3月8日水曜日 1
「…きてくだ…い勇さん、起きてください勇さん」
「ん…うわぁ!」
起きたら眼の前に人の顔があったからびっくりしてしまって変な声が出てしまった
「あ、びっくりさせてしまってすいません、そろそろ学校に行く時間でこれ以上寝てたら遅刻してしまうと思ったので」
「学校はいいよ」
「学校行かないんですか?」
「うん、もういいそれより朝ごはん食べるよ」
「でしたら私に任せてください、腕によりをかけて美味しい朝ごはんをごちそうします」
そう言って台所に行ってしまった。
結局僕はこはくという不思議な姿をした女の子を家に入れてしまった。そんなの分かっている茶色い髪と耳と尻尾、それとこはくという名前。
どうしても亡くなってしまったこはくが脳裏に映り
こはくが人の姿をとって蘇ったんじゃないかと勝手に思い家に入れてしまった。
そんなわけがないと思いながら、そうであってほしい矛盾を抱えながら台所に移動したこはくを見つめる。
こはくと初めて会ったとき“自分で名付けたのに”と言っていた、僕が人や動物に名前をつけたのは“こはく”という犬だけだ、ならこはくは蘇ったのか?そしたらなんで人の姿をしているのかが謎だった。
「よし、できました勇さん食べてみてください!」
そうこうしているうちに朝ごはんができたらしい
「そ、それじゃいただきます」
そしてまた謎が増えた、どうして犬だったであろうこはくがこんな美味しいご飯が作れたのか謎だ
「どうですか勇さん美味しいですか?」
「ん、あっ美味しいです」
「勇さん、ご飯の後は何か予定はありますか?確か学校には行かないんですよね?」
「ん、あぁ今日もこの後特に何もしないから空いてるはず」
「それなら修行をしましょう、私が師匠になって心身ともに弱った勇さんを鍛えてさし上げます」
「こはくが僕に何を教えられるんだ?」
「えーと、まずは運動基本の体の動かし方や料理、洗濯、掃除、とにかく勇さんがこれから先の人生一人でも生きていけるような事を教えてさしあげます」
何から何まで教えてくれるらしい。でも…
「こはくがいるから一人じゃないし、教えてくれなくてもいいんじゃないの」
「あっ、これを伝えるのを忘れてしまいました、少し急いでいたのかもしれません、ごめんなさい私が勇さんの傍にいられるのは機能を含めて一週間だけなんです」
僕はショックで茫然自失となった