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救い主達が静かにやって来る  作者: 五島伊織庵
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第七話 前世からの因縁 一

 長老と呼ばれるその白髪白髭が特徴である男性の家へ招かれた三人は食事と酒を振る舞われ、アメリカとメキシコの料理とワインにウイスキー、そしてテキーラやミント酒を味わった。思ってもいなかった歓迎に少し戸惑いながらも、三人は感謝して頂いたのである。

「わしはこの村の村長を務めるミゲルと申す。して、あんた達は?」

「ヘスス」

「ライアンだ」

「リアです」

 四人は互いに自己紹介をし、するとミゲルは次の通りに語った。

「ヘススか。スペイン語で英語のジーザス、即ち、ナザレのイエスじゃな?」

 彼の言葉を聞いた三人は、改めてここが国境たるテキサスの地である事を実感する。

「その事よりも、どうしてさっき、俺達があんた達が求めていた奴らなんだ? よかったら、その意味を教えてくれないか?」

 ヘススの質問を受け、ミゲルは真剣な表情となり、事の経緯を語り始めたのである。

「実は、この村は大昔から外界との交わりは殆どなく、村独自の生活を営んでおった。今の西部開拓時代に入ってからも、行き場を失ってさまよっていた移民であれば、人種やインディアンを問わず受け入れてきたのじゃ。

 そうしたある日、村にとある一行が迷い込み、病にかかって助けを求めて来た。みんなで介抱し、一行は数日で元気を取り戻し、お礼として村に新しい宗教を広げて進ぜようと、以前にはなかった違う神の教えを説き始めた。

 ところが、その宗教団体はどうしようもない邪教の集団で、ヨーロッパで散々悪しき教えを説いていたが故に、各国の秘密警察から指名手配され、やっとの思いでアメリカに渡り、ニューヨークからテキサスへ来たところでここを発見されてしまったのじゃ。昔からのしきたりで、来る者は誰だろうと受け入れいるのをいい事に、邪教集団は村の者達を次々と洗脳し、結果的には信者となった村人が他の者を殺したり、自らの家族でさえリンチにかけたりする状態に陥ってしまった。

 助けを呼ぼうにも、村に迷い込んだ者以外の人間とは関わってはならないのがもう一つのしきたりで定められているため、どうしようもなかった訳じゃが、今日になってお前さん達が来てくれたおかげで、もはや全滅するしかないと諦めかけていた村が助かるかも知れぬのじゃ。

 そこでじゃ。どうか奴らを何とかして、村を救ってはくれんじゃろうか? もし、助けてくれたら、そのお礼にお前さん達の頼みを聞いてやろうと思うが?」

 ミゲルがそう依頼をし、三人は急いでいるところだったが、話を聞いているうちに段々と同情の念が湧いてきた。

「……解った。その代わり、奴らを始末したらメキシコへ行くための手助けをしてくれないか?」

 ヘススの言葉に、ミゲルや周りにいたみんなはまるで子供みたいに喜び、

「本当か? よし、いいじゃろう。あいつらを倒してくれたのなら、メキシコへ安全に行ける道を教えて進ぜよう」

 取引はここに、成立したのでる。


 神官からの知らせを聞いたシャイターンは遂にこの時が来たかと興奮し、村人達が三人を味方に戦いを挑んでくるのを察すると、彼は直ちに化け物や信者達に戦う準備をしろと命じる。

「今度こそ、決着をつける。数百年も苦しみに耐えてきた辛さを、奴らにも味合わせるために……」

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