夜のパトロール
華やかなワンピース姿から落ち着いたトレンチコート姿で、私は居酒屋の前に立っていました。
彼女は居酒屋でチャラ男と飲んだ後、ふらついてチャラ男に寄り掛かって出てきました。
ああ……予想通りホテル街へ向かっています。
「ど、どこに行くの?」
「休まないと……気持ち悪いだろ?」
「家に帰るから……タクシー……」
「いいじゃん! 朝まで一緒に……」
「ダメだよ……帰る……帰りたい!」
嫌がる彼女の足元は相変わらずフラフラで……ちょっとちょっと! もう仕方がないわね……。
「嫌がってるでしょ!」
私はチャラ男の腕を掴みました。
「は? 何だよババア! 離せよ!」
「バ、ババア?」
「あんたには関係ないだろ? この子はオレのカノジョ……」
「警察です!」
「えっ?」
「私は……け、警察官です! 最近あなたみたいな男がウロウロしているっていう通報があったんです! なのでパトロールを……」
勿論ウソです。速効、チャラ男は消えました。
彼女は一気に酔いが冷めたのか、その場で座り込み、「ううう……」と泣き出して……。
近くの公園で、私はこの女性と話をしました。
彼女は二十歳の女子大生で、予想通り気まぐれな彼に振り回されていたよう……。
私は、彼女の気が済むまで話を聞きましたが、そんな時「別れちゃいなさい」とか「他にもっといい男がいるわよ」などとは言いません。色々な女の子の恋バナを聞いていますが、そんな言葉はあんまり効果がないもの。私は彼女にさり気なく、イメチェンを勧めます。
「巻き髪に可愛いワンピース姿のあなた、とても素敵よ」
「カレシもね……いつもそう言ってくれるの……」
「でも、顔の輪郭が綺麗だから、思いきってショートヘアにカジュアルでカッコいいスタイルも似合うかもね」
「そう? やった事ないなぁ……」
「意外とね、自分の違う面を知るには手っ取り早い方法よ」
「自分の違う面?」
「そう……私なんて、色々な格好するのよ。今はピンクのウィッグを……」
「やだ、ピンク? 警察の人っぽくないね……」
「だって、警察の人じゃないもん」
「えっ? じゃあ誰?」
そう言って彼女は笑ったので、私は少し安心したんだけど……。
数日後、彼女は相変わらず私の左足で彼を待っているようです。前に見た時のように、綺麗な巻き髪に可愛いワンピースを着て。でも、三十分もすると帰っていきました。その後ろ姿はとても寂しそうで……。でもその日から、彼女の姿を見ることはなくなり、どうなったのか気になる所よね……。




