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3月12日日曜日 4
意外なことに、料理中はなんにもしてこなかった
「どうぞ」
ばあちゃんが料理を口に含み、そして箸を置いて呟いた
「まぁ……お前にしては、なかなか上手くできてるんじゃないか」
「こうやって、少しずつできることを増やしてるんだ、だから遠くで見守っていてほしい」
頭を下げた。ばあちゃんがどんな顔をしてるかわからないが「ふぅ」と息をついたのが聞こえた
「花咲の親から聞いたんだ、「勇くんが心配だ」「支えてあげたほうが良いんじゃないか」ってね」
初耳だった、ばあちゃんと先輩の親が話していたなんて
そもそも僕の親も、ばあちゃんも放任主義だった
それが両親が亡くなってから変わってしまったから、警戒をしていたんだ
「でも、いろんな人に頼ってる…その言葉が聞けて安心したよ、うん、それなら大丈夫か…もうここにはこないよ…でも週に一回だけで良いから、連絡をくれ
じゃあな勇」