2ヶ月ぶりの会話
「つまり・・・君は『日本』とやらの国が出身で、貴族ではなく平民。そして、目が覚めたらここにいた、と・・・。それであってるか、少年?」
「は、はぁ・・・」
・・・どうしてこうなった。
どうして、私は現在進行形でめっさ美人な女の人(?)に森(?)で質問攻めにあってるのよ。
貴族とか平民とか・・・このひと本格的に頭がおかしい人だよね、うん。
だって髪の毛赤いよ。これ絶対染めてるよね、趣味悪いな。
しかも何?今この人、私のこと『少年』とかほざきやがったよ。
幼女は言われても少年は言われたことないな、うん。
でも、あれ・・・?
どうして私、こんな所にいるの?
昨日は確か、部活帰りでクタクタだったからパジャマにも着替えずにベッドで寝てしまったような・・・?
「・・・ほけている所悪いが、次の質問に移らせてもらうぞ?」
「あ、はい。どうぞ・・・?」
「当然、レディオドという大国は知っているな?」
「・・・いえ、知りません」
「・・・じゃあ、クーチラス皇国は?」
「・・・聞いた事もありません」
「・・・じゃ、じゃあ!テスティラント帝国は?!」
「・・・あの、病院に行かれた方がいいのでは」
・・・もう、この人の頭は手遅れだ。
手元に携帯があればすぐにでも救急車を呼びたいくらいだ。
まさか、これが俗に言う中二病って奴なのか。初めてみた。
「・・・では、最後に・・・。魔王という存在は、もちろん知っているな?」
・・・きゅ、救急車ァァァアアア!!!
誰かあぁあああここにヤバイ人がいるよおおおおお?!
見た感じ私より少し上だと思うけど、そんないい年した女性が中二病?!
あー痛い、痛いよう・・・。
「・・・空想的な存在であるのは確かです」
「・・・把握」
▼ユルカ 視点▼
弱った・・・。
今の一言でこの子が別世界の人間である事が確定してしまった。
俺がいた世界では魔王とは、魔の象徴、悪魔の権化。
その名を聞けば、幼児でさえ畏怖を抱く存在なんだ。
いや、畏怖を抱かなくとも、嫌悪は抱いていい筈。
その筈が、この少年は無表情と言うか、白けきった目で痛い人を見るかのように俺を見据えている。
・・・恐らく、この子の世界では魔王とは架空の存在なのだろう。
ならば、俺は滑稽と取れる質問をした訳だ。
少し恥ずかしさを抱きつつも、腰掛けていた石から立ち上がり、少年の前に立つ。
「自己紹介がまだだったな。俺の名はユルカ。一応、職業は勇者。こう見えても元・男だ。君の名は?」
こんな事いきなり言われても混乱するだけとは思うが、一つ一つ言ってたらキリがないので一度に全て言い切った。
「君の、名前は?」
催促を促すように名を聞き直すも、表情があの時同様硬直してしまっている。
まさか、またあの絶叫を至近距離からくらわなきゃならんのか。
しかし、幸いな事に返事は返ってきた。
怒気を込めて、だったが。
「ふ、ふざけないでください・・・!まさか、誘拐ですか。こんないたいけな少女を拉致ったんですか?!しかも、重度の中二病とか!!頭沸いてんですか?!病院行った方がいいんじゃないですか?!貴方、女性でしょう?!元・男とかふざけないでください!!そんなんじゃあ、私みたいに彼氏なしがずっと続きますよ?!とっとと現実に戻ってください!!そして、私をお家に帰してください!!お願いしますからぁ!!!」
爆発したかのように少年の口から罵声の連打が飛び出した。
そう言い放った後に泣き出してしまうのだから、こちらもどう対処していいのかアタフタアタフタ。
少年を宥めながらも、少年が言い放った言葉を頭の中で整理する。
誘拐だの中二病だのお家に帰してだの・・・。
中二病が何なのかはわからんが、一つだけ気がかりな発言があった。
まさか・・・な。
「なぁ、一つ聞いていいか」
「グスッ・・・。なんですか?」
その質問の返答は、分かりきっていた。
だから、それは無意味だったのかもしれない。
でも、それでも、俺は聞かずにはいられなかった。
「少年・・・。もしかして、女か」
「そんなの、言わなくても分かるでしょう?!女、ですよ!!」
とにもかくにも、少年・・・。
いや、彼女は俺と同じ境遇に陥った、被害者である事が発覚した。
それが、死にぞこないの勇者と、平民の女の子・・・。おかしな組み合わせである。
続く。
久々に更新っと・・・。
お気に入り登録や感想を書いて下さった方、こんな駄文を読んで頂いて有難うございます。
不定期で更新していきますが、恐らくスローペースになると思われます。
一応、ヒロイン登場です。まぁ、性別逆ですけどね(笑)
しかし、こんなんで戦闘描写とか書けるのか・・・?!
今になって心配になってきました(笑)
では、またいつになるか分かりませんが、ノシ




