3月8日水曜日 3
「ふぅ、はぁふぅ、はぁーはぁこれで筋トレは終わり」
少し休むために石の上に座った
「腹筋とスクワットと腕立て伏せはだいたい十分弱で目標数に達したのに懸垂は三十分で目標数でしたね、やっぱり勇さんは猫背だからでしょうか」
「次は3キロ走ってくればいいんだよな?」
3キロ走るのは体育の持久走ぐらいしか経験がないから少し不安だ。
スマホの地図アプリで1キロ先に神社があったのでそこを目的地に設定し走ることにした
「私はお昼ご飯の準備をしていますから、しっかり3キロ一人で走ってきてください」
一人でというのをやたら強調された
「それじゃ行ってきま〜す」
「行ってらっしゃい勇さん」
そう言って庭から道路に出ようとした時
「あれ?勇くんが運動!?珍しいねどこ行くの?」
おそらく家族の声と同じくらい聞いたことのある声が聞こえてきた
「あっみゃーこ先輩こんにちは、こんな時間にどうしたんですか」
意外な時間に現れたから少し噺があると思い、走り出そうとした足を止める
「先輩今日は学校なかったんですか?どうしてこんな時間に?」
「私は今日テストで早く終わったんだよ。
お昼ご飯作りに来たんだまだ食べてない…よね?」
昼はこはくが作ってくれてるから大丈夫だがこはくと言ったら腰を抜かしそうだ
「お昼は作ってあるので大丈夫です」
とりあえず誤魔化しておいた
「そう?でも材料買ってきちゃったから冷蔵庫に入れとくね」
「じゃあ持ちますね」
「うん、ありがとう」
誤魔化しきれなさそうなのは長年の経験ですぐにわかったから諦めた
「おかえりなさい勇さん早かったですね、ちゃんと走って来たんですか?」
こはくが僕と先輩の前に迎えにきてくれた
「あっ、都さんですか、こんにちは」
「ふぇ…えっえぇ誰えと、どちら様えっというか名前、女の人………勇くんのカノジョ……」
「違います」
高速で否定しやがった!
百聞は一見に如かず見てもらったほうが早く終わりそうだと思ったが……意外と驚いてない、昔は耳の近くで羽音がしたという理由でズッコケてたくらいなのに
「えと、勇くんこの人はどちら様?」
本当のことは僕もまだ分からないので事実の部分を言うか
「押しかけ師匠かな」
「なるほど、花咲 都です名前は勇くんから聞いたと思うんですけど……それであなたの名前は?」
「こはくです今は勇さんの師匠をしていて師匠と呼ばれるのが好きなので師匠と読んでください」
先輩は見るからに困っていた、それもそうだろう昨日亡くなってしまった犬と同じ名前をしている人が後輩の家に上がり込んで師匠と言っているんだ不審に思うのは当然だと思う
「勇くん勇くん」
先輩が小声で話しかけてきた
「あの人詐欺じゃない?大丈夫」
「一週間だけだしそれにお金取られてないから大丈夫」
「そうなの?でも危ない人かもしれないよ、もしあの人に出ていってほしくなったら言ってねなんとか追い出すから」
やっぱり先輩は優しいし頼もしい小さい頃からこうだからついつい頼ってしまう
「多分大丈夫です」
「うん、勇くんがそう言うならそれで良いよ」
それから少し先輩と話したりしたこはくは途中から料理に戻っていた
「勇さんもう少しでお昼が完成しますが先に食べてから走りますか?」
「えっもう完成したの?」
「はい勇さんは都さんとの会話をとても楽しんでいられたので、気づいてないかもですがもう12時です、そうとう都さんとの会話が嬉しかったんですねぇ〜〜フフフ」
そうやって母さんにからかわれていたのを思い出した
「先に食べるよ、こはくみゃーこ先輩の分もある?」
そうやってからかわれるたびにこうやって誤魔化してきた
「はい、勇さんが運動しているので多めに作っておきました」
「それじゃ一緒に食べましょう先輩」
「うん、えとじゃあご馳走になります」
「「それじゃいただきます」」