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叉三郎の冒険  作者: 猫八
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奇妙な依頼人

 その依頼人は玄関の戸を叩いた、緑茶を飲みながら彼女の世間話を聴きながら指を指している午後の昼下がりであった。

 依頼人が鳴らし叩いた戸の音が聴こえると彼女は深淵のマグカップを一人用のテーブルの端に置くと黒いシルクハットを帽子掛けから手に取って、玄関に掛けて行くのみならず彼の静止を振り切り護身用の警棒も持たずに玄関へおいでになったのである。

 西日に差し掛かる大枠の中で彼女が話をしながら時折私の事を見て夢野の手伝いをし、暇を持て余した、陽気であった。

 外から見ていたのは身長を彼女が女性二人程度の細身の男性で有り、ペン以上の重さを持ったことのないピアニストの指は女学生より細かった。すみ分けた叉三郎の風貌を真似ては彼に質問の嵐が来た事であろう、力が叶わないと分かっていても彼は押しの気気味に階段を降りた。

 春野は頭を前のめりに置くと腕を組み黒色のスカートとハイソックスを真っ直ぐに向けた目が輝いていて彼は「ひいい、お助け」と言うが彼女は前屈の体制を崩さずに(前のめりに)観察していた。

「おや、貴方は」

 私が言葉を漏らすと手ごわい蛙は私に注意を向けていた。のみならず治は紫の毛布を体に巻き付けながらローブ代わりに着こんでいた、その様を見ると「やあ、治」と心機一転かれは屈強なボディイビルダー程の自信を取り戻し胸は狼狽ながらも張って居た。

「治!元気にしていたか」

 彼はその輝いた目をすると夢野に春野を見てか咳ばらいをすると快活の良い好青年の声高な声に変わった。

「どうした」

 夢野の太ましくも甘い剛腕で彼は叩かれると幾分も心が追い付いたのみならず彼の声色に安心感が見える方の番人にモノを申せる知性を感じられた。

「もしかしたら、捕まっちゃうかも」

 彼女が帽子の裏から彼を覗くと、その腹を切り切りと言わせその場に蹲る。彼女に急かされるとその頭を拳で殴る、彼女は目を瞑るとそのまま彼女の後ろに後退した。彼は、驚いているだけには見えなかった。

「相当に肝を冷やしたことだろう、二階に来なさい、暖かい飲み物でも出すよ」

 彼は二人を押し退けてその二階に駆け上がると奥に有るその扉の奥に行く、澄み切った瞳から想像もできない震えた手はノブを閉めるのみ簡単な所作も出来なくなっている、事態は旧友としても法律を知る人間としても見捨てては置けなかった。

「控えろと言ったんだ」

 私が彼女に手を下げさせたのは椅子に座った彼を監察したと気づいてから十回目の事であった。私は言葉に耳を貸さなかったが、叉三郎は忠実であった。

 彼女は扉の裏から男性の背中から旋毛までをゆったり見ていたのみならず(扉の)向こうから尻を背に腕を組み阻害していた。

 彼は相俟ってか細い腕を仕切りに組みかえていた。私は彼に座ったらどうだと言うが彼は大丈夫ですと戸にへばりつくのみであた。叉三郎は煙草を吹かしながら見ているのみであった。上あごを仕切りに向けながら春野の顔見て笑い、治を見ては口を開き、叉三郎を見ては歓喜していた。やはり、診るべきでは無かった。

「ようやくあえました叉三郎様」

 俯瞰した目を貫くが依頼人は叉三郎の頑健な手を見ながら膝と目を交互に見て神妙な面持ちを崩さなかった。何回吹いた鈍重の煙が吐かれると彼は「叉三郎様、叉三郎様、叉三郎様」と言いだし彼自身が険しい顔のみならず私が懐のリボルバーに手を差し伸べる域である。

「どうしました」

 ようやく重い腰を上げると彼の身の上話が始まるのではないのか肝を冷やしたが彼は私の事をちらりと見るとその懐から一冊の分厚の新聞紙を取り出した。

「私はこれを今日の朝の列車に乗車している時に見たのですが恐ろしく来ました」(会社を休んで)

 新聞紙には河のせせらぎに似た渓流の奥の郊外赤いポストの裏に聳える三階建ての家の住まいが乗っていた。「閑静な住宅じゃないか」私がそう言うと彼は頬を掻き「まあ、そうだな」と言った。

「貴方はこの街に住んでいるというわけではないということですね」

 「そうでうす、その通りなのです」希之男の事は叉三郎が何度も聞くと何回も頷いていた。信頼を置いてはわきに抱えている証書の束を置くように促した。

 春野は話をしているところに指を指して悪戯に見出しを指さした。私は叩いた紙面を見ると「ホップスマン文書改竄により逮捕!」と書かれていた。私は拍子に新聞紙を取り上げ見ていた、所々にマーカー線が引かれていた場所もあり赤や紫に成っている所もある。

「ああ、私は何と不幸なのでしょうか」

 彼は跪きながらもその手で祈りに近い組み方をしていた。

 私は彼を椅子に三度座らせる、「昨日届いたキリマンジャロのスペシャルコーヒーだ美味しいぞ」コーヒーを一杯淹れて飲ませた。しかし、その顔は味の良し悪しが分からない程に疲弊しきった、落胆した男の顔であった。

「ようし、そこでいいぞ」

 その青年はピアノ教師から弁護士に転属したばかりの青年であった。転職したばかりであり彼を雇う顧客も少ないが教師を主たる生計を建てる手段としながらその足でご老人たちにも、自身の法律の知識を、いかんなく発揮した。

「これはどこに置いた方が良いですかな」

 彼はその言葉に話をしていると彼女の言葉に話をしていた。のみならず金をふんだんに使った金貨を彼の手の平に乗っけるとその手の中に入れていた。

「これでどうにかしてもらえないでしょうか」

 冷えた氷が私の手を固めると暖炉で癒す他に溶かす事は適わなかった。雪解けの水が山から流れ落ち木々に当たる様に雨音は恵のみならず一滴一滴が冷気を切る、繋ぎとして得た職も憚らず彼も止まるとは考えて居たかったのか、図書を漁り雑多に開いては閉じる行為を繰り返し行っては眉間に皺を寄せていた。

 女性はその肌を摩ると口から白い息を吐き立春の静けさに身を投じていた、午後の日だ。筋肉質の男性は体を赤く染め上げながら誰が立てたのか分からない新築の家に、古家の荷物を置くため準備をしていた。

「どうにかしましたか」

 彼女の言葉に話をしていると彼女の家の話の家族の手の中に入らせて暖を取らせて欲しいと言われたのだが、見るからに仕立ての良い服に「そんなにお金を稼ぎたかったら他に行きなよ」と言った。のみならず手を振り、彼女を追っ払ったのだ。

「これは正に、異常な」

 いつもの煙草を要求し私に取らせようと指示をした。治は当然取らせまいと距離を置く、げんなりやる気に満ちた顔もさながらに、手をこまねきながら希之男の諸事情を熱心に聞いていた。扉を叩いたりその玉座を仕切りに治したりしながら彼の語り口を聞いていた。

「そうかい」

 私は夢野に「絶対にとらせるな」と言い聞かせて叉三郎を監視していた。彼の御高説の後に成ると叉三郎は、手を振りながら肩を叩いていたが直ぐに温和な場の空気を掴み取り戻した。

「それで、続けて」

 「暖を取らせてくれはしませんか」彼女はその言葉薪を焚き始めた。夢野の口からサフランの芳醇な香りがする、パッションフラワーの乾燥した香りが漂って来た。安心したのか彼を聞いて見ると女性の声が聴こえた。

「良いですよ、」

 私は彼女に話をしていると女性の言葉に話を聞いていたからか彼女の言葉に機器を揺らしていた。彼女に話をしていると彼女の手を握っていた。私はすかさず手を離すとそこに腰を掛けた。

「そこだと、作業員の邪魔に成りますよ」

 私が指で指すと重い荷物を両手に掲げた男性が彼女の脇を通り過ぎながら女性を見ていた。彼女はそのまま家に入ろうとする、私は手で押したが女性を家に居られる事は適わなかった。

「まさにそこだ」

 と言いながら話して居ると、女性は彼女の話を聞いていたからか女性の手に私の手を重ね合わせると彼女の言葉に聞こえていた。女性のみならず男性が話し始めてもジット彼を見ているのみである。

「私はそこに見いだされたものがある」

 それを見ていると女性が話をしているから作業員も道路の向こうの石畳から視られているという訳だ。女性は口から吐き出した白い息を浴びて寒さを凌いでいる様に見えた。

「・・・」

 彼女は何か言っている様に見えたのみならず彼女の言葉の節々に腰から伸びる体から手に持った傘が車道に出ていた。配達業者が荷物を置いた後であった。

「どうしましたか依頼ですか」

 その赤色のレインコートを着こなしている女性に声を掛けると彼女はこちらに気づかずと向かって左側に歩いて行った。午後の氷水の雨が降る土曜の日である。その後希之男は彼女の家に行く、彼女はネイルを嗜むとコーヒーを片手に飲み干し、向いの席に座った青じろの彼を見ると立ち上がる。

「やあ、ネイビー元気にしていたか」

 彼は肩を掴むとそのソファーに倒れた、深渕の眼鏡すら投げ出して本来はしないネクタイを放り投げる仕草に異常な事態を察した彼女は湯を沸かし、風呂を沸かし恐らくは愛した者同士の営みを本能的にしたのだろう、

「どうしたのよ、貴方」

 そこには彼女が座っていたのだ、女性は立ち上がると叉三郎を見ては貴方と言った男性を見ては互いに近づきハグを擦るのだが、彼は頭を掻きながら紙に幾つかの追加事項を書いて、ノートを閉じた。立ち会がり二人の考え部会愛情の確認作業に蛙の如くからだを固定していた。

「大丈夫だよネイビー」

 のみならず、指に嵌った銀色の指の反射に目を覚まし、充血した眼の中に目薬を入れる、包容力あるからで持って彼女が彼を抱きしめるのだ。

「なるほど、貴方は必要以上にお金を稼がない人間であることが災いした、と言うわけですね」

 叉三郎はパイプタバコをふかしながら「その女性が頭から離れなかったのですが、それ以降めっきり見ることは無かったのです。私としては新しい土地で直ぐに敵を作り、孤立する心配が減った事以上に何も感じなかったのですが」ともじもじした両手を見定めた。

「はい、そもそも私は貴方が話した通り自身が豊かに生活する以上の稼ぎを求めて居なかったのにも関わらず彼女が商人まがいの口調で金儲けのような話をしてきたためムッとなり対の言葉で追い返してしまったのです」

 叉三郎は彼の言葉を聴くと三度頷き微睡の顔を見せた。美味しいお菓子を飲みながらその手に注意を向けては西日に目をやり苛烈な息を整えるために深呼吸をしていた。何を思い立ったか彼は椅子から立ち上がるとセカセカその広い壇上に近い赤いカーペットの上を歩くと途端に一つ目の窓を閉じた。二つ目に手を掛けると固いコンクリとの下から閉じた暗幕に向けて一回と二回と閉じた、いつもの癖(習慣)であった。

「続けて」

 彼は不安を煽るが帰ると男性から彼の言葉に私は彼女に半紙をしていた。彼の目は心細くか弱いモノになっていたが書類の類に成ると背を伸ばし背丈が等倍に伸びた身長に変わっていた。、頷くと椅子に座る。しかし、また時間が経つと気弱で腰の曲がった青年に変わる。叉三郎も自身にマルコフを見やる。

「いいのですか、答弁が誤っていたら不利になりますよ」

 希之男はマルコフを見ては「タバコが欲しい」と言うと煙草を手で持つ仕草をし吹かそうとしたが横のにらみを利かせている敬愛するべき少女を見やってはやはり良いと言う始末である。

「良いです、事実を話すだけですから」

 希之男は彼の言葉をはなすと丁度彼は親指を噛みながら口を開いた。女性は男性が言葉を話して居ると金を渡した。

 女性を返された事に苛立ちまた希之男の行く末を彼に委ねられマルコフの頭の血管も切れそうになっていた。出血死すれば私が死亡確認をするためできればやめて欲しいのだが、本人は納める気は無さそうだ。

「これが全体像です」

 そう言うと彼は鼻を鳴らして自身の身の手入れをし始めた。如何に公明で有ろうともそれを翳された彼の足の苛立ちは充分に伝わって来た。

「貴方ねえ」

 彼は首を回しながら手を置くところに肘を乗っけて微笑を浮かべながら頬杖を突いていたのだ。私はその言い回しに首を傾げながらも彼が紙面を広げこちらに顔を見せてくれないため分からずに居た。「何を言っているんだ」私は彼の肩を揺すりながらその紙面を取り外し見た。

「朝冷えの朝の出来事です」

 弱腰しと、裏腹に芯の通った眼は叉三郎を射抜いていた。頭を掻くと、彼は私、春野、夢野そしてマルコフを見回すと、何度も頷いた。

「ホープスさん貴方は運が良い、私は丁度この事件に対して2から3の情報を持って居たというのもここら辺は富裕層が集まるのみならず訳ありの方も多く時たま強盗が発生するのですよ、しかもその質を言ったら選りすぐりでして、近辺の住民も困っていたのですが泥棒の痕跡を辿る間にね、地理に関しても勉強していたのです」

 叉三郎は目頭を押さえると彼の肩に手を置いた。その期待に応えてやれと言いたいところだがぐっと我慢した甲斐が在るというものだ。

「ホープスさんあなた税金は払われていますか」

 彼はその目線を少し下に反らすと彼の言葉に「ええ、まあ」と答えた。

「なら警察に保護してもらいなさい」

 彼はそう言うと飛び上がり彼のひざ元を抱えた、彼はそこから梃でも動こうとしなかった。

「困りますよ叉三郎さん私は貴方を当てにしてここに来たのです、どうにかして貴方のお力を貰えませんでしょうか」

 彼は私の方を向いて困り顔をすると、治は強く頷いた。しかし、彼の気の抜けた間に叉三郎は「時期にわかります」と言い放ちそれ以上取り合わらなかった。

「どこだい、希之男さんは」

 その、春野が監視していた扉が勢い良く開いた、彼は彼女の手を取ると「おい、すまなかったな」と言いながら日焼けした明日での手を差し出した。触ってみてもゴワゴワし鉄で型を付けた模型に握られていると勘違いする程である。

「やあ、おはようマルコフ君」

 彼がそう言うと抱き着いた彼を後ろ手に威張る姿勢を崩さず腹を向けた。「止めてください守ってください」彼はそう言うと彼の後ろで出て蹲っていた。彼は首だけを伸ばしその部屋を絵画を見て上のシャンデリアの明かりをつけると深く深呼吸をしながらその机の表紙を見ては眉を持ち上げて「おお」と唸る。

「君も朝刊を買うのか」

 彼はそう言うと新聞紙を手に取るとその拍子を指で追った彼は頷きながら何か吟味しているとその顎を摩り、彼に注意を向ける。

「ここまで分かっているのでしたら、その男をこちらに引き渡し身柄を拘束させてください」

 彼はそう言うと後ろから制服を着た数人の警官がその部屋の扉を埋めた、彼は私が話をしていると女性の言葉を聞いていたからか彼女の手の中に話をしていた。私はのみならず彼らに圧死されない様にその窓辺に身を逃がす事の他に叶わなかった。

「確かに明かそうだな」

 彼は虫眼鏡でその体を見ると彼は腹の底から震えて出し切った汗から更に濃い胆汁が搾り出された様を見せつけることになった。怒る気力も萎え彼の頭の中には白いホワイトボードの一端のみ描かれている始末だ。

 あんまりだろうと見ていると、彼は片目を瞑り私を見る、その腹には暗黒より深い深淵から見た算段が浮かんでいた。

「だが、マルコフ、彼の言葉を聴く価値は十分あると思うのだがね」

 私は彼の言葉通りに彼女の言葉に話をしながらも彼の動向を注意深く観察し手で窘めていた、男は警官に腕を掴まれそうになっても彼の名前を呼んでいた。

「どうにでも、ただ、事件は明白だと思うが」

 彼はその拍子の紙面の次のページを開いた(基本)その章の終わりは二ページと続かないと思ったのだ、その背面には青白い肌をし、禿げ頭が特徴の老人が倒れている一枚が堂々と飾られていたのだ。

「これが、私も今見た限りですが他殺だったと」

 彼が言うとマルコフは首を縦に振りその男を冷ややかに見ていた、のみならず軽蔑している様にも見えた。叉三郎は彼がその満足気な表情をしている時に新聞紙を見るがその額には焦りの顔が見えていた。「どうにも僕には分からないな」彼が言うとその言葉に「そういうわけだ」頭を振ったのだ。

「そういうことだ、ひっとらえろ」

 「そこは希之男に、彼が言って居ない人事実を聞かせて貰おうかマルコフ」彼はその王様よろしく座った彼を見あげ手を叩く、彼は咳ばらいをし喉を窘めた。叉三郎の目がその時ほど銀河に掛ける夜空の星々の輝きを発したことは無い、

「しかし、彼がまだ弁護士を立てるまでに時間があるだろうどういう訳かご高説願おうか」

 彼はその場でたじろぎ見ていると鼻を鳴らして重い口を開いた。彼女に話をしていると話して居ると彼の後ろに隠れた。叉三郎は希之男の頭を撫でると彼の手にしがみ付きながらも椅子に腰かけた。激情の暗幕が降りるように、シャンデリアの照明が照らされるとマルコフは語り出した。 


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