表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
救い主達が静かにやって来る  作者: 五島伊織庵
11/23

    四

 二回目の脱出に成功したリアは、まだ手を着けていなかった金で辿り着いた町にて旅をするための一式を買う事にした。

 服と帽子に銃と弾、そして馬である。

 赤いテンガロン・ハットを被り、灰色がかったブロンドのショートヘアで、ピンク色のシャツにブルーデニム、赤いブーツで身を包んでおり、腰にはガンベルトを巻き、修道服を着ていた時からは想像もつかないほど勇ましい姿で、如何にも「女傑じょけつ」と思わせんばかりのオーラを放っている。

 この時、彼女の心には化け物どもの正体を突き止め、復讐する事が最大の生き甲斐として存在していたのだ。無論、後の事は考えてなどいない。目標を達成した後の事はその時に考えればいい、リアはそう思っていたのである。

 その日以来、彼女はアリゾナ州にある街や村をひとつひとつ回っては情報を集めている中で、リアはとあるお尋ね者の事を知る。奴の名はヘススで、アリゾナのあちこちで目撃されては奴を追っているガンマンを返り討ちにしているとの事だ。

 手配書を見て、リアはこう思う。

(手始めに、こいつを狙ってみるのも、いいかも知れない)

 目標ではないが、お尋ね者を仕留めるのも悪くないと結論付けたリアは、早速ヘススを追いかける事に。相手はかなりの手練れであるのは判っているが、そうでなければ面白くないと、リアは思っていた。

 ところが、その出会いは半日も経たないうちに訪れる。

 追跡を開始して数時間が過ぎた頃、遠くの方で突然、何発もの銃声が鳴り響き、その聞こえた方を見ると、何やら土埃つちぼこりが立っているのが目に飛び込んで来たのだ。すると彼女はまさかと直感し、急いで向こうへと馬を走らせたのである。


 応援が一気に四十人も来てしまったのでは仕方ないと、ヘススとライアンは手っ取り早く敵を纏めて倒すにはあいつしかないと、武器をライフルからもう一丁のヤツに切り替える事にした。銃身の後ろを二つに折るかの如く開け、そこへ何重にも押し固めた紙薬莢を二つ入れ、カチンと音をさせて銃身を水平に戻すと、犬の耳みたいな撃鉄を上げ、奴らを群れになって固まった状態で近付け、すぐ目の前に迫ったところで引き金を絞った。すると、固まった敵は数人同時に身体から鮮血を吹き出しながら落馬し、そのまま息絶えたのだった。

 二人が使ったのは散弾銃ショットガンと呼ばれるもので、射程距離が短いのが玉にきずだが、強力でしかも纏まった相手に有効な上に、一番のメリットはライフルみたいにきちんと狙わなくてもちゃんと当たる事である。因みに、ヘススが使用しているのは脱獄した時に手に入れたあの水平二連式で、ライアンが使っているのは上下二連式である。

 こちらがショットガンに切り替えた事に対抗するため、ジャツコの命令で奴らも手回し式の機関銃を用意し、辺り構わず撃ってきたのだ。この機関銃は後にバルカン砲と呼ばれるものの初期型で、後部にある機関部にハンドルがあり、上部から弾の入ったマガジンを挿入し、後はハンドルを回すだけで銃身が回転しながら弾を発射するシステムになっている。

 ヘススとライアンは岩陰に隠れながらショットガンを撃ち続け、敵の数を少しずつ減らし、遂にはジャツコと機関銃を操っている六人の計七人にするに至ったのだ。

「この間抜けども! 何をやっていた!」

 激怒して子分達を罵るジャツコに対し、ヘススとライアンはショットガンを構えたまま彼に迫る。

「どうするんだ? 後はもう、お前らだけだぞ」

「殺されたくねぇなら、さっさと降参するんだな」

 投降か死かを迫られ、ジャツコは歯を剥き出しにして悔しがるが、

「冗談じゃねぇっ! このまま殺されるなら、お前らも道連れにしてやるぜ!」

 と開き直り、二人にハンドガンを向けた。

 ところがその時、またしても信じられない事態が発生する。

 何と、この前の黒い気体が無数に飛来して、地上に降って来るやあの不気味なる人の形となり、唸り声を上げながらゆっくりと、そして確実にヘスス達に迫って来たのである。

「な、何だこいつらは?」

「俺達もこの前、襲われた奴らだ! 注意しろ、化け物どもは群れになって襲って来るぞ!」

 そう説明するや否や、ヘススとライアンは化け物どもに向けてショットガンを放つ。ジャツコ達も例の機関銃やハンドガンにライフルで迎撃する。

 放たれた銃弾を受け、化け物どもは一人、また一人と倒れ、その時ばかりはシモンズ率いる村人達も弓矢や武器になりそうなものを装備し、応戦したのである。

 村には化け物どもの呻きや悲鳴に叫び声、そして銃声が響き渡り、倒れた奴からは異臭を放つどす黒い血が流れ出て、やがて元の黒い気体となって消えてしまう。ヘスス達を始め、誰もが地獄がそこにあるかに思えた。

 そうしているうちに、二百体はいたであろう化け物どもの数を何とか五十体ほどに減らす事が出来た。やっとこちらに勝算が見えて来たと思ったヘスス達だったが、ここでまたしても信じられない事が起こったのである。

 一気に残りの化け物どもを始末してしまおうと勢い付いていた時、何処からかとさっきの倍はある黒い気体が飛んで来て、着地した途端、まるで小山みたいなどでかい化け物に変身したのだ。そしてライオンみたいな雄叫びを上げたかと思うと、手にしていた棍棒こんぼうを振り回して化け物どもを打ち殺しながら襲い掛かって来たのである。

 ヘスス達もショットガンやライフルにハンドガン等で応戦し、化け物を蜂の巣にするが奴もタフで、身体中にある無数の銃創から滝の如く血を流すが、にも関わらずヘスス達を殺そうと追いかけて来る。

 弾も残り少なくなってしまい、このままでは奴にやられるだけだと思い、諦めさえ出て来た最中である。何処からか大きな銃声がして、次の瞬間、化け物の頭から何かが貫通し、左右の傷口からはどす黒い血が吹き出し、化け物はとても痛そうな悲鳴を上げながら苦しみ始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ