第六話 カルマ
一
朝になり、ヘススとライアンにリアは城を出てからどうするかを話し合った結果、三人は仇を失った上にヘススと旅をしている関係上、恐らく二人も指名手配されているだろうと予想し、ここはひとつ、メキシコへ向かう事にした。
向こうに行けば、アメリカの騎兵隊は国境を越えられないし、ほとぼりが冷めるのを待つ間、潜伏するには丁度いい。
こうして三人は城を後にし、国境へ向かい始めたのである。
だが、思っていたよりも早く追っ手が迫って来て、連邦保安官や彼らに雇われた流れ者に囚人、更には騎兵隊もが追って来た。
その数は何百人にも及び、こうも大量に迫って来たのでは流石に三人だけでは太刀打ち出来ないので、応戦するよりも回避する方向に転換し、旅を続けたのであった。
そのシーンを、シャイターンは水晶で観ていた。神官を一人、アリゾナやテキサス等の連邦保安官事務所へ派遣し、奴ら三人組みは邪教をアメリカに広めようとする悪しき神官であるとの偽の情報を提供し、三人を殺させる事を実行させるために仕向けたのだ。
(この調子ならば、前世からの因縁も簡単に決着をつけられそうだ)
三人が苦しみながら逃げる様子を、鼻で笑いながら見ていたのである。
メキシコを目指し、アウト・ロー達と戦える時だけ戦って弾を回収しながら追っ手や化け物どもからの逃避行を続け、一日の殆どを撃ち合っていた三人はニ〜三日も経つと着ていた服や帽子にブーツもすっかり傷だらけになってしまい、日に日に治らない怪我も増えていったのである。
やがて、心身共に疲れ果てた三人はもはや脱出は出来ないと諦めかけ、
「こうなったのも、あんたがあの時ドジ踏むからでしょ!」
リアがライアンを責めると、
「お前だって、手こずってたじゃねぇか!」
ライアンもリアに反論するのを、
「止せ、二人共! ズタズタになったのは俺達だけのせいじゃねぇ! むしろ、こうした時こそお互いに助け合うべきだ!」
ヘススが一喝して止めた。
そうしているうちに、夜を迎えた三人は森の中を進んでいた。
「昼ならともかく、夜の森は気味が悪いな」
ライアンが嫌悪感を露わにし、
「ホーント。また化け物とかが出て来るんじゃないかしら?」
リアも不安になる。
ヘススは神経を引き締め、周囲を警戒しながら進む。いつ、どこから奴らが襲って来るか判らない中、遠くの方に何かを見つける。
「何だ?」
まさか、また奴らかと思いながらも正体を確かめたくて、三人はその「何か」が見えた方向へ進んで行った。
少し進んで、正体が明かりである事に気付いた三人はちょっと安心しながら更に近付いてみる。




