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ハナちゃん  作者: 志村菫
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私はマネキン

この物語は、私の住んでいる地方で誰もが(たぶん殆どの人が?)知っている巨大マネキン人形をモデルとして描いた作品です。

昔、友達と待ち合わせをしている時、このマネキン人形の足元に立ち、この物語を妄想したりしていました。

 ここからの景色は、すっかり見慣れたものとなりました。

 私は昭和47年生まれのアラフィフ。星座はおうし座の自称B型。出身はスイス。

 身長6m10㎝ 体重600㎏、スリーサイズは、上から2m7㎝、1m80㎝、2m15㎝……でも、私の外観はずっと年齢不詳。白くて細くて長身で、何を着ても似合います。髪型? 簡単にいえスキンヘッド? ツルっとしています。まぁ普段ウィッグや帽子を被らされたりするからね……。


 そして、ちょっと変わった時代を彩る様な格好をすると、この地方のニュースで話題になります。いつも人々は私を見て、「ああ、そろそろ海へ行きたいなぁ……」「ああ、もうクリスマスか」などと、私で季節を感じたりするのです。


 私はこの街の中心地に立つ、待ち合わせスポットの巨大マネキン人形です。


 夜桜が綺麗な季節、私は桜の花柄のミニワンピースに、ピンクのウィッグを被っています。道行く人は、私の恰好を見て「春らしいワンピだね、可愛い」とか「写真撮ってインスタにあげよう」なんて言いながら……。


 私の周りでは、沢山の人たちが待ち合わせ。

 私の左足には、仕事帰りのOL? ひょっとしたら学生さん? もう1時間近く誰かを待っていない? スマートフォンを一心不乱に触りながら、時には辺りを見回して、重く溜息を付いて……ああ、きっとこの女性は苦しい恋をしている。

 携帯電話が普及してから、1時間も誰かを待つなんて事は殆どなくなりました。なのに……。

 ああ、とうとう諦めて寂しそうに帰って行くみたい。でもそんな時、隙間に入ってくる奴がいるものです。しつこくチャラ男がナンパをしてきました。無視して行くと思いきや、彼女は急に笑顔になり、二人は意気投合? ああ……ちょっと待ちなさいよ! もう、放っておけない! と、お節介な私は思ってしまうのです。さぁ出かけて来ようかしら。

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