。その時は脱落したアバターも1回だけ生き返るのだ。
それがうれしくて、あたしが歓喜に満ちていた時だった。
『たすけてください・・・!!」
「「「「「!?」」」」」
全員が一斉に静まり返った。聞こえるはずのないもう1人の声が聞こえたから。そして、皆で声の主を探す。
『お願い・・・力を貸して・・・!!』
その一言で声の主が分かったけど、わかった瞬間その異様な光景にみんなが目を疑った。だって、声がしたのは・・・。
「テレビの・・・中!?」
まどかちゃんが声を発した、その時だった。いきなりテレビが白く光りだし、ものすごい風が室内に吹き荒れた。
「「「「「わああああああああああっ!!」」」」」
次第にテレビに吸い込まれるような感覚があたしたちに来て、そのまま・・・意識を失った。
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「・・・・な、明菜っ!!」
「!?」
颯介の怒鳴り声で、一気に目を覚ました。目を覚ましたら・・・・そこは見知らぬ場所だった。見渡す限り草原で、その中心に、大きなお城が建っていた。私たちは、その入り口に倒れていたようだ。
「明菜ちゃん、大丈夫?」
「あたしは大丈夫・・・みんなは?」
「俺も大丈夫だ。てかここどこだよ?」
「わからないです・・・あっ、私も大丈夫です!」
「僕も何ともないですね。」
「俺も何ともないっす、でも・・・・。」
次にみんなが口にした疑問は、同じことだった。
「「「「「何この服!!!」」」」」
そう、あたしたちが来ていたのは、まるで魔法使いのヒーロー、ヒロインのような服だった。ハロウィンの仮装パーティーかよって突っ込みたくなるような感じ。そんな状況に戸惑っていた時。
「急にお呼び出しして申し訳ありません。ようこそお越しくださいました。」
城のほうを向くと、入り口から金色のロングヘアーに純白のドレス、そして王冠を頭にかぶったきれいな女性が出てきた。
「あなたは・・・?」
「詳しい話はあとでいたしますわ、まずはお城にお入りください。」
怪しみながらも、私たちはその女性についていくことにした。そして私たちが通されたのは、客間のような場所だった。皆でそこに座り、話を始めた。最初に口火を切ったのは、女性だった。
「まず自己紹介ですね。私はここ、フェルコースト王国の女王、マリン=ルーストリアです。」
「じょ、女王様だったんですか!?」
まどかちゃんが驚き、立ち上がる。芽紅が手で「座って」と合図を送ると、正気に戻ったのか顔を真っ赤に染めながら席に着いた。
「ここにお呼びした目的をお話しする前に、皆様のお名前をお聞きしたいのですが。」
女王様はにっこりとほほ笑んだ。
「あたしは、黒瀬明菜です。」
「クロセ・・・?あなた方の国では名字が先に来るのですね?」
「あ、そうですね・・・。」
クロセで名字と判断するとは、さすが女王だな。と、心で関心した。
「じゃあ逆に言ったほうがいいですね・・・私は、芽紅=横尾です。」
「あっ、私はまどか=関口です!」
「僕はピリアー=フジマキです。」
ピリアーは違和感がない。たぶん全員がそう思っただろう。
「俺は颯介=瀬尾。」
「俺は、羽矢斗=阿部ですっ。」
「自己紹介、ありがとうございます。改めて、よろしくお願いしますね。」
そしてまた、女王はにっこりとほほ笑んだ。あたしはここまでの天使のような笑顔を見たことがないってくらいだった。
「なんでもいいけど女王様、早く目的ってのを教えてくんねぇかな。」
「ちょっ、颯介先輩!!」
キレ気味で、しかも女王に向かってタメ口聞いたので羽矢斗くんがあわてて制止しようとする。
「そうですね・・・では、お話ししましょう。あなた方をここに招いた目的は・・・。」
次に女王が発した目的の内容は、全員を驚愕させた。
「・・・荒れ地を開拓して、村にしてほしいんです!」
「「「「「えぇっ!?」」」」」