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ハナちゃん  作者: 志村菫
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温かい背中

 私はマサルさんと手を繋いで、夜のキラキラした繁華街を歩きました。

 前から歩いて来る人たちにぶつかりそうでしたが、マサルさんが上手に避けてくれます。そして、繋いだ手はとても温かかったのを覚えています。

 道行く人たちに、私たちはどう映っていたのでしょうか? きっと恋人同士に見えていた筈です。私はいつまでもこの時間が続けばいいと思っていましたが……。


「イタッ! 足が痛い……」


 歩くことがなかった私にとって、厚底サンダルはちょっとヘビーでした。


「大丈夫? そうだ、おぶってあげるから。ほら!」

「いいです……恥ずかしいし……」

「それならオレのスニーカー履く?」

「マサルさんが裸足になっちゃいますよ」

「いいよ、そんなこと」


 マサルさんを裸足で歩かせる訳にはいきません。なので、恥ずかしかったけど……痛くて歩けなかったし、ほんの少しマサルさんに甘えてみようと思って背中に……わっ! やっぱりドキドキ……。

 ……背中、広くて逞しかったな……。


 上から人々を眺めている時、待ち合わせに遅刻して、それが原因で喧嘩している友達やカップルなどをたくさん見て来ました。どちらかが怒ってズンズンと先に歩き始めて、その後を謝りながら付いて行くと、途中で手を繋ぐ二人もいるけれど、そのまま距離が縮まらないまま見えなくなってしまう二人もいる。その後、どうなったんだろうか? とても気になってしまうけれど、私には何もできない。ただ見守るだけ……。ちゃんと仲直りをしますようにって祈るだけ……。

 でも今の私は……これからの私は、こうして夜の街を歩く事ができる……もしかして、このまま……。そんな淡い夢をみていました……。

 でも、いつか魔法は解けるものです。それはいつなんでしょうか?

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