えんぴつって10回言ってみて?
「ねえ、タカキ」
「なんだい、トモミ?」
「『えんぴつ』って10回言ってみて?」
「よーし、行くよ? えんぴつえんぴつえんぴつえんぴつえんぴつえんぴつえんぴつえんぴつえんぴつえんぴつ」
「これは?」
トモミが『えんぴつ』と書かれた紙を見せる。
「それは……」
タカキは愕然とした。
「ゲシュタルト崩壊」
「じゃあ、今度は『ぴえん』って10回言ってみて?」
「い……、嫌だ!」
「どうしたの? 怖いの、坊や?」
「こ……、怖いっ! ぴえんがえんぴつじゃなくなってしまいそうだ……っ!」
「ぴえんはえんぴつじゃないもの」
「じゃあ、えんぴつって何だ?」
「えんぴつは、えんぴつよ」
「えんぴつよ!? つよいのか!?」
「ふふぬふ。おろいかぴつえん?」
「意味がなさそうなことを言わないでくれ! 」
「えんぴつえんぴつえんぴつえんぴつえんぴつえんぴつえんぴつえんぴつえんぴつえんぴつえんぴつえんぴつ」
「つええっ……!? えーん(/_;) 俺が人間じゃなくなってしまう」
「知ってた? ペンって、えんぴつなのよ?」
「えええーーーっ!? ペンって、えんぴつなのかい!?」
「嘘よw 汁がついたら初めてペンシル、えんぴつになるの」
「汁だって!? シルシル……ミシル!」
「じゃあ、とどめよ? 『えんぴつ』って3億5千万と75回言ってみて?」
「そんなに自分が何回言ったか覚えてられない!」
それでもタカキは数えはじめた。
皆さんもご注意願いたい。
同じ言葉をあまりにも多く繰り返してはいけない。
特に『えんぴつ』は、繰り返すとすぐに意味がわからなくなる言葉である。
沼にハマってしまったら、あなたの人生を終わらせかねないのだから。