3月7日火曜日 3
ドンドンという何かが壁かドアを叩く音がして目が冷めた。
「ふあぁーーあふう、何だ何事だ?」
と思いながら叩かれているであろう、玄関の前に来た。
「めんどくせぇ」
セールスではないよな借金取りでもないはずだったら奴らしかいない。仕方ないので扉を開ける。
「おい、お前いつまでちんたら行動してんだ!」
なんでこんなに威圧的なんかなぁこのbba。大阪のおばさんみたいなケバい格好してるのは俺の父方のばあちゃんだ。
「お前今日学校はどうして行ってないんだ!」
おそらく家の庭に僕の自転車があったから学校行ってないのバレたのか。
「朝からいろいろあって行けなかったんだよ」
「そのいろいろってのは何だって言うんだい!」
正直に言えれば楽だけれど……この人の場合犬が亡くなったからって何だって言うんだとか言ってきそうだなぁ、否定されるのは辛い。
「お前最近学校には行ってないのか?」
「ちゃんと行ってますよ〜中学に入ってから無遅刻無欠席ですよ」
嘘をついてしまった、こんなやつでも嘘をつくと嫌でも罪悪感をおぼえてしまうから話したくない。
「今からでもいいからさっさと学校に行け」
「嫌だね、だって僕が学校に行けばあんたらここに住む準備をするだろ、こんな時間に来て荷物もどうせ持ってきてるんだろ」
「当たり前じゃない、こんな広い家で孫が一人で暮らしてるんだもの手伝ってあげなきゃ」
「そんなボロボロの体でか?だいだい仕事はどうやってそんな体じゃ働ける場所見つかんねぇだろ」
「あんたいつからそんな人が傷付くような言葉を言えるようになったんだよ、親が亡くなってから家族がいなくなったあんたのために一緒に暮らして助けようとしてるのに」
「それは嘘でしょ、広い家で僕に介護してほしいだけだろ」
我ながら捻くれてるとは思うがこいつ等ならやりかねない。
「あと車の中にいるデカブツの介護もしなきゃなんだろ?俺一人の生活でも難しいんだ、悪いけど帰ってくれ」
あーだこーだ言いつつばあちゃんを外に出した。
「ワンッ」
「よしよし、いい子だねぇ」
とほざくデカ女が、こはくの墓石の上に座り供え物のジャーキーを犬に与えていた。
「おい」
そう言いながら今もこはくの墓石の上に座っているクソ女に近づき胸ぐらを掴んだ。
「テメェは、普通の石と墓石の違いもわからないほど頭が悪くなったのか?」
クソ女が驚いた顔をした、自分でもこんなドスの利いた声がだせるのかと自分も内心驚いた。
「………」
クソ女は口を開かない。あぁそういえば?こいつはいじめられてから引き籠もったから男にトラウマがあるんだっけ、そんなことを思い出していたら……。
「ヴルルルヴァン」
瞬間犬が足元に噛みついてきた。
「いっつぅ〜」
情けない声が出たと同時に手の力が抜け、クソ女が地面に倒れた。
「ヴルルル」
飼い主を守るように犬がクソ女の前に来た
「もう帰ってくれ」
下を向いてしばらく経ったらエンジン音が聞こえた、帰ったのだろう
「はぁ、疲れた……寝よ」
もう何もしたくなかった